Tom Dixon(トム・ディクソン)

Tom Dixonは、2002年にロンドンで設立された家具・照明のブランドである。設計者のTom Dixonが自身の名を冠して立ち上げたもので、金属の加工と表面処理を製品の要とする点に特徴がある。設計と企画を自社が担い、生産は外部の製造業者へ委託する構成を採る。2018年に本社をロンドン・キングスクロスの旧石炭事務所へ移し、事務所、店舗、工房、飲食施設を一つの建物にまとめている。

事業と製造の実体

Tom Dixonは自社工場を持たず、製品ごとに外部の製造業者へ生産を委託する。設計と素材の選定、表面処理の指定を自社が担い、量産の工程を委託先が引き受ける分担にあたる。本社のCoal Officeには工房が併設され、試作と少量の製作が行われる。

製造の性格を決めているのは金属の表面処理である。コッパー シェイドは、樹脂の球体の内面に金属を真空蒸着させて鏡面を作る方法で成形される。金属の板を絞る従来の方法では得られない薄さと均一な反射面が、この工程によって成立する。メルト ペンダントでは、加熱した樹脂を成形する過程で生じる不均一な厚みをそのまま形として残し、光の透過にむらを作る構成が採られている。

金属を主材とする製品では、真鍮や銅の板の加工と研磨、エッチングによる表面の加飾が用いられる。エッチ ティーライトキャンドルホルダーは薄い金属板を腐食させて透かしを作り、折り曲げて立体に組む構成である。ビート ライトでは、板金を槌で打って表面に凹凸を残す方法が用いられる。

製品は家具、照明、生活用品、香料まで及ぶ。2007年に設けたDesign Research Studioが、宿泊施設や飲食施設の内装設計を担っている。

沿革

設立まで

創業者のTom Dixonは、正規の設計教育を受けずに1980年代半ばから活動を始めた設計者である。廃材の鋼を溶接して家具を作る仕事で知られるようになり、イタリアのCappelliniのために設計したS Chairがその代表にあたる。1990年代後半には家具・生活用品の小売企業Habitatのクリエイティブディレクターを務めた。

ブランドの設立と拡張

2002年、Tom Dixonはロンドンで自身の名を冠したブランドを設立した。金属の加工と表面処理を軸とする製品群を展開し、照明と家具を中心に扱う。2007年には内装設計を担うDesign Research Studioを設けた。

本社は当初ロンドン西部のPortobello Dockに置かれたが、2018年にキングスクロスのCoal Officeへ移転した。石炭の集積場だった19世紀の建物を転用したもので、事務所、店舗、工房、飲食施設を同じ敷地にまとめる構成を採る。ミラノにはThe Manzoniの名称で、飲食施設と店舗と事務所を兼ねる拠点を設けた。このほかロンドン、香港、ニューヨーク、東京、上海、杭州に拠点を持つ。

デザイナーとの協働

Tom Dixonは、創業者本人がクリエイティブディレクターとして製品の設計を統括する体制を採る。外部の設計者へ個別に委嘱する家具メーカーとは異なり、設計の判断が社内に集約されている点が構成上の特徴にあたる。

製造を外部に委託するため、設計と製造業者の技術の突き合わせが開発の中心となる。金属の蒸着や樹脂の成形といった、家具の分野では一般的でない工程を持つ委託先を探し、その技術に合わせて製品の形を決める手順が採られてきた。

主な製品群

照明が製品の中心を占める。金属を蒸着させた球体のコッパー シェイド、樹脂の成形時の厚みのむらを形として残すメルト ペンダント、板金を槌で打つビート ライト、多面体のヴォイド ペンダントがある。

家具では、背と肘を高く囲うウイングバックチェアがある。生活用品では、金属板を腐食させて透かしを作るエッチ ティーライトキャンドルホルダーを扱う。

基本情報

ブランド名 Tom Dixon(トム・ディクソン)
設立 2002年
創業者 Tom Dixon
本社所在地 イギリス・ロンドン(キングスクロス、Coal Office。2018年〜)
事業内容 家具・照明・生活用品の設計、企画および販売(生産は外部委託)、内装設計
関連部門 Design Research Studio(内装設計、2007年設立)
公式サイト https://www.tomdixon.net

Reference