概要
ブラウン LE1は、1959年にブラウンが発表したスピーカーである。筐体の設計はディーター・ラムスによる。振動板を平面のまま静電気で駆動する方式をとり、ドイツ市場では初の静電型スピーカーにあたる。名称はドイツ語のLautsprechereinheit(スピーカーユニット)に由来する。
特徴・コンセプト
平面の振動板
一般的なスピーカーは円錐形の振動板を中心から押し出して鳴らす。静電型は薄い膜を電極で挟み、静電気の力で膜全体を一様に動かす。振動する面が広く軽いため、前面のほぼ全体が音を出す。
この方式では、振動面が矩形の平面になる。ラムスの筐体は、その形をそのまま外形として扱っている。円錐型のように奥行のある箱を必要としないため、薄い板を立てたような姿になる。
脚で持ち上げる
本体はニッケルめっきのスチール管の脚に載る。床に直接置くと振動が伝わり、また平面の振動板は前後の両方向に音を出すため、背面側にも空間が要る。脚で持ち上げることで、両方の条件を満たしている。
グレーの金属フレームに、グラファイト色の穴あき金属板を組み合わせる。当時の音響機器は木製の家具調の外装をまとうものが多く、金属の面をそのまま見せる構成は異なる方向にあった。
システムの一部として
LE1は、ブラウン初のHi-Fiシステム「Studio 2」の一部として開発された。パワーアンプCV11、チューナーCE11、コントロールユニットCS11と組み合わせて使う。4芯のケーブルで音声信号と電源を同時に送る方式がとられた。
エピソード
静電型スピーカーの技術は、1950年代に英国のクアッド社でピーター・J・ウォーカーが開発したものである。ブラウンは1959年にこの技術のライセンスを取得した。内部の静電パネルはクアッドのESL-57を基にしており、トランスと高電圧回路はブラウンが設計した。
生産終了後、ドイツ・コブレンツのクアッド代理店が再生産を計画し、ラムスにライセンスを求めた。ラムスは、外観をオリジナルと同一にすること、品質に妥協しないことを条件に許可している。
ブラウンは1990年代初頭にオーディオ事業から退いたが、2019年にLEシリーズを発表して市場に戻った。現行のLE01、LE02、LE03は、ロンドンのPrecipice Designが設計を手がけている。
評価と影響
構造を覆い隠さず、素材の面をそのまま見せる構成をとる。同じラムスによる606ユニバーサルシェルビングシステムや620 チェア・プログラムにも、部材を隠さずに構成する扱いが共通する。
美術館コレクション
ニューヨーク近代美術館は、穴あき金属の前面パネルとニッケルめっきスチールのスタンドを持つ金属筐体のスピーカー(モデルLE 1)を収蔵番号556.1964で登録している(製造元からの寄贈。同館は制作年を1960年とし、寸法を76.2×81.3×31.4cmと記録している)。
ディーター・ラムスの設計思想や経歴について詳しくはディーター・ラムスプロフィールページをご覧ください。
ブラウンの歴史や他の製品について詳しくはブラウンブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | ブラウン LE1 / Braun LE1 |
|---|---|
| デザイナー | ディーター・ラムス(Dieter Rams/筐体) |
| ブランド | ブラウン(Braun) |
| 発表年 | 1959年 |
| デザインの成立国 | ドイツ |
| 分類 | スピーカー(静電型) |
| 方式 | 静電型(薄い膜を電極で挟み、面全体を駆動) |
| 主要素材 | 金属フレーム、穴あき金属パネル、ニッケルめっきスチール管の脚 |
| 技術ライセンス | クアッド(Acoustical Manufacturing Co. Ltd.) |
| 関連製品 | Studio 2 Hi-Fiシステム(CV11/CE11/CS11) |
| 収蔵 | ニューヨーク近代美術館(556.1964) |
Reference
- Speaker (model LE 1) | MoMA
- https://www.moma.org/collection/works/4081