概要

606ユニバーサルシェルビングシステムは、ディーター・ラムスが1960年にヴィツゥのために設計したモジュール式のシェルフである。壁面に取り付けたアルミニウム製のE字型トラックに、棚板やキャビネットを工具なしで取り付ける。当初はRZ 60の名称で発売され、1970年に606へ改称された。基本設計を変えずに現在も生産が続いている。

特徴・コンセプト

Eトラックとピン

壁に取り付けるのは、E字型の断面を持つ押出成形アルミニウムの支柱である。棚板やキャビネットは、切り込みの入ったピンを所定の位置に滑り込ませるだけで取り付けられる。ねじ留めや金具の追加を必要としないため、位置の変更や部品の追加が使う人の手で行える。

棚板は3つの向きで取り付けられる。直立、逆さ、あるいは垂直に回転させて掲示板として使うこともできる。同じ部品に複数の使い方を持たせることで、部品の種類を増やさずに構成の幅を得ている。

広げ方を選べる

Eトラックは縦に連結でき、複数の標準高が用意される。ベイ幅も2種類あり、組み合わせることで壁の寸法に合わせられる。Xポストに取り付ければ壁面の障害物を避けられ、床から天井まで突っ張って自立させる構成もとれる。壁に穴を開けられない場所にも対応する。

棚板のほか、スライドドア付きのキャビネット、デスク、テーブル、LPラックなどの要素が用意されている。

素材

垂直支柱と構造プロファイルには陽極酸化処理を施した押出成形アルミニウム、特定の構造部品にはダイキャストアルミニウム、棚板とブラケットにはポリエステル粉体塗装のスチール、キャビネットと扉にはラッカー塗装のファイバーボードが用いられ、一部の棚板とキャビネットにはビーチ材の仕上げがある。色は控えめな数種にとどめられている。

エピソード

606の構想は、デザインスタジオではなく1950年代半ばのブラウン社のショールーム内で生まれたとされる。当時、若手の設計者としてディスプレイ空間の見直しに取り組んでいたラムスは、従来の家具とは異なる、軽量で組み替えのきく壁面システムという案に行き着いた。この構想が数年後、ヴィツゥでの製品として形になっている。

評価と影響

寸法と規格が長期にわたり維持されているため、1960年代に製造された部品と現行品を組み合わせて使うことができる。小さく始めて必要に応じて足し、引越しの際には持ち運んで組み直すという使い方が、設計の前提に置かれている。住宅、オフィス、書庫、小売店などで用いられている。

美術館コレクション

ニューヨーク近代美術館は、陽極酸化処理押出成形アルミニウム、ダイキャストアルミニウム、ポリエステル粉体塗装スチール、ラッカー塗装ファイバーボードなどによる606ユニバーサルシェルビングシステムを収蔵番号499.2004で登録している(2004年、製造元からの寄贈。制作年1960年、寸法は構成により可変)。

基本情報

名称 606ユニバーサルシェルビングシステム / 606 Universal Shelving System
デザイナー ディーター・ラムス(Dieter Rams)
ブランド ヴィツゥ(Vitsœ)
発表年 1960年(当初の名称はRZ 60、1970年に606へ改称)
デザインの成立国 ドイツ
分類 モジュール式シェルフ/壁面収納システム
主要素材 陽極酸化処理押出成形アルミニウム、ダイキャストアルミニウム、ポリエステル粉体塗装スチール、ラッカー塗装ファイバーボード、ビーチ材
構造 E字型トラックと切り込み付きピン。工具不要で取り付け・変更が可能
設置 壁付けのほか、Xポストによる障害物の回避、床から天井への突っ張り固定に対応
収蔵 ニューヨーク近代美術館(499.2004)

Reference

606 Universal Shelving System | MoMA
https://www.moma.org/collection/works/91953