概要

リザルト・チェアは、フリソ・クラーマーとヴィム・リートフェルト(Wim Rietveld)が1958年に設計し、アーレンド・デ・シルケル(Ahrend De Cirkel)が製造した椅子である。打ち抜いた鋼板を折り曲げた脚に、成形した座と背を載せる。1960年代から70年代にかけてオランダの学校で大量に使われ、教室の椅子として記憶されてきた。2017年からはデンマークのHAY(ヘイ)がアーレンドの許諾を受けて生産している。

特徴・コンセプト

平らな鋼板から管に近い断面をつくる

脚には鋼管ではなく鋼板が使われている。打ち抜いた帯状の鋼板をU字形に折り、開いた側を内側に向けることで、閉じた管に近い断面が得られる。板のままでは曲げにも捩れにも弱いが、断面に高さを与えれば同じ厚みでも大きく強くなる。薄い材料のまま必要な強さに届かせる、という要求への答えがこの折り方にあたる。

この構成のため、脚は正面から見ると薄い板に見えるのに、体重をかけても保つ。学校の椅子は毎日動かされ、乱暴に扱われる。軽くて運べること、それでいて壊れないことは、どちらも外せない条件だった。

座と背の接合

座と背は成形した板で、脚から立ち上がる細い支持材に留められる。座の前縁は下へ丸め、腿の裏が当たる部分の角を落としている。背の支持材にはわずかな撓みが残されており、背を預けたときに身体の動きに追従する。現行品ではこの部分に、より柔軟な鋼の支持材と成形合板を組み合わせる方法が採られている。

現行品の座と背は成形合板で、表面にオークの突板を張る。脚は粉体塗装の鋼板で、木部の色と脚の色を別々に選べる。座に張り材を加えた仕様もある。初期の製品では、座と背に樹脂を含ませた繊維板や木製の板が用いられていた。

エピソード

デ・シルケルは鋼製家具の工場で、同じ分野で先行していたGispenに対抗できる製品を求めていた。設立者のヤン・スフレーファー(Jan Schröfer)は自社で設計者を抱える方針を採り、クラーマーとリートフェルトがその任にあたっている。この椅子は、1953年のリヴォルト・チェアで用いられた板金の構成法を引き継ぎ、工場の設備を前提に組み立てられた。

納入先の中心は学校だった。1960年代から70年代にかけてオランダ各地の教室に入り、当時の子どもが日常的に座る椅子になっている。翌1959年にはリートフェルトの設計によるピラミッド・コレクションが加わり、同じ脚の構成法による机や台と組にして納入できるようになった。

その後、生産は途絶えた。2014年、HAYの共同創業者ロルフ・ヘイがアーレンドを訪れた際にこの椅子を見て関心を示したことが再生産の発端になる。両社は協議のうえ、HAYがリザルトとピラミッドを国際市場で製造・販売する実施権を得た。再生産にあたっては、鋼材の加工と樹脂の技術が設計当時から進んだことを踏まえ、強さを保ったまま軽くする方向で仕様が見直されている。2017年2月のストックホルム家具見本市で披露され、同年10月25日にオランダ・ベルヘイクの国定記念物「De Ploeg」で正式に発表された。

評価と影響

発表当時は、鋼板を構造材として扱った点が新しいものとして受け止められた。アーレンドは、クラーマーとリートフェルトの設計がSigne d'Orを受けたと記している。

オランダでは、学校で座った椅子としてこの製品を記憶している世代が広くいるとされ、再生産の際にもその点が繰り返し語られた。教室向けに設計された椅子が住宅や飲食店で使われるようになった例にもあたる。

基本情報

名称 リザルト・チェア / Result Chair
デザイナー フリソ・クラーマー(Friso Kramer)、ヴィム・リートフェルト(Wim Rietveld)
ブランド アーレンド(Ahrend)
発表年 1958年
デザインの成立国 オランダ
主要素材 鋼板(粉体塗装)、成形合板(オーク突板、現行品)
サイズ(現行品) 幅455mm / 奥行485mm / 高さ810mm / 座面高460mm
現行品の製造 HAY(アーレンドの許諾による、2017年〜)

Reference