概要

ジャンカルロ・ファッシーナ(1935-2019)は、イタリアの建築家・デザイナーである。1968年からアルテミデの技術部門に加わり、光源と機構の側から照明を設計した。1987年のトロメオはミケーレ・デ・ルッキとの共同設計で、腕を保持する機構の側を担当している。同社との関係は40年以上に及んだ。

バイオグラフィー

1935年、イタリアのミラノに生まれた。ミラノ工科大学で建築を学んでいる。

1968年、アルテミデに加わった。同社の技術部門で、光源の性能と機構の条件から照明を設計する立場にあたる。

1987年、ミケーレ・デ・ルッキとともにトロメオを設計した。1989年にコンパッソ・ドーロ賞を受けている。

以後もアルテミデの製品を継続して手がけ、40年以上にわたり同社に関わった。2019年に没している。

デザインの思想と方法

ファッシーナが担ったのは、照明の機構と光学の側である。腕をどう保持するか、光源の熱をどう逃がすか、部品をどう組み立てるかという条件を満たしたうえで、形が決まる。外形の造形とは別の層にあたる。

ばねを内部に収める

可動の腕を持つ照明は、通常ばねを外に露出させる。ファッシーナが用いたのは、腕の内側に鋼線を通し、その張力で位置を保つ方式である。ばねが見えないため、腕の断面を細く保てる。

関節の数を決める

関節が多いほど自由度は上がるが、部品も増え、保持する力も分散する。必要な可動範囲から関節の数を逆算し、最小限に抑える。トロメオは2箇所の主要な関節を持つ。

部品を共通化する

腕と関節の部材を共通にすれば、卓上、床置き、壁付け、クリップ留めと展開できる。台座と笠の寸法だけが変わる。製造の面では、部品の種類が減ることで在庫と工程が簡素になる。

技術部門の設計者として

外部の設計者を起用する形式とは異なり、社内の技術と製品構成を把握したうえで設計する立場にある。同社の照明が長期にわたり同じ機構を保っているのは、この体制によるところが大きい。

代表作にみる方法

トロメオ(1987年、アルテミデ)

ミケーレ・デ・ルッキとの共同設計による卓上灯である。ファッシーナは腕を保持する機構の側を担当した。腕の内側に鋼線を通し、その張力でどの角度でも位置を保つ。ばねが見えないため腕の断面が細く保たれる。1989年にコンパッソ・ドーロ賞を受けた。→トロメオ デスクランプ

トロメオ メガ

同じ機構で笠と台座を大きくした型である。腕と関節の部材は共通で、荷重が増えるぶん鋼線の張力が調整される。→トロメオ メガ

トロメオ ミクロ

小型の型である。部材を共通にしながら寸法だけを変えることで、狭い場所でも使える。→トロメオ ミクロ

アルテミデの他の製品(1968年〜)

40年以上にわたり同社の製品を手がけた。光源の性能と機構の条件から構成を決めるという進め方が共通する。

評価と影響

ファッシーナは、メーカーの技術部門に属する設計者として言及される。外形の造形ではなく、機構と光学の側から照明を成立させる立場にあった。

トロメオは1987年の発表以来、アルテミデの主要な製品として生産が続いている。腕の内側に鋼線を通して張力で保持する方式は、以後の卓上灯にも見られる。

1968年から40年以上にわたり同社に関わった。同社の照明が長期にわたり同じ機構を保っているのは、この体制によるところが大きい。

受賞・収蔵

受賞

  • 1989年 コンパッソ・ドーロ賞(トロメオ、ミケーレ・デ・ルッキと共同)

収蔵

4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したが、該当する収蔵は確認できなかった。イタリア国内の館については照合手段がない。

作品一覧

トロメオの系列はミケーレ・デ・ルッキとの共同設計による。

発表年 区分 作品名 ブランド
1987年 照明 トロメオ デスクランプ Artemide
1987年〜 照明 トロメオ メガ Artemide
1987年〜 照明 トロメオ ミクロ Artemide
1968年〜 照明 アルテミデの製品 Artemide

プロフィール

生没年 1935年〜2019年
出身地 イタリア・ミラノ
国籍 イタリア
活動拠点 ミラノ
分野 照明
主な協働ブランド Artemide

Reference

Giancarlo Fassina | Artemide
https://www.artemide.com/en/designers
Tolomeo | Artemide
https://www.artemide.com/en/products