コッパー シェイド ― 銅の輝きが空間を変えた、トム・ディクソンの代表作

コッパー シェイド(Copper Shade)は、英国のデザイナー、トム・ディクソンが2005年に発表したペンダントライトである。真空蒸着(バキューム・メタライゼーション)という先端技術を照明デザインに応用し、ポリカーボネート製の球体の内側に純銅の薄膜を形成することで、鏡のように周囲を映し出す温かみのある金属光沢を実現した。発表以来、インテリアにおける「銅」のトレンドを牽引した作品として、現代照明デザインを代表する一作となっている。

デザインの特徴とコンセプト

コッパー シェイドの着想の原点は、サングラスや宇宙服のバイザーに用いられる真空蒸着技術への関心にある。トム・ディクソンは、この高度な工業プロセスを照明器具という日常の領域に転用するという大胆な発想により、従来の照明デザインの常識を覆した。

製造工程は精密である。まず、射出ブロー成形によって溶融したポリカーボネート樹脂を精密な金型に注入し、圧縮空気で膨らませて完全な球体を形成する。次に、この球体を真空チャンバーに収め、内部の空気を排出したのち、強力な電荷によって銅箔を気化させる。気化した金属粒子がポリカーボネートの内面に付着し、わずか0.02マイクロメートルという極薄の銅膜が鏡面仕上げを生み出す。

点灯時には銅特有の温かな光を放ち、消灯時にはオブジェとして周囲の風景を映し込む。この二面性がコッパー シェイドの魅力となっている。

誕生の背景

2000年代初頭、LED照明の普及が始まりつつあった時代において、初期のLEDが発する緑がかった色味は、インテリアの雰囲気を損なう要因のひとつとされていた。トム・ディクソンは、銅の持つ温かな反射特性に着目し、LEDの冷たい光を柔らかく変換する大型のリフレクターとして、このペンダントライトを構想した。

銅の温かな色調と球体の反射は、LEDの色味という当初の課題を解決するだけにとどまらなかった。コッパー シェイドの登場以降、銅を用いた照明やインテリアが世界的に広がり、素材としての銅の人気を押し上げた。

製造はドイツのパートナー工場において行われており、トム・ディクソンのチームはドイツのエンジニアリング技術と数年にわたる共同開発を通じて、ブロー成形と真空蒸着の技法を高度に洗練させてきた。

コレクションの展開

コッパー シェイドは、発表当初の球体型ペンダントから、多様なバリエーションへと展開を遂げている。

サイズ展開

直径25cmのコンパクトなモデルと、直径45cmの存在感あるラージモデルの2サイズが用意されている。小型モデルは単体でアクセントとして、大型モデルは空間の主役として、それぞれ異なる演出が可能である。複数を組み合わせてクラスター状に吊り下げることで、シャンデリアのような華やかな光景を生み出す手法も広く親しまれている。

形状とカラーの展開

球体を押しつぶしたワイド型や縦長のトール型など、形状のバリエーションも豊富に揃う。カラーにおいては、オリジナルのコッパーに加え、ブロンズとコッパーを掛け合わせたブロンズコッパー仕上げや、外面を漆黒のラッカーで仕上げ内面をアルミニウム蒸着としたブラックモデルなどが展開されている。また、フロアランプとしての仕様も存在し、空間に合わせた多彩な導入が可能である。

基本情報

製品名 コッパー シェイド(Copper Shade)
デザイナー トム・ディクソン(Tom Dixon)
ブランド Tom Dixon
発表年 2005年
製造国 ドイツ
素材 ポリカーボネート(銅の真空蒸着仕上げ)、パウダーコートメタル(シーリングローズ)
サイズ(25cmモデル) 直径25cm × 高さ22.5cm、コード長:約250cm
サイズ(45cmモデル) 直径45cm × 高さ41cm、コード長:約250cm
光源 E26 専用LED電球(クリア・調光対応、ランプ別売)/統合型LEDモジュール内蔵モデルもあり
カラー コッパー、ブロンズコッパー、ブラック
形状バリエーション ラウンド、ワイド、トール
分類 ペンダントライト