概要

フリーダは、オド・フィオラヴァンティが設計し、イタリアのペドラリが2008年に発表した木製のダイニングチェアである。オーク無垢材で組んだフレームに、厚さ3.5mmの成形合板シェルを重ねて座と背をつくる。二つの部材を重ねる構成によって、重量2.7kgという軽さと、飲食店などで日常的に使われる強度とを両立させている。2011年に第22回コンパッソ・ドーロADIを受賞し、現在も生産が続く。

特徴・コンセプト

重ねて成立させる構成

フレームとシェルは、単独ではどちらも椅子として機能しない。オーク無垢材のフレームは脚と背の枠だけを受け持ち、座面をふさぐ板を持たない。一方、厚さ3.5mmのシェルは、それだけで体重を支えられる厚みではない。二つを接着して初めて、荷重を骨組みと面の両方に分散させる断面ができる。この構成が採られたのは、木製椅子の輪郭を細く保ったまま、業務用の耐久試験に通る強度を確保するためである。ペドラリはこの構成でイタリアの家具試験機関CATASの試験を受けている。

縁に向かって細くなる断面

フレームを構成する各部材は、位置ごとに断面の形が変えられており、縁に近づくほど細く削り込まれている。荷重の集まる接合部の周辺には材を残し、目に触れる外周は落とす。正面から見たときに脚と背の枠が細く見えるのは、この断面の変化による。木は全体を同じ太さで通せば安全側に働くが、それでは椅子が重くなり、椅子を頻繁に動かす場所では扱いにくい。削れる箇所を選んで削ることが、2.7kgという重量に収めるための条件だった。

三次元に成形する突板

シェルは、突板を三次元の曲面に成形する技術でつくられる。アルミニウムの型に薄い単板を重ねて圧着し、座から背へ連続する曲面を厚さ3.5mmで得る。フィオラヴァンティは自身のスタジオの記録で、薄い面で複雑な形をつくれるこの成形技術を無垢材の構造体と組み合わせた椅子はフリーダが最初だと述べている。座面に別の板を張らず、成形した薄い面をそのまま体に触れる部分にできることが、この技術を選んだ理由にあたる。

十個の部材と一度の圧着

フレームは十個の削り出し部材からなり、数値制御の加工機で成形したうえで先に組み立てられる。シェルは別の工程でアルミ型から成形する。最後に両者を油圧プレスで圧着し、一体の椅子にする。工程を分け、最後に一度だけ合わせる手順は、曲面と骨組みという性格の異なる部材を、それぞれに適した設備で加工するためのものである。

エピソード

設計は図面から始まらなかった。フィオラヴァンティは後年のインタビューで、工場の職人に板を切り出してもらい、部材の状態でスタジオに持ち帰って組み、細部を自分の手で削りながら形を決めていったと語っている。紙の上でまとめた形を工場に渡すのではなく、材料と加工設備のある場所で試作を重ねる進め方だった。スタジオには、この過程で生まれた試作が複数残っている。

生産はフリウリ地方のマンツァーノにあるペドラリの木工拠点で立ち上がった。マンツァーノは椅子づくりが集積した地域で、木材加工の設備と職人が揃っている。試作の段階から職人と直接やりとりできたことが、図面を介さない進め方を成り立たせていた。

フリーダは2008年、ウーディネで開かれた第32回プロモセディア(国際椅子見本市)で発表され、同年のTop Chair Residentialに選ばれた。

名称は女性の名前として選ばれたもので、画家フリーダ・カーロにちなんだものではない。ただし2011年10月6日から9日のミラノ・デザイン・ウィークエンドでは、コンパッソ・ドーロ受賞を機に、カーロの絵画とペドラリの製品を重ね合わせた展示が行われた。

評価と影響

木製の四本脚チェアとしては軽い部類に入り、椅子を頻繁に動かす飲食店で採用されている。ロンドン・ベルグレイヴィアのオリーヴォ・レストラン(2016年改装、設計はピエルルイジ・ピウ)では、客席の椅子としてフリーダ752が使われている。

2008年の発表以来、生産は途切れていない。仕上げはオーク材の着色や塗装で複数用意され、木目が見える着色仕上げと不透明な塗装仕上げの双方から選べる。

受賞歴

  • 2008年 Top Chair Residential(プロモセディア/国際椅子見本市、ウーディネ)
  • 2009年 ADI Design Index 選出
  • 2011年 第22回コンパッソ・ドーロADI(住空間のためのデザイン部門)
  • 2014年 ジャーマン・デザイン・アワード(Home Interior部門)

コンパッソ・ドーロの受賞理由は「単純な彫刻的な美しさに対して」という一文だった。審査委員長はアルトゥーロ・デッラックア・ベッラヴィーティスが務めた。ジャーマン・デザイン・アワードでは1,900件を超える応募のうち100件の受賞のひとつに選ばれている。

基本情報

名称 フリーダ 752 / Frida 752
デザイナー オド・フィオラヴァンティ(Odo Fioravanti)
ブランド ペドラリ(Pedrali)
発表年 2008年
デザインの成立国 イタリア
分類 ダイニングチェア
主要素材 オーク無垢材、成形合板(三次元成形の突板、厚さ3.5mm)
サイズ 幅45cm × 奥行53cm × 高さ79.5cm
座面高 45cm
重量 2.7kg
生産国 イタリア

Reference

frida 752 | Pedrali
https://www.pedrali.com/en-us/products/chairs-design/frida-752
Frida Compasso d'Oro ADI | Pedrali
https://www.pedrali.com/it-it/progetti-speciali/frida-compasso-d-oro
Frida | Odo Fioravanti Design Studio
http://www.fioravanti.eu/project/Frida
About | Odo Fioravanti Design Studio
http://www.fioravanti.eu/about
Frida, Pedrali. Odo Fioravanti | Klat Magazine
https://www.klatmagazine.com/en/design-en/frida-pedrali/65629
German Design Award, Pedrali premiata per la seduta "Frida" | BergamoNews
https://www.bergamonews.it/2013/10/22/german-design-awardpedrali-premiataper-la-seduta-frida/181132/
OLIVO Restaurant, Pierluigi Piu | Archello
https://archello.com/it/project/olivo-restaurant-2
Oggetto di design, Fioravanti Odo | Patrimonio Culturale FVG
https://patrimonioculturale.regione.fvg.it/opera-contemporanea/?s_id=598307