ETR(Elliptical Table Rod Base)は、1951年にチャールズ&レイ・イームズが設計したローテーブルである。天板は全長2メートルを超える細長い楕円形で、その輪郭がサーフボードを思わせることから「サーフボード・テーブル」の通称が定着した。
天板を支えるのは、細いスチールロッドを曲げて溶接した2組のベース。イームズのワイヤーチェアやLTRサイドテーブルにも用いられた構造で、それを2メートルを超える天板に合わせて拡張したものである。
特徴・コンセプト
天板
天板はポプラ合板を芯材とし、表面に高圧ラミネートを貼り、木口はラッカーで仕上げる。色は白と黒の2色。曲面ではなく平面の楕円であり、輪郭の張り出しかたと厚みの薄さによって、あの細長い印象がつくられている。
ロッドベース
脚部は、曲げたスチールワイヤーを溶接して剛性を出す構造をとる。イームズ夫妻が繰り返し用いた手法で、線材だけで構成されるため床に落ちる影が細く、天板が浮いているように見える。仕上げはクロームメッキとパウダーコートの2種類がある。2組のベースが天板の両端寄りに配され、細長い天板の中央部分は脚に遮られない。
空間の中での働き
226センチという長さは、通常のコーヒーテーブルの倍近い。ソファの前に置けば端から端までが座面の幅を超え、複数の座席を横に繋ぐ帯として働く。高さは25センチほどで、視線を遮らない。長さのぶんだけ設置に面積を要するため、ヴィトラは住宅用途を推奨している。
名称の由来
ETRという型番は Elliptical Table Rod Base の頭文字である。「サーフボード・テーブル」という通称は、細長い楕円の輪郭がサーフボードに似ていたことから、自然に広まったものとされる。正式な製品名ではないが、現在はメーカーの製品説明にも登場する。
評価
ETRは、イームズ夫妻が家具の脚部として繰り返し使ったロッドベースの構造を、最も大きな天板に適用した例である。線材の脚と、厚みを抑えた平面の天板。この2要素だけで構成されているために、真上から見たときの楕円と、横から見たときの水平線が、それぞれ独立した図形として読める。
同時代の彫刻家イサム・ノグチやアレクサンダー・カルダーの造形と並べて論じられることが多いのも、こうした輪郭の明快さによる。現在はヴィトラが欧州・中東向けの正規製造元として生産を続けており、住宅のリビングスペースに採用され続けている。
基本情報
| 正式名称 | ETR (Elliptical Table Rod Base) |
|---|---|
| デザイナー | チャールズ&レイ・イームズ(Charles & Ray Eames) |
| 発表年 | 1951年 |
| 製造元 | ヴィトラ(Vitra、欧州・中東)/ハーマンミラー(Herman Miller) |
| 素材 | 天板:ポプラ合板の芯材+高圧ラミネート仕上げ、木口ラッカー塗装/脚部:スチールワイヤー(クロームメッキまたはパウダーコート) |
| 寸法 | 約 W2260 × D746 × H254 mm(製造元・年代により若干の差がある) |
| カラー | 天板:ホワイト/ブラック |
| 別称 | サーフボード・テーブル(Surfboard Table) |
| カテゴリー | コーヒーテーブル/ローテーブル |