概要
PK80は、ポール・ケアホルムが1957年に発表したデイベッドである。サテン仕上げのステンレススチールによる薄いベースの上に、塗装した合板のプレートを介してクッションを載せる。背もたれもアームレストも持たず、水平線だけで輪郭が決まる。当初はE.コルド・クリステンセンが製造し、1982年からフリッツ・ハンセンが生産している。
特徴・コンセプト
水平の面だけで成立させる
背もたれを持たないため、向きを規定する要素がない。部屋のどこに置いても成立し、両側から腰かけられる。ベースを薄く抑えることで、クッションが床からわずかに浮いて見える。厚みのあるクッションを載せながら、全体の量感は低く保たれている。
クッションの構成
クッションの芯材には粒状のフォームと、天然繊維とラテックスを混ぜたヘアロックが用いられる。表面には革またはキャンバスを張る。革の仕様では、ステッチで区切った格子状のパネルをボタンで引き込む。ボタンによる引き込みは、規則的な凹凸をつくると同時に、詰め物が偏らないように働く。
スチールという選択
木材を主素材とする同時代のデンマークの設計者のなかで、ケアホルムはスチールを構造材に選び続けた。サテン仕上げの面は鏡のように映り込むのではなく、角度によって明るさが移り変わる。同じ扱いはPK22 ラウンジチェアやPK61 テーブルにも共通する。
エピソード
PK80は、ミース・ファン・デル・ローエとリリー・ライヒが1930年に手がけた寝椅子を参照点としながら、構成要素を切り詰めて組み直した作品とされる。歴史上の形式を調べ、素材と構造を置き換えるという進め方は、ケアホルムの他の作品にも共通する。
ケアホルムは1955年にエイヴィンド・コルド・クリステンセンとの協働を始め、1980年に世を去るまで続けた。1982年、フリッツ・ハンセンが1951年から1967年までに設計された「ケアホルム・コレクション」の製造と販売を引き継いでいる。
評価と影響
背もたれを持たない構成は、バルセロナ デイベッドなど同じ形式の家具と比較されることが多い。住宅のほか、ロビーや待合など人が短時間とどまる場所でも用いられる。
ポール・ケアホルムの設計思想や経歴について詳しくはポール・ケアホルムプロフィールページをご覧ください。
フリッツ・ハンセンの歴史や他の製品について詳しくはフリッツ・ハンセンブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | PK80 デイベッド / PK80 Daybed |
|---|---|
| デザイナー | ポール・ケアホルム(Poul Kjærholm) |
| ブランド | フリッツ・ハンセン(1982年〜)/E.コルド・クリステンセン(当初) |
| 発表年 | 1957年 |
| デザインの成立国 | デンマーク |
| 分類 | デイベッド |
| 主要素材 | ベース:サテン仕上げステンレススチール/プレート:塗装合板/クッション:粒状フォーム+ヘアロック/張り地:レザーまたはキャンバス |
| サイズ | 幅約190cm × 奥行約80cm × 高さ約30cm |
| 構造 | 背もたれ・アームレストを持たない。両側から使用可 |
Reference
- PK80 Daybed | Fritz Hansen
- https://www.fritzhansen.com/en/categories/by-series/pk80/pk80