メルト ペンダント ── 点灯時と消灯時で表情を変えるペンダント照明

メルト ペンダント(Melt Pendant)は、英国のデザイナー、トム・ディクソン(Tom Dixon)がスウェーデンのデザインスタジオ「フロント(Front)」との協働により2015年に発表したペンダント照明である。ブロー成形と真空蒸着という工業技術によって、溶融するガラスを思わせる有機的な造形を実現している。点灯時には半透明の光を放ち、消灯時には鏡面のオブジェへと表情を変える二面性が、この照明の特徴である。

特徴・コンセプト

メルト ペンダントは、トム・ディクソンの「不完全で、有機的で、自然主義的な照明オブジェを創りたい」という発想から生まれた。サングラスのレンズ製造などに用いられる真空蒸着技術への関心が出発点となり、ポリカーボネートの球体を真空チャンバーに入れ、金属を気化させて薄い鏡面コーティングを施すという独自の製造工程が用いられている。

この造形を支えたのが、ストックホルムを拠点とするデザインスタジオ「フロント(Front)」である。ソフィア・ラーゲルクヴィスト(Sofia Lagerkvist)とアンナ・リンドグレン(Anna Lindgren)が率いるフロントの参画により、メルトは工業製品でありながら、吹きガラスが溶ける瞬間をとらえたような有機的なフォルムを得た。

素材にはポリカーボネートが用いられ、ドイツの製造施設でブロー成形と真空蒸着の工程を経て仕上げられる。この製造技術は、ドイツのエンジニアリング専門家との数年にわたる共同開発によって確立されたもので、一つひとつのシェードが微妙に異なる表情を見せる。点灯時にはシェード内部から光が透過し、不規則な表面で反射と屈折を繰り返すことで、溶融するガラスのような光景を生み出す。消灯時には半メタリックコーティングが鏡面となり、周囲を映し込むオブジェとなる。

エピソード

メルト ペンダントは2015年のミラノサローネ(Salone del Mobile)で初めて公開された。トム・ディクソンとフロントという、英国とスウェーデンの異なる背景を持つ二者の協働から生まれた作品である。

当初はゴールド、クローム、コッパーの仕上げで展開され、その後スモークなどの仕上げが加わった。光源には、調光に対応した内蔵LEDモジュールが用いられている。

メルトはペンダントにとどまらず、シャンデリア、サーフェスライト、フロアランプ、テーブルランプへと展開され、トム・ディクソンを代表するコレクションの一つとなっている。住宅のほか、ホテルやレストラン、商業施設でも用いられ、複数をまとめて吊り下げることで空間演出にも使われる。

評価

メルト ペンダントは、発表以来、照明デザインの分野で評価を得てきた。工業技術と造形を結びつけた設計は、点灯と消灯で表情が変わるという体験とともに、住宅から商業空間まで幅広く受け入れられている。

点灯と消灯という日常の所作によって照明器具の表情が変わること、そして光と影、透過と反射という対照的な要素を一つのオブジェにまとめた点が、メルトの特徴として挙げられる。

基本情報

商品名 メルト ペンダント / Melt Pendant
デザイナー トム・ディクソン(Tom Dixon)& フロント(Front)
ブランド トム・ディクソン(Tom Dixon / 英国)
発表年 2015年(ミラノサローネにて発表)
製造国 ドイツ
素材 ポリカーボネート(真空蒸着メタリック仕上げ)、スチール(シーリングローズ)
サイズ(スタンダード) 直径 約50cm × 高さ 約50cm
サイズ(ミニ) 直径 約27cm × 高さ 約27cm
ケーブル長 約250cm(クリアPVCケーブル)
光源 LED内蔵(6W / 最大9W、3000K、約800lm、調光対応)
カラーバリエーション ゴールド、クローム、コッパー、スモーク ほか
分類 ペンダントライト