概要
オレンジスライスチェア(F437)は、ピエール・ポーランが1960年にオランダのアーティフォートのために設計したラウンジチェアである。同じ形の2枚のシェルを向かい合わせに置いた構成が、オレンジを輪切りにした果肉を思わせることから、この呼び名が定着した。現在も生産が続いている。
特徴・コンセプト
同じシェルを2枚使う
座面と背もたれは、別々に設計された部材ではない。圧縮成形したブナ材のシェルを2枚つくり、角度を変えて向かい合わせに取り付けている。同一の型で2つの役割をまかなえるため、型の数が減り、曲面の見え方も揃う。上からフォームで覆い、ファブリックまたはレザーで仕上げる。
2枚のシェルは互いに内側へ丸まる向きに置かれ、そのあいだに身体が収まる。背中と腿を別々の面が受けるため、深く腰を下ろしても背もたれと座面の境目が身体に当たらない。
角度で変わる輪郭
正面から見ると2枚のシェルは開いて見え、斜めから見ると丸まりかけた形に見える。見る位置によって丸まり方の段階が違って見えるため、複数脚を並べたときには一脚ずつ違う表情が現れる。同じ製品を並べても単調にならないという性質は、ロビーや待合のように同じ椅子をまとめて置く場所で働く。
ベースと寸法展開
シェルを支えるのはスチールパイプのベースで、クローム仕上げのほか粉体塗装も選べる。細い管で床から持ち上げることで、厚みのあるシェルの下に空間が残る。座面と背の角度を寝かせたF437に対し、起こしたF437Bも用意される。子ども向けに縮小したオレンジスライス ジュニアや、脚を載せるオットマンも展開されている。
エピソード
ポーランは1952年ごろに合板の曲げ加工を学んでおり、その技術がこの椅子の下地になっている。1958年にアーティフォートのデザイナーとなり、以後、スチールパイプの骨組みをフォームと布で覆う一連の椅子を発表していく。オレンジスライスが生まれた1960年は、マッシュルームチェアが発表された年でもある。リボン(1966年)やタン(1967年)へと続く仕事のなかで、オレンジスライスは成形した木のシェルを用いた初期の例にあたる。
評価と影響
彫刻的な輪郭を持ちながら、長く座っていられる形にまとめられている点が評価されてきた。住宅のほか、ホテルのロビーやオフィスの応接でも用いられる。アーティフォートは現在も生産を続けており、張地の選択肢にはKvadratのテキスタイルや各種レザーが加えられている。ベースはクローム仕上げに加え、粉体塗装による色の選択もできる。
ピエール・ポーランの設計思想や経歴について詳しくはピエール・ポーランプロフィールページをご覧ください。
アーティフォートの歴史や他の製品について詳しくはアーティフォートブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | オレンジスライスチェア / Orange Slice Chair(F437) |
|---|---|
| デザイナー | ピエール・ポーラン(Pierre Paulin) |
| ブランド | アーティフォート(Artifort) |
| 発表年 | 1960年 |
| デザインの成立国 | オランダ |
| 分類 | ラウンジチェア |
| 主要素材 | 圧縮成形ブナ材のシェル2枚、フォーム、ファブリックまたはレザー、スチールパイプのベース |
| ベースの仕上げ | クロームまたは粉体塗装 |
| 型番展開 | F437(角度を寝かせた仕様)/F437B(起こした仕様)/ジュニア/オットマン |
Reference
- Orange Slice Chair F437 | hive(Artifort 製品情報)
- https://hivemodern.com/pages/product4/artifort-orange-slice-chair-f437-pierre-paulin
- Artifort Orange Slice | Whoppah
- https://www.whoppah.com/icon/artifort-slice