概要
PK24 ハンモックチェアは、ポール・ケアホルムが1965年に設計したシェーズロングである。ロココ期のフランスの長椅子がもつ曲線と寸法を参照しながら、サテン仕上げのステンレススチールのベースと、籐またはレザーのシート面という構成で組み直した。シートとベースは固定されておらず、重力と摩擦だけで保持される。当初はE.コルド・クリステンセンが製造し、1982年からフリッツ・ハンセンが生産している。
特徴・コンセプト
接合しない構造
スチールのベースフレーム、籐またはレザーのシート、レザーのヘッドレストという三つの要素は、いずれもボルトやビスで固定されていない。シートは弧を描くベースの上に載っているだけで、荷重がかかることで位置が定まる。留め具を持たないため、各要素は個別に取り外せる。
シートの位置は前後に動かせる。動かすと座面の角度が変わるため、起き上がった姿勢から深く寝かせた姿勢まで、機構を持たずに連続して調節できる。ケアホルムがこれをハンモックチェアと呼んだのは、身体を二点のあいだに懸架する構造だからである。
ヘッドレストのカウンターウェイト
レザーのヘッドレストには、ステンレススチールのカウンターウェイトが付く。錘の重さでシート面に留まるため、これも固定を必要としない。位置を動かせば、体格や姿勢に合わせて頭の当たる高さを変えられる。
スチールという選択
同時代のデンマークの設計者の多くが木材を主要素材としたのに対し、ケアホルムはスチールを選び続けた。PK24では、弧を描くスプリングスチールのベースが強度と軽い見え方を両立させている。同じ扱いはPK22 ラウンジチェアやPK20 ラウンジチェアにも共通する。
エピソード
PK24は、ケアホルムの協力者であったエイヴィンド・コルド・クリステンセンのもとで1965年に生産が始まった。1980年のケアホルムの没後、1982年にフリッツ・ハンセンがケアホルム・コレクションの製造と販売を引き継いでいる。
「PK」の接頭辞は、ケアホルムの存命中には用いられていなかった。作品を番号で整理する体系は、没後に整えられたものである。
評価と影響
装飾を持たない構成でありながら、ロココ期の長椅子がもつ曲線を残している点が特徴として挙げられる。歴史上の形式を調べ、素材と構造を置き換えるという進め方は、デンマークの家具設計に受け継がれてきたものである。
美術館コレクション
ニューヨーク近代美術館は、ステンレススチール・レザー・籐による1965年のPK 24シェーズロングを収蔵番号557.2010で登録している(2010年、マイケル・マハラムからの寄贈。寸法87×155×67cm)。
ポール・ケアホルムの設計思想や経歴について詳しくはポール・ケアホルムプロフィールページをご覧ください。
フリッツ・ハンセンの歴史や他の製品について詳しくはフリッツ・ハンセンブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | PK24 ハンモックチェア / PK24 Hammock Chair |
|---|---|
| デザイナー | ポール・ケアホルム(Poul Kjærholm) |
| ブランド | フリッツ・ハンセン(1982年〜)/E.コルド・クリステンセン(当初) |
| 発表年 | 1965年 |
| デザインの成立国 | デンマーク |
| 分類 | シェーズロング |
| 主要素材 | ベース:サテン仕上げステンレススプリングスチール/シート:籐またはレザー/ヘッドレスト:レザー(ステンレスのカウンターウェイト付) |
| サイズ | 幅67cm × 奥行155cm × 高さ87cm(MoMA登録記録) |
| 構造 | シートとベースは非接合。重力と摩擦のみで保持し、シート位置で角度を調節 |
| 収蔵 | ニューヨーク近代美術館(557.2010) |
Reference
- PK 24 Chaise Longue | MoMA
- https://www.moma.org/collection/works/139189