イームズ ワイヤーチェア アウトドアは、チャールズ&レイ・イームズが1951年に発表したワイヤーチェアを、パウダーコート仕上げにより屋外で使えるようにしたモデルである。曲げて溶接したスチールワイヤーでつくられた一体のシェルは、プラスチックシェルチェアと同じ形を金属で置き換えたもので、座面が透けて見えるぶん、置かれた場所の風景を遮らない。

特徴・コンセプト

シェルは細いスチールワイヤーを曲げ、格子状に組んで溶接したものである。イームズ夫妻は、ワイヤートレーやドレスフォーム、籠といった既存の金網製品から形態のヒントを得ている。ファイバーグラスで実現した有機的なシェルを、まったく異なる素材と工法で再現するという課題が、この椅子の出発点だった。

構造と溶接技術

ワイヤーは抵抗溶接によって接合される。自動車や航空機の分野で使われていたこの工法を椅子の量産に持ち込んだことが、当時としては新しかった。シェルの縁には細いゲージのワイヤーを二重に巻き、強度と手触りの両方を確保している。1955年5月17日、チャールズ・イームズはハーマンミラー社への譲渡人として、この構造に対する米国特許 2,708,476「Furniture Frame Construction」を取得した。

アウトドアモデルはパウダーコート仕上げにより、紫外線や雨風への耐性を得ている。

エッフェルタワーベース

シェルを支える脚部は、その形から「エッフェルタワーベース」と呼ばれる。細いスチールロッドで組まれたこのベースは、シェルの網目と同じ視覚的な密度を持ち、椅子全体が一続きの線として見える。シェルは他のベースとも組み合わせ可能で、この交換性はイームズ夫妻のシェルチェア群に共通する考え方である。

シートパッド

座面のみを覆うシートパッドと、座面と背もたれを二分割で覆う通称「ビキニパッド」の二種類がオプションとして用意されている。ワイヤーの網目を残すかどうかで、椅子の印象は大きく変わる。

エピソード

ワイヤーチェアは、ニューヨーク近代美術館が主催した「Low Cost Furniture(低価格家具)」コンペティションとの関連のなかで開発され、1950年のプラスチックシェルチェアに続いて1951年に発表された。ハーマンミラー社は1951年から1967年にかけて、さまざまなバージョンを生産している。1952年にはホーム・ファッションズ・リーグのトレイルブレイザー賞を受賞した。

金網の加工については、イームズ夫妻の友人であり、のちにダイヤモンドチェアを設計するハリー・ベルトイアの知見が影響したとも言われている。彼は金属加工の基礎に通じていた。

屋外仕様は近年になって加わった。ヴィトラは2013/14年にパウダーコート仕上げの「DKR Outdoor」を発表し、2016年にはワイヤーチェア全体の高さを20mm引き上げている。設計は変えず、座面高だけを現代の体格とテーブル高に合わせた調整である。ハーマンミラーもパウダーコート仕上げの屋内外兼用モデルを展開し、デンマークのデザインハウスHAYとの協業によるカラーバリエーションも加わっている。

評価

ワイヤーチェアは、量産技術と造形を同じ問題として扱ったイームズ夫妻の姿勢が最もよく見える椅子のひとつである。プラスチックシェルと同じ有機的な形を、抵抗溶接という別の工法で成立させた点に、この椅子の要点がある。

「快楽が有用でないと誰が言えるだろうか」というチャールズ・イームズの言葉が示すとおり、この椅子は合理性の産物でありながら、見ていて楽しい。デザインの成功とは最も多くの人に恩恵をもたらすことだ——夫妻のこの考え方が、低価格で量産できる椅子という形をとった。

基本情報

製品名(日本語) イームズ ワイヤーチェア アウトドア
製品名(英語) Eames Wire Chair Outdoor
デザイナー チャールズ&レイ・イームズ(Charles & Ray Eames)
発表年 1951年(ワイヤーチェア)
メーカー Herman Miller(北米ほか)、Vitra(ヨーロッパ・中東)
素材 パウダーコート仕上げスチールワイヤー
ベース エッフェルタワーベース(DKR)ほか、シェルは他ベースとも組み合わせ可能
使用環境 屋内・屋外兼用
オプション シートパッド、ビキニパッド(座面・背もたれ二分割)
関連特許 US Patent 2,708,476「Furniture Frame Construction」(1955年5月17日)