概要

バードチェアは、ハリー・ベルトイアがノルのために設計し、1952年に発表したハイバックのラウンジチェアである。曲げたスチールロッドを溶接して格子状のシェルを組み、背を頭の高さまで立ち上げている。同じ構造のオットマンと対で用いられ、ノルの型番はチェアが423LU、オットマンが424YU。発表以来ノルが生産を続けている。

特徴・コンセプト

頭まで受け止める背

ノルが伝えるベルトイアの回想によれば、彼は調査から形を導くのではなく、自分の身体を手がかりに、自分ならどのような椅子がほしいかを考えることから始めた。線材を曲げて形を探るうちに、ひとつはサイドチェアの形をとり、もうひとつは上へ伸びて頭まで支える形になっていった。ノルはこの回想を、バードチェアの成り立ちとして紹介している。

高さ約102cmに対して座面高は約37cmと低く、腰を落として背中から頭までをシェルに預けて座ることになる。幅も約98cmあり、肩から頭までを大きな面で包む。

線材の格子でつくるシェル

シェルはロッドを交差させて溶接した格子でできている。荷重は交点を介して格子全体に分散するため、細い線材でも身体を受ける面として働く。背の高い大きなシェルを、板材や成形品を使わずに組み上げられるのはこの構造による。

脚もスチールロッドを溶接したそり型で、床に当たる部分には樹脂のグライドが付き、床面を傷めないようにしている。フレームの仕上げはポリッシュクロームめっきと、耐久性の高い樹脂被膜であるリルサンのブラックとホワイトが用意される。

フルカバーの張地

現行品はシェル全体を張地で覆うフルカバー仕様で供給される。カバーはモノフィラメントと金属フックでフレームに直接留められ、留め具は表に出ない。外側には格子の線を見せ、身体に触れる面は張地でまとめる構成である。

座面と同じ高さのオットマン

オットマンも溶接したスチールロッドの枠をフルカバーで覆ったもので、幅約60cm、奥行約44cm。高さは約37cmで、チェアの座面高と揃えてある。座面と同じ高さで脚を前へ伸ばせるため、チェアと組み合わせると、腰から足先までをほぼ一続きに預けられる。

エピソード

ノルによれば、ハンス・ノルとフローレンス・ノルはベルトイアに家具の設計を求めず、関心のあることを自由に探るよう促し、何か興味深いものができたら見せてほしいとだけ伝えていた。

ベルトイアは線材を手にしたとき、自分になじむ素材だと感じたという。どのような形に曲がるか、それを加工する道具があるかを確かめながら、実際に座って椅子として成り立つ形を探った。手で触れられる実物が目の前にあると変更を加えやすい、とも述べている。

バードチェアは1952年、ベルトイア サイドチェアやベルトイア ダイヤモンドチェアとともに、ベルトイアのワイヤー家具のコレクションとして発表された。

評価と影響

ベルトイアのワイヤーチェアは、一般にミッドセンチュリーモダンを代表する家具のひとつとして扱われている。ノルはバードチェアを、サーリネンやミースと同じく工業材料に造形の美しさを見いだし、日用の道具を越えた作品に仕上げた例として紹介している。

シリーズ全体の構成はベルトイア コレクションで扱っている。

収蔵

シカゴ美術館は、1952年設計、1965〜66年製造のチェアとオットマンの組を「Bird Chair and Ottoman」として収蔵番号2017.424a-bで登録している。同館の記録では素材はスチールとウールである。

基本情報

名称 バードチェア&オットマン / Bird Chair and Ottoman
デザイナー ハリー・ベルトイア(Harry Bertoia)
ブランド ノル(Knoll)
発表年 1952年
デザインの成立国 アメリカ
分類 ラウンジチェア、オットマン
型番 423LU(チェア)、424YU(オットマン)
主要素材 溶接スチールロッド、張地(フルカバー)
フレーム仕上げ ポリッシュクローム、リルサン(ブラック/ホワイト)
サイズ(チェア) 幅約98cm × 奥行約84cm × 高さ約102cm、座面高約37cm
サイズ(オットマン) 幅約60cm × 奥行約44cm × 高さ約37cm
生産状況 1952年より継続生産(ノル)
収蔵 シカゴ美術館(2017.424a-b)

Reference