チェアワン パブリック(Chair_One Public Seating System)が長く愛される理由
世界各地の公共空間で長年にわたり採用されているチェアワン パブリック シーティングシステム。ドイツのインダストリアルデザイナー、コンスタンチン・グルチッチがイタリアの家具メーカーMagis(マジス)のために設計したこのシーティングシステムは、2004年に発表されたアイコニックなチェアワン(Chair_One)の幾何学的造形を公共空間向けに発展させたものである。三角形のフラットバーが織りなすダイキャストアルミニウムのシェルとコンクリートベースの対比は、機能性と造形性を兼ね備え、空港、美術館、駅舎など世界中の施設で採用されている。
このページでは、チェアワン パブリックの正規品仕様、類似の公共シーティングとの比較、使用感と空間への取り入れ方、メンテナンス方法、そして購入先情報まで、導入を検討されている方に必要な情報を網羅的にお伝えする。
コンスタンチン・グルチッチの設計思想や経歴について詳しくはコンスタンチン・グルチッチ プロフィールページをご覧ください。
チェアワン パブリックのデザインストーリーについて詳しくはチェアワン パブリック紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
チェアワン パブリック シーティングシステムにはSystem 1(コンクリートベース)とSystem 2(アルミニウムベース)の2種類が存在する。以下では、より広く流通しているSystem 1を中心にスペックを記載する。
| 正式名称(日本語) | チェアワン パブリック シーティングシステム 1 |
|---|---|
| 正式名称(英語) | Chair_One Public Seating System 1 |
| デザイナー | Konstantin Grcic(コンスタンチン・グルチッチ / ドイツ / 1965年–) |
| デザイン年 | チェアワン(Chair_One): 2004年発表。パブリックシーティングシステムはその後の展開。 |
| 製造ブランド | Magis S.p.A.(マジス / イタリア・トッレ・ディ・モスト) |
| 製造国 | イタリア |
| 座面素材 | ダイキャストアルミニウム(フッ素化チタン・スパッタリング処理+ポリエステルパウダー塗装) |
| コネクターバー素材 | 陽極酸化処理アルミニウム(光沢仕上げ) |
| ベース素材(System 1) | コンクリート(透明クリア塗装仕上げ / 床面固定対応) |
| ベース素材(System 2) | ダイキャストアルミニウム(ポリエステルパウダー塗装 / 床面固定対応) |
| サイズ(3席構成) | L 190cm(約74.8インチ)× H 80cm / 座面高 46.5cm / ベース直径 35cm |
| サイズ(4席構成) | L 約265cm(約104.3インチ)× H 80cm / 座面高 46.5cm |
| サイズ(5席構成) | L 約335cm(約131.9インチ)× H 80cm / 座面高 46.5cm |
| 構成バリエーション | 3席 / 4席 / 5席(各構成にミニテーブル追加可能) |
| 座面カラー | ホワイト、ブラック ほか |
| オプション | クッション(屋内用:Kvadrat Tempo / Gloss 2 / レザー、屋外用:ポリウレタン)、ミニテーブル(System 1:コンクリート製、System 2:HPL製) |
| 屋外使用 | 可 |
| 難燃性 | 難燃仕様 |
| 床面固定 | 対応(ベースにアンカー設置可能) |
| 参考価格帯(税込目安) | System 1:約350,000円〜500,000円前後(構成・席数・オプションにより異なる)/ System 2:コントラクト専用のため要見積 |
| 納期目安 | 受注生産:約10〜12週間 |
類似商品・競合との比較
チェアワン パブリックは、デザイン性と耐候性を兼ね備えたパブリックシーティングシステムとして独自の地位を占めている。同カテゴリの製品と比較することで、その特性がより明確になる。
比較対象
- Vitra Eames Tandem Seating
- チャールズ&レイ・イームズ設計の公共シーティングの定番。アルミニウムとファブリックの組み合わせで、空港ラウンジを中心に世界的に採用されている。快適性を重視した設計で、長時間の着座にも対応するが、主に屋内使用が前提となる。
- Landscape Forms Multiplicity
- アメリカのランドスケープファニチャーメーカーによる屋外パブリックベンチ。スチールとリサイクルプラスチックランバーを組み合わせ、公園や広場など屋外公共空間に特化した堅牢な設計が特徴。デザインの方向性はよりファンクショナルで控えめである。
- Fermob Luxembourg Bench
- フレデリック・ソフィア設計のフランス製スチールベンチ。パリ・リュクサンブール公園に由来する古典的なデザインを現代的に再解釈。豊富なカラーバリエーションと手頃な価格帯が魅力だが、構造的な革新性ではチェアワン パブリックと趣を異にする。
| 比較項目 | Chair_One Public(Magis) | Eames Tandem Seating(Vitra) | Luxembourg Bench(Fermob) |
|---|---|---|---|
| デザイン方向性 | 幾何学的・彫刻的 | ミッドセンチュリーモダン | クラシカル・フレンチ |
| 主素材 | ダイキャストアルミニウム+コンクリート | アルミニウム+ファブリック/レザー | スチール(粉体塗装) |
| 屋外使用 | 可 | 基本的に屋内 | 可 |
| 席数構成 | 3席 / 4席 / 5席 | 2席〜多数連結可能 | 2〜3人掛け |
| 参考価格帯 | 約35万円〜50万円 | 約50万円〜100万円以上 | 約10万円〜20万円 |
| テーブルオプション | あり | あり | なし(別途テーブル製品) |
選び方の指針
アイコニックなデザイン性と屋外対応を両立させたい場合は、チェアワン パブリックが最適な選択となる。ミッドセンチュリーの美学と長時間の快適性を重視する屋内空間にはイームズ・タンデム・シーティングが適しており、クラシカルな雰囲気と手頃な価格帯で屋外空間を彩りたい場合にはリュクサンブール・ベンチも有力な候補となる。
使用感と暮らし・空間への取り入れ方
座り心地と使用感
チェアワン パブリックは、5分から20分程度の短時間着座を主な使用シーンとして設計されている。ダイキャストアルミニウムのシェルは一見すると硬質に感じられるが、三次元的に成形されたメッシュ構造が身体を包み込むように支え、短時間の使用においては予想以上の快適性を提供する。オプションのクッション(屋内用:Kvadratファブリック/レザー、屋外用:ポリウレタン)を追加することで、着座感はさらに向上する。
グルチッチ自身が言及しているように、これはオフィスチェアやダイニングチェアのように長時間座ることを意図したものではなく、待合や休憩といった場面で、空間に佇むオブジェのような存在感とともに機能する家具である。
空間別のコーディネート提案
- 美術館・ギャラリー
- ホワイトの座面を選べば、美術空間の白壁と調和しつつ、コンクリートベースが建築的なアクセントとなる。作品鑑賞の合間に腰を休める場として、空間の一部として溶け込みながらも存在感を放つ。
- 商業施設・ホテルロビー
- ブラックの座面にレザークッションを組み合わせることで、ラグジュアリーな雰囲気を演出できる。ミニテーブルオプションを加えれば、タブレットや飲料を置くための機能性も確保される。
- テラス・ガーデン
- 屋外使用に対応した耐候性を活かし、テラスや中庭に設置することで、建築と家具の境界を曖昧にするランドスケープデザインが実現する。コンクリートベースの重量により、風による転倒や移動を防ぐことができる。
- 交通施設
- 空港や鉄道駅の待合空間において、機能的かつ象徴的な存在として機能する。床面固定に対応しているため、公共空間のセキュリティ要件にも適合する。
経年変化とメンテナンス
アルミニウム座面・コネクターバー
ダイキャストアルミニウムにフッ素化チタンのスパッタリング処理とポリエステルパウダー塗装が施されているため、通常の使用環境では錆びや腐食が極めて生じにくい。長年の使用により塗装面に微細な擦過痕が蓄積することはあるが、これはアルミニウム素材特有の味わいとして受け止められることが多い。
コンクリートベース
コンクリートベースは透明クリア塗装が施されており、経年とともにわずかな色調の変化が見られる場合がある。屋外設置の場合、雨水や紫外線の影響で自然な風合いの変化が生じ、周囲の景観と一体化していく過程を楽しむことができる。
日常メンテナンス
Magis公式の推奨に従い、柔らかい布で乾拭きまたは水拭きを行う。必要に応じて中性洗剤を水で希釈して使用する。研磨剤入りのスポンジは塗装面に傷をつける恐れがあるため使用しない。酸性洗剤、溶剤、アンモニア含有製品も避けること。定期的な清掃により、製品本来の美しさを長期間維持することができる。
修理・パーツ交換
座面シェル、コネクターバー、ベースはそれぞれ独立した部品として構成されているため、部分的な交換が可能である。正規代理店を通じてMagis本社に修理・パーツ交換を依頼することができる。
どこで買うか:正規販売店と購入方法
国内正規販売ルート
- Magis Japan(マジスジャパン)
- 日本における正規輸入代理店。製品相談、見積依頼、コントラクト案件の対応が可能。
- MAGIS SHOP(マジス公式オンラインストア)
- magis-shop.jp にて一部製品のオンライン購入が可能。パブリックシーティングシステムは構成が複雑なため、個別見積対応となる場合がある。
- 正規取扱店
- ザ・コンランショップ、トーヨーキッチンスタイル、FLYMEe(フライミー)など、国内の正規ディーラーにて取り扱いがある。実物展示の有無は店舗により異なるため、来店前に確認されたい。
実物を確認できる場所
パブリックシーティングシステムは主にコントラクト向け製品であるため、一般の家具店舗での常設展示は限定的である。Magis Japanに直接問い合わせることで、納入実績のある施設での実物確認や、ショールームでの座面シェル単体の確認が可能な場合がある。単体のチェアワン(4脚仕様、コンクリートベース仕様)は主要取扱店で展示されていることが多く、座面の質感やサイズ感を確認する参考となる。
中古・ヴィンテージ市場
チェアワン パブリックは主にコントラクト納入品であるため、個人向け中古市場への出回りは極めて少ない。施設のリニューアル等に伴い放出される場合があるが、状態の確認と正規品であることの確認が重要となる。
購入時チェックリスト
- 正規品であることの確認(Magisロゴの刻印、正規代理店からの購入証明)
- 設置場所の実測(3席:L190cm、4席:L265cm、5席:L335cm + 前後左右のクリアランス)
- 搬入経路の確認(コンクリートベースは重量があるため、搬入経路の幅・段差を事前に確認)
- 床面固定の要否確認(アンカー工事が必要な場合は施工業者の手配)
- 屋外設置の場合、地面の水平性と排水状況を確認
- 構成の決定(席数、ミニテーブルの有無、クッションの有無と素材)
- 納期の確認(受注生産のため10〜12週間程度)
- 配送・設置サービスの内容と費用の確認
- 保証内容の確認
配送・設置に関する注意事項
コンクリートベースを含むシステム全体は相当の重量となるため、一般的な宅配便での配送は困難な場合がある。大型家具専門の配送業者による搬入・設置が推奨される。屋外設置の場合、アンカーによる床面固定工事が別途必要となる場合があり、設置場所の管理者との事前調整が求められる。
コーディネート事例
ミニマルモダン空間
コンクリート打ち放しの壁面やテラゾー床を背景に、ホワイトの座面を配置する。Magisのテーブルワン ビストロ(Table_One Bistrot)を組み合わせれば、同一ファミリーによる統一感のあるコーディネートが完成する。グルチッチが手がけたFlosのMAYDAYランプを傍らに設置すれば、デザイナーの世界観を一層深く表現できる。
インダストリアルモダン空間
鉄骨やスチール梁が露出するリノベーション空間に、ブラックの座面を設置する。コンクリートベースが空間の素材感と呼応する。ジャン・プルーヴェのスタンダードチェアとの組み合わせも、産業デザインの系譜を意識したコーディネートとなる。
ランドスケープとの融合
植栽に囲まれた中庭やルーフテラスに設置し、自然素材との対比を楽しむ。コンクリートベースの無骨な質感がグリーンの中で存在感を発揮し、都市空間におけるアートインスタレーションのような景観を創出する。Kettal社やDedon社のアウトドアコレクションとの共演も効果的である。
よくある質問
- チェアワン パブリックの正規品の価格はどのくらいですか?
- 構成や席数、オプションにより異なりますが、System 1(コンクリートベース)の3席構成で参考価格は約35万円〜、ミニテーブル付き4席構成で約44万円〜が税込目安となります。System 2(アルミニウムベース)はコントラクト専用のため、個別見積が必要です。正確な価格はMagis Japan または正規取扱店にお問い合わせください。
- どこで購入できますか?
- Magis Japan(マジスジャパン)、MAGIS SHOP(公式オンラインストア)、ザ・コンランショップ、トーヨーキッチンスタイル、FLYMEe などの正規取扱店で購入・見積依頼が可能です。パブリックシーティングシステムはコントラクト向け製品の性格が強いため、Magis Japanへの直接相談をお勧めします。
- 実物を確認できる場所はありますか?
- パブリックシーティングシステムの常設展示は限定的ですが、Magis Japanに問い合わせることで確認可能な場合があります。座面シェルの質感やサイズ感は、単体のチェアワン(4脚仕様やコンクリートベース仕様)が主要取扱店で展示されていることが多いため、そちらで参考にすることができます。
- 納期はどのくらいですか?
- 受注生産のため、通常10〜12週間程度です。構成やカラーによって変動する場合がありますので、余裕をもって計画されることをお勧めします。
- 屋外に設置しても問題ありませんか?
- チェアワン パブリックは屋外使用に対応しています。座面シェルにはフッ素化チタンのスパッタリング処理とポリエステルパウダー塗装が施されており、耐候性・耐食性に優れています。コンクリートベースの重量により安定性も確保されています。ただし、屋外設置の場合はアンカーによる床面固定を推奨します。
- メンテナンスはどのようにすればよいですか?
- 柔らかい布で乾拭きまたは水拭きが基本です。汚れが気になる場合は中性洗剤を水で薄めて使用してください。研磨剤入りのスポンジ、酸性洗剤、溶剤、アンモニア含有製品の使用は避けてください。定期的な清掃により長期間美しい状態を保つことができます。
- 個人の住宅にも設置できますか?
- 設置自体は可能ですが、パブリックシーティングシステムは本来公共空間向けに設計されています。個人住宅のテラスや広い庭に設置するケースもありますが、搬入経路の確保と設置スペースの十分な検討が必要です。個人住宅で同様の座面デザインを楽しみたい場合は、単体のチェアワン(4脚仕様:参考価格 約83,600円税込)やチェアワン コンクリート(参考価格 約132,000円〜税込)も検討されるとよいでしょう。
- 他に検討すべき名作パブリックシーティングはありますか?
- 同じMagisからはグルチッチによるBellチェアのビーム連結仕様、Jasper MorrisonによるAirチェアのスタッキング活用も公共空間で実績があります。また、VitraのEames Tandem SeatingやHerman MillerのNelson Platform Benchも公共シーティングの名作として知られています。詳しくはガーデンファニチャー一覧ページもご覧ください。