概要
メイヤー ソファ AJ5は、アルネ・ヤコブセンとフレミング・ラッセンがセルロズ市庁舎(現ルーダスダル市庁舎)のために設計したソファである。垂直に立ち上がる高い背もたれと側面を持ち、無垢オークの脚で支えられる。当初は市庁舎のために2脚だけが製作された。2013年に&traditionが復刻している。
特徴・コンセプト
直角で構成する
背もたれと側面が垂直に立ち、水平の座面と直角に交わる。曲線を持たないこの構成が、この製品の性格を決めている。婚姻の場に付随する待合という用途に対して、姿勢を保って座る形が選ばれている。
背もたれと側面が高いため、置いた場所に囲われた範囲が生まれる。壁に付けなくても背面が成立するので、部屋の中央に置いて仕切りとしても働く。一方、直角で構成されているため、身体を崩して預ける姿勢には向かない。
ボタンの列
張り地は本体に固定され、肘掛けと背もたれをまたいで二列のボタンが並ぶ。平坦な面を持つ家具では、面が単調になりやすい。この列が唯一の分節を与えている。座面には三つの独立したクッションが置かれる。
素材と展開
フレームは無垢オークである。当初の仕様はライトコニャックのレザー張りであった。現行品では複数の生地と革、複数の木部仕上げから選べる。2人掛けと3人掛けの二つの寸法が用意される。
エピソード
1939年、アルネ・ヤコブセンとフレミング・ラッセンは、セルロズ自治体が公募した設計競技に勝利した。計画には市庁舎、図書館、劇場が含まれていた。ドイツによるデンマーク占領のため計画は縮小されたが、二人は市庁舎を実現させている。建物そのものから内装の細部、家具に至るまでを一貫して設計した仕事であった。
市庁舎には婚姻の間があり、そこに付随する家具が設計された。メイヤー ソファは、結婚する二人が式の前に待つための待合用として構想されている。
ヤコブセンの家具といえば、戦後に工業生産された成形合板や樹脂のものが知られる。メイヤーはそれらとは異なり、デンマークの家具職人の技法による受注生産品として作られた。フレミング・ラッセンはヤコブセンと同年生まれの建築家で、複数の計画で協働している。
評価と影響
直線で構成する解き方は、同じヤコブセンが後年に手がけたスワンチェアやエッグチェアの曲面による構成と対照をなす。用途に応じて構成の原理を切り替えるという点で、両者は同じ設計者の仕事の幅を示している。応接や待合のように、姿勢を保って短時間過ごす場面に向く。
二人の設計思想や経歴について詳しくはアルネ・ヤコブセン、フレミング・ラッセンの各プロフィールページをご覧ください。
&traditionの歴史や他の製品について詳しくは&traditionブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | メイヤー ソファ AJ5 / Mayor Sofa AJ5 |
|---|---|
| デザイナー | アルネ・ヤコブセン、フレミング・ラッセン |
| ブランド | &tradition(2013年に復刻) |
| 発表年 | 1939年(設計競技勝利)/市庁舎への納入は1942年 |
| デザインの成立国 | デンマーク |
| 分類 | ソファ |
| フレーム | 無垢オーク |
| 張り | 本体固定張り+独立した座クッション3枚。肘掛けと背をまたぐ二列のボタン |
| 展開 | 2人掛け/3人掛け |
| 設計の背景 | セルロズ市庁舎(現ルーダスダル市庁舎)婚姻の間の待合 |
Reference
- Mayor Sofa AJ5 | &tradition
- https://www.andtradition.com/products/mayor-sofa-aj5