概要
トロメオは、ミケーレ・デ・ルッキとジャンカルロ・ファッシーナがアルテミデのために設計したデスクランプである。1986年に設計され、1987年に発売された。アームの内部にばねを収め、外側に張ったステンレスケーブルの張力と釣り合わせることで、片手で位置を変えられる。1989年にADIコンパッソ・ドーロを受けている。
特徴・コンセプト
ばねを隠し、ケーブルで釣り合わせる
製図用のバランスアームランプは、露出したコイルばねでアームの自重を相殺する構造をとってきた。トロメオはばねをアームの内部に収め、外側には細いステンレスのケーブルだけを見せる。ケーブルの張力とばねの反力が釣り合うため、関節を締め付けなくてもアームは止まった位置を保つ。手を離しても動かず、片手で押すだけで位置が変わる。
デ・ルッキは、この機構の着想を釣りの仕掛けから得たと述べている。プーリア地方に見られるトラブッコと呼ばれる漁の装置では、網を支える腕木が何本もの綱で吊られている。短い腕木と一本の線で竿を吊るという関係を、そのままアームの機構に置き換えた。
アルミニウムを主材にする
アームは押し出し成形のアルミニウムで、関節部とテンション調整ノブはダイキャストのアルミニウムである。押し出し成形は同じ断面の材を連続してつくる方法であり、長さの違うアームを1つの型でまかなえる。軽い材でアームを構成すれば、釣り合わせるばねとケーブルの負担も小さくなる。ベースは重量を確保するために鉄を用い、上からアルミニウムのカバーをかぶせる。ヘッドは向きを自由に変えられ、アルミニウムのリフレクターが光を配る。
形は変えずに広げる
同じ機構を保ったまま、寸法と取り付け方を変えた機種が加えられてきた。1991年にミニ、1999年から2000年にかけてマイクロが加わり、フロア、ウォール、サスペンションの各型も展開されている。取り付けはベース、クランプ、インセットピボットの3通りが用意され、机の上以外の場所にも取り付けられる。光源も白熱電球からハロゲン、蛍光灯、LEDへと替わってきたが、アームの構成は変わっていない。
エピソード
この設計は、アルテミデの創業者エルネスト・ジスモンディがデ・ルッキに、従来のアームランプを現代の技術で作り直すよう求めたことから始まった。デ・ルッキは、1933年のナスカ・ロリスのような従来のバランスアームランプを念頭に置きつつ、機構を見せないという方向を選んでいる。開発にはアルテミデの研究部門のジャンカルロ・ファッシーナが加わった。
製品名のトロメオは、天文学者プトレマイオスのイタリア語名にあたる。
評価と影響
1989年のコンパッソ・ドーロでは、伝統的な形の読み直しと技術的な内容の両立が評価された。以後、住宅からオフィス、ホテルまで広く用いられ、アルテミデを代表する系列となっている。大型のシェードを組み合わせたトロメオ メガなど、同じアーム機構を共有する下位系列も生まれた。シリーズ全体の構成については トロメオ シリーズ にまとめている。
設計者それぞれの思想や経歴について詳しくはミケーレ・デ・ルッキ、ジャンカルロ・ファッシーナの各プロフィールページをご覧ください。
アルテミデの歴史や他の製品について詳しくはアルテミデブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | トロメオ / Tolomeo |
|---|---|
| デザイナー | ミケーレ・デ・ルッキ、ジャンカルロ・ファッシーナ |
| ブランド | アルテミデ(Artemide) |
| 発表年 | 1986年設計/1987年発売 |
| デザインの成立国 | イタリア |
| 分類 | デスクランプ/タスクライト |
| 主要素材 | 押し出し成形アルミニウム、ダイキャストアルミニウム、ステンレスケーブル、鉄(ベース) |
| 取り付け | ベース/クランプ/インセットピボット |
| 受賞 | 1989年 ADIコンパッソ・ドーロ |
Reference
- Company identity(1987年のトロメオ発売とコンパッソ・ドーロ)| Artemide
- https://www.artemide.com/en/company/identity
- In conversation with Michele De Lucchi | MyArtemide
- https://myartemide.de/en/news/detail/in-conversation-with-michele-de-lucchi/