ハスクチェアは、スペイン出身でミラノを拠点に活動するパトリシア・ウルキオラが2011年に手がけ、イタリアの家具メーカーB&B Italiaから発表されたラウンジチェアである。硬質なシェルと柔らかなクッションという対照的な要素を組み合わせ、包み込むような座り心地と現代的な佇まいを両立させている。

ハスクはアームチェアを起点に、ダイニングチェア、ソファ、ベッド、ローテーブル、フットレスト、屋外仕様へと広がるコレクションとして展開されてきた。リサイクル可能な素材を採用し、分解を前提とした構造をとる点も特徴で、快適性と環境配慮を両立させた設計として知られる。

特徴とデザインコンセプト

硬と柔の対比による座り心地

ハスクチェアの特徴は、堅牢なアウターシェルと柔らかなインナークッションの組み合わせにある。シェルにはリサイクルおよびリサイクル可能なポリマー素材Hirek®が用いられ、構造的な強度と環境への配慮を両立させている。種子を包む殻を思わせるこのシェルが、座る者を包み込む形状をつくり出している。

内部のクッションは人間工学的な観点から複数のセクションに分割され、キルティング加工が施されている。キャピトネ(capitonné)を思わせるこの意匠は伝統的な室内装飾の技法を現代的に取り入れたもので、身体の曲線に沿うよう設計されている。

サステナビリティへの配慮

シェルに使われるHirek®は再生ポリマーからなる多層構造の素材である。製品全体も分解とリサイクルを前提とした構造で、使用後の段階まで見据えて環境負荷を抑えている。

クッションはスナップボタンで固定され、容易に取り外せる。ファブリックやレザーの張り替え、清掃、部分交換が行いやすく、長く使い続けられる点にも配慮がなされている。

多様な空間への適応性

ハスクチェアは住宅、オフィス、ホスピタリティ空間など幅広い環境に合わせやすい。ベースは固定式の4脚タイプと360度回転式のスイベルタイプが用意され、ダイキャストアルミニウム、スチールプロファイル、硬質ポリウレタン、無垢材などから選択できる。

シェルはホワイト、ブラック、トルトラ(グレー系)などのプラスチック仕上げに加え、レザー仕上げも用意される。クッションはファブリックまたはレザーで、スタンダード、ラージ、ヘッドレスト付きの3タイプがあり、コーディネートされたフットレストと合わせて体格や用途に応じた構成が選べる。

開発の背景

ハスクコレクションの開発は、従来のソファ製造の工程を見直すところから始まった。ウルキオラは座る前から快適さが視覚的に伝わることを重視し、アームチェアを起点に屋外版、ダイニングチェア、ソファ、ベッドへと展開していった。各バリエーションは単なるサイズ変更ではなく、用途と設置環境に合わせて設計されている。

2017年から2018年にかけてフィラデルフィア美術館で開催されたウルキオラの個展「Patricia Urquiola: Between Craft and Industry」では、ハスクチェアの初期スケッチから最終製品に至る資料が公開され、その制作プロセスが紹介された。硬いシェルの内側に柔らかな窪みを形づくるキルティングクッションは、来場者の目を引く要素のひとつとして取り上げられた。

基本情報

デザイナー パトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiola)
ブランド B&B Italia
発表年 2011年
分類 ラウンジチェア
主要素材 Hirek®(リサイクル可能ポリマー)、ダイキャストアルミニウム、スチール、ファブリック/レザー
ベースタイプ 固定式4脚、360度回転式スイベル
コレクション ハスクコレクション(アームチェア、ダイニングチェア、ソファ、ベッド、ローテーブル、フットレスト、屋外版を含む)
生産国 イタリア