モーエンセン 3236 チェア
1956年、デンマークの家具デザイナー、ボーエ・モーエンセン(Børge Mogensen, 1914–1972)は、自身の代表作であるJ39チェアを起点に、新たなダイニングチェアを設計した。それがModel 3236である。ペーパーコードの座面に代えてファブリックやレザーの張り座を採用し、フレームをより堅牢に仕上げたこの椅子は、J39の民主的な精神を受け継ぎながら、空間に静けさと品格をもたらす一脚として生まれた。
モーエンセンは1955年にフレデリシア社のデザイン責任者に就任し、同社のために新しい家具コレクションの設計を託された。3236チェアはその最初期の成果のひとつであり、以来70年近くにわたって生産が続けられている。
概要
モーエンセン 3236チェアは、1947年にデザインされたJ39チェア――「ピープルズチェア(みんなの椅子)」の愛称で親しまれるデンマーク家具史屈指のベストセラー――を発展させた作品である。J39が手織りペーパーコードの座面と細身の無垢材フレームによって軽やかな佇まいを見せるのに対し、3236チェアはより太く力強いフレームと、フォームを内蔵した張り座によって、ゆったりとした座り心地と視覚的な安定感を実現している。
本作はフレデリシア社の「エリッツォ・コレクション(Erritsø Collection)」に位置づけられている。背もたれには無垢材と成型合板を組み合わせ、座面は合板コアにHRまたはCMHRフォームを充填したうえでファブリックまたはレザーで覆う構造を採用する。素材の選択によって表情が変わり、ウール、ブークレ、リネン混紡、ベルベット、各種レザーなど幅広い仕上げから選べる。
特徴・デザインコンセプト
3236チェアの設計は、寸法と人体の関係を検証するところから始められている。スポークと脚の太さ、背もたれの曲率、座面の高さと奥行きが、長時間の着座を快適に支えるために調整されており、余分な要素を省いた明快な構成となっている。
J39からの進化
J39のプロポーションを基調としつつ、3236チェアではフレーム各部をより太く堅牢に仕上げている。脚を繋ぐ貫(ぬき)もJ39より太く、公共施設での使用にも耐える構造強度を備える。ペーパーコードに代わる張り座の採用は、座り心地を高めるとともに、椅子の印象をよりフォーマルなものにしている。
素材と仕上げの多様性
フレームにはFSC認証のオーク材を用い、ソープ仕上げ、オイル仕上げ、ライトオイル仕上げ、ブラックラッカー仕上げの4種から選べる。張り地はKvadrat社のHallingdalやSteelcut Trioといったウール素材から、リネン混紡、モヘアなどのベルベット、各種レザーまで、幅広い選択肢が用意されている。
控えめな佇まい
モーエンセンは、家具とは静けさを生み、控えめな佇まいをもって人々の飾らない暮らしを支えるものであると考えていた。3236チェアはその考えを表す一脚であり、主張しすぎることなく、確かな存在感をもって空間になじむ。装飾を排し、素材そのものの美しさとプロポーションの調和によって品格を保つ点に、モーエンセンの家具観が表れている。
エピソード
「ピープルズチェア」の系譜
J39が「みんなの椅子」と呼ばれたのは、その簡素な構造と手頃な価格ゆえに、デンマーク全土の家庭から教会、食堂に至るまであらゆる場所で使われたからである。3236チェアはその民主的な精神を引き継ぎつつ、張り座の導入によってダイニングにふさわしい洗練を加えた、J39の成熟した姿ともいえる存在である。
モーエンセンベンチとの共演
3236チェアの翌年、1957年にはコンパニオンピースとしてモーエンセンベンチ(Model 3171)が発表された。チェアと同じ構造を下部に持ちながら、背もたれのあるベンチという形式で展開されたこの作品は、3236チェアと並べることで統一感のあるダイニング空間をつくる。直線を基調とした端正なフォルムは、テーブルの片側にベンチ、反対側にチェアという現代的なレイアウトにも対応する。
評価
モーエンセン 3236チェアは、デンマーク・モダンデザインの代表的なダイニングチェアとして国際的に評価されている。名作J39の精神を継承しつつ、張り座による快適性の向上と素材の多様性を実現した点が、デザインの専門家やインテリア愛好家から支持されている。
フレデリシア社はB Corp認証を取得しており、3236チェアもFSC認証材の使用、分離・交換が可能なコンポーネント設計、修復可能な構造など、サステナビリティへの配慮がなされている。デンマークの工場で一脚ずつ製造され、世界各地の住宅、レストラン、オフィス、公共施設で採用されている。70年近くを経て現行品として生産が続いていることが、この椅子の価値を示している。
基本情報
| 名称(日本語) | モーエンセン 3236 チェア |
|---|---|
| 名称(英語) | Mogensen 3236 Chair |
| モデルナンバー | Model 3236 |
| デザイナー | ボーエ・モーエンセン(Børge Mogensen, 1914–1972 / デンマーク) |
| デザイン年 | 1956年 |
| ブランド | Fredericia(フレデリシア / デンマーク) |
| 製造国 | デンマーク |
| カテゴリ | ダイニングチェア |
| コレクション | エリッツォ・コレクション(Erritsø Collection) |
| サイズ | W53 × D46.5 × H75 cm(座面高:46 cm) |
| フレーム素材 | オーク無垢材、成型合板(背もたれ)。FSC認証材使用 |
| 座面構造 | 合板コアにHRまたはCMHRフォームを充填、ファブリックまたはレザー張り |
| フレーム仕上げ | オーク ソープ仕上げ / オイル仕上げ / ライトオイル仕上げ / ブラックラッカー仕上げ |
| 張り地 | ウール、ブークレ、リネン混紡、ベルベット、各種レザーから選択可能(Kvadrat社ファブリックほか多数) |
| 認証 | FSC認証、B Corp認証(フレデリシア社) |
| 保証 | 地域・販売店により異なる(正規販売店にご確認ください) |
| 参考価格帯 | 張り地の選択により変動。最新価格は正規販売店にご確認ください |
モーエンセン 3236 チェアの仕様・購入方法・メンテナンスについて詳しくはモーエンセン 3236 チェア購入ガイドをご覧ください。