概要
Tizio(ティツィオ)は、ドイツ出身の巨匠デザイナー、リチャード・サッパーが1972年にイタリアの照明メーカーArtemide(アルテミデ)のためにデザインした画期的なデスクランプである。2本の平行なアームと重りで釣り合いを取り、配線を露出させない構造をとる。
1979年にコンパッソ・ドーロを受賞している。
デザインの特徴とコンセプト
精緻なバランス機構
2本の平行なアームの反対側に重りを配し、支点をはさんで釣り合わせる。重力と釣り合っているため、どの角度でも手を離した位置で静止する。ネジで締めて固定する必要がない。アームは90度から180度の範囲で動く。
重りの位置と質量は、アームの長さとヘッドの重量から決まる。この関係が定まれば、可動域全体で釣り合いが保たれる。
配線を隠した構造
アームに沿ってコードを這わせれば、可動のたびにコードが引っ張られる。ベースに内蔵した変圧器で12Vまで降圧すれば、アームの金属自体を導体として使える。低電圧のため、露出した部材に触れても危険がない。関節部は構造の支点であると同時に電気の接点を兼ねる。
転倒した際は関節が外れることで、部材への力の集中を避ける。
ハロゲン光源の採用
光源にはハロゲンランプを用いる。同じ光量でも白熱電球より小型で済むため、ヘッドの寸法が小さくなる。ヘッドが軽ければ、釣り合いに必要な重りも軽くできる。小型のリフレクターと組み合わせ、光を一方向へ集める。
光量は2段階に切り替えられる。
デザインの背景とエピソード
机にクランプで固定する方式では、設置位置が縁に限られる。自立するベースを持てば、机上の任意の位置に置ける。小さなヘッドと長いアームという構成は、この条件から導かれている。
「Tizio」は、イタリア語で「誰でも」を意味する慣用句に由来する。
1990年代、安全規制への対応としてヘッドに赤い球の付いた棒が追加された。ハロゲンランプは高温になるため、ヘッドが机に直接触れると表面を損なう。棒が突き出していれば、一定の距離が保たれる。
評価と影響
可動照明では、アングルポイズ タイプ1227がスプリングで釣り合いを保ち、ジェルデ シグナル SI333が関節を摩擦で固定する。Tizioは反対側に置いた重りで釣り合わせる。いずれも手を離した位置で静止するが、拠りどころがバネの張力か摩擦か質量かで異なる。
1974年の第15回ミラノ・トリエンナーレでグランプリと金賞、1979年にコンパッソ・ドーロを受けている。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館、Met=メトロポリタン美術館)。
- MoMA ティツィオ テーブルランプ(1971年) 収蔵番号 198.1973
- Met 「ティツィオ」テーブルランプ(1972年) 収蔵番号 1988.236.10
製品バリエーション
Tizioは発表以来、様々なバリエーションが展開されてきた。オリジナルモデルであるTizio 50(ハロゲン電球50W仕様)を基本として、より小型のTizio 35(35W)、さらにコンパクトなベッドサイドランプとしても使用できるTizio Micro(20W)が開発された。また、フロアランプ版のTizio Terraも製造されており、70センチメートルの台座にTizioを組み合わせた構成となっている。
2008年には、環境配慮と省エネルギー化の要請に応える形で、LED光源を採用したTizio LED版が発表された。LED版は従来のハロゲンランプの赤い球体付きロッドを持たず、調光機能を備えた緑色のスイッチによって区別される。8W(60W電球相当)のLEDを搭載し、低消費電力でありながらデスクワークに十分な光量を提供している。
配色は黒のほか複数が展開される。アルミニウム仕上げなどの限定仕様も製作されている。
リチャード・サッパーの設計思想や経歴について詳しくはリチャード・サッパープロフィールページをご覧ください。
アルテミデの歴史や他の製品について詳しくはアルテミデブランドページをご覧ください。
基本情報
| 製品名 | Tizio(ティツィオ) |
|---|---|
| 分類 | デスクランプ/タスクライト |
| デザイナー | Richard Sapper(リチャード・サッパー) |
| 製造 | Artemide S.p.A.(アルテミデ) |
| デザイン年 | 1972年 |
| 主要素材 | アルミニウム塗装仕上げ、ABS樹脂、亜鉛合金(カウンターウェイト)、クロームメッキ鋼(アームスペーサー) |
| サイズ(Tizio 50) | 最大高さ119cm×最大幅108cm、ベース直径11cm |
| 光源 | ハロゲン電球 G4 12V 50W(オリジナル)/LED 8W(LED版) |
| 電圧 | 12V(ベース内トランスフォーマーにより降圧) |
| 原産国 | イタリア |