概要
オセアニック ランプは、ミケーレ・デ・ルッキが1981年に設計したテーブルランプである。メンフィスが同年に発表した最初のコレクションに含まれる。ピンクに塗られた細長い板を台とし、そこから白と黒の縞を巻いた金属のパイプが3本、同じ角度で斜めに立ち上がる。最も長い1本の先に黄色い箱形の灯具が掛かり、その下面の開口から光が落ちる。発表以降、メンフィス・ミラノによる生産が続いている。
特徴・コンセプト
傾いた支柱と、逆向きに伸びる台
支柱は垂直に立たず、前方へ倒れた角度で止まっている。先端の灯具はパイプの根元から水平方向に大きく離れた位置にあり、重さは前へ出る。台がその傾きと反対の向きへ細長く伸びているのは、出た分の重さを後ろで受け止めるためである。円盤状の座に立てる代わりに低い板を選んだことで、支柱の角度がそのまま台の長さに置き換えられている。
下面だけを開けた箱形の灯具
灯具は直方体で、開いているのは下面だけである。横から光源が見えず、光は真下に絞られる。傾いた支柱と組み合わせることで、明かりの落ちる位置は台よりも前へずれる。台を机の奥に置いたまま手元を照らせるのは、この二つの組み合わせによる。現行の仕様はE27口金のLED1灯で、消費電力は最大7W、色温度は3000Kとされる。配光を広げるための反射板やレンズは付かない。
光にも支持にも関わらない2本
3本のうち短い2本は、光源を持たず、長い1本を支えてもいない。太さも角度も縞の巻き方も同じで、違うのは長さだけである。斜めという角度は、この反復によって偶然ではなく選ばれた構成として読める。模様を表面に足す代わりに、構造の部材と同じ見え方をする部材を余分に立てる方法をとっている。
部位ごとに色を割り当てる
台はピンク、支柱は白と黒の縞、灯具は黄色で、色の切り替わる位置が部材の切り替わる位置と一致する。縞は等間隔に巻かれるため、3本の長短の差が目盛りのように読み取れる。素材は塗装した金属で、同じ太さのパイプを長さだけ変えて3本に使い分ける。部材の種類を増やさずに塗り分けで差を作る組み立てが、色数の多さと両立している。
エピソード
1981年の最初のコレクションのために
オセアニックは、1980年末にミラノで結成されたメンフィスが翌年に出した最初のコレクションのために設計された。1981年9月、ミラノの家具見本市の会期に合わせて画廊アルク'74で家具・照明・陶器あわせて55点が公開され、オセアニックはその1点として並んだ。メンフィス・ミラノの記録によれば、発表から3か月のうちに400を超える定期刊行物がこの展示を取り上げている。
海の名を与えられた3点
デ・ルッキは同じコレクションに、2枚扉の衣装棚パシフィックと、引き出しを備えた収納家具アトランティックを出している。オセアニックを含めた3点は海の名で揃えられ、白と黒の縞や模様が共通して現れる。照明と家具を別の系統として扱わず、同じ割り付けで並べたことになる。
製造を引き受けた側
メンフィスの会長は、照明メーカーのアルテミデを創業したエルネスト・ジズモンディが務めた。結成まもない集団に対して、生産と国際的な流通の経路を用意した立場である。ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の収蔵記録は、最初のコレクションの照明をアルテミデが製造し、工場との窓口をメンフィスの参加者マルティーヌ・ベダンが担ったと記している。
評価と影響
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館は収蔵記録の中で、この照明をメンフィスが活動を始めた年の性格がよく表れた例として説明している。あわせて、斜めに切り上がる構成を、ソットサスが同じ1981年に発表したビバリーと重ねて述べている。
部屋全体を照らす明るさは持たず、机上や卓上の明かりとして置かれる製品である。同じコレクションには反射板もシェードも持たないソットサスのタヒチ ランプがあり、照明としての働きをどこまで残すかには幅があった。そのなかでオセアニックは、下向きに絞った箱形の灯具を残している。
ミケーレ・デ・ルッキの設計思想や経歴について詳しくはミケーレ・デ・ルッキプロフィールページをご覧ください。
メンフィス・ミラノの歴史や他の製品について詳しくはメンフィス・ミラノブランドページをご覧ください。
収蔵
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(ロンドン)が、収蔵番号 W.21-2010 として1点を収めている。1981年にミラノで作られたエナメル塗装の鋼製で、ピンク、黄、白と黒の縞という配色が記録されている。初期生産の個体にあたり、セリア・モリセット(ニューヨーク)の寄贈による。
基本情報
| 名称 | オセアニック ランプ / Oceanic Lamp |
|---|---|
| デザイナー | ミケーレ・デ・ルッキ(Michele De Lucchi) |
| ブランド | メンフィス・ミラノ(Memphis Milano) |
| 発表年 | 1981年 |
| デザインの成立国 | イタリア |
| 分類 | テーブルランプ |
| 主要素材 | 塗装金属 |
| サイズ | 高さ75cm(現行仕様) |
| 光源 | E27口金のLED1灯(最大7W・3000K、現行仕様) |
| コレクション | メンフィス 1981年 初回コレクション |
Reference
- Oceanic | Memphis Milano
- https://memphis.it/en/products/oceanic/
- Milano 1981-1985(History) | Memphis Milano
- https://memphis.it/en/history/
- Oceanic lamp(W.21-2010) | Victoria and Albert Museum
- https://collections.vam.ac.uk/item/O1175236/oceanic-lamp-desk-lamp-de-lucchi-michele/
- Pacific | Memphis Milano
- https://memphis.it/en/products/pacific/
- Atlantic | Memphis Milano
- https://memphis.it/en/products/atlantic/