概要
トニエッタは、エンツォ・マーリが1985年に発表したチェアである。ザノッタが製造する。アルミニウム合金のダイカストによるフレームと、円形の座面、半球状の背もたれで構成される。1987年にコンパッソ・ドーロを受けた。
特徴・コンセプト
ダイカストで細い部材をつくる
アルミニウム合金のダイカストは、溶けた金属を金型に圧入して成形する。鋼材を曲げて組む場合に比べ、断面の形を場所ごとに変えられるため、荷重のかかる箇所だけを太くできる。細い線材のまま強度を確保し、片手で持てる軽さに収まっている。
当時この製法は費用が高く、家庭用の椅子には広く使われていなかった。プロジェクトは1981年に始まり、完成まで4年を要している。
座面と背もたれの形
座面は円形、背もたれは半球状をとる。単純な幾何形態を組み合わせることで、向きによる差が生まれない。座面が円形であれば、正面という方向が決まらない。
素材
フレームは磨いたアルミニウム合金、またはブラック塗装のアルミニウム合金による。座面と背もたれはポリプロピレンを芯に、革で覆う仕様がある。
エピソード
マーリは、この椅子について、できるかぎり単純でほとんど自明な椅子を設計したかったと述べている。
1986年にニューヨークの国際デザインフェアでチェア部門の第1位を、翌1987年にコンパッソ・ドーロを受けた。コンパッソ・ドーロの審査では、形態の要素を模倣せずに原型を想起させる点が評価されている。
評価と影響
細い部材で椅子を構成するという方向は、ミヒャエル・トーネットが19世紀に確立した曲木の椅子にさかのぼる。トニエッタは同じ課題を、木の曲げではなく金属の鋳造で解いている。
同じザノッタではアラベスコ・テーブルが合板を曲げて構成しており、素材と製法の選択が異なる。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館)。
- MoMA トニエッタ チェア(1985年) 収蔵番号 1419.2001
エンツォ・マーリの設計思想や経歴について詳しくはエンツォ・マーリプロフィールページをご覧ください。
ザノッタの歴史や他の製品について詳しくはザノッタブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | トニエッタ / Tonietta |
|---|---|
| デザイナー | エンツォ・マーリ(Enzo Mari) |
| ブランド | ザノッタ(Zanotta) |
| 発表年 | 1985年(開発開始は1981年) |
| デザインの成立国 | イタリア |
| 分類 | チェア |
| 構造 | アルミニウム合金のダイカスト。荷重のかかる箇所だけ断面を太くする |
| 主要素材 | アルミニウム合金(磨き/ブラック塗装)、ポリプロピレン、革 |
| サイズ | 幅39cm × 奥行48cm × 高さ82cm、座面高46.5cm |
| 受賞 | 1986年 ニューヨーク国際デザインフェア チェア部門第1位/1987年 コンパッソ・ドーロ |
| 収蔵 | MoMA(1419.2001) |
Reference
- Tonietta Chair | MoMA
- https://www.moma.org/collection/works/3944
- Tonietta | Zanotta
- https://www.zanotta.com/en-us/products/tonietta