概要
イームズ ソファ コンパクトは、チャールズ&レイ・イームズが1954年に設計した3人掛けのソファである。ハーマンミラーが製造している。自邸イームズ・ハウスに設けた造り付けのソファを、独立した製品として作り直したものにあたる。
特徴・コンセプト
奥行を抑える
全長は約184cm、奥行は約76cm。3人掛けのソファとしては奥行が浅い。深いソファは身体が沈むぶん立ち上がりに力が要り、床面に占める面積も増える。奥行を抑えることで、限られた広さの部屋でも通路が残る。
脚は細いクロムめっきの丸パイプで、本体を床から持ち上げる。接地部が細いため、床が見えて面積が広く感じられる。
ウェビングとスプリングで支える
座面は、布で補強したゴムのウェビングとスチールのワイヤースプリングで支持される。詰め物を厚くして柔らかさを出す代わりに、支持の側で弾力を確保している。座面の厚みが薄く保てるため、外形も低く収まる。
背もたれを二枚に分ける
背もたれは水平に並ぶ二枚のフォームパッドで構成され、縁をパイピングで留める。一枚の面にすると、肩と腰で必要な支えの差を作れない。二枚に分けることで、上下で当たり方が変わる。
折り畳む機構
初期の製品には、輸送と保管のために背もたれを折り畳める機構が備わっていた。1982年以降は一方向にのみ回るネジが用いられ、組み立て後は固定される仕様に変わっている。
エピソード
1949年のクリスマスイブ、イームズ夫妻はカリフォルニア州パシフィック・パリセーズに完成したケース・スタディ・ハウス第8号へ移り住んだ。戦後の住まいのあり方を探る計画の一環として建てられた住宅で、工業生産の既製部品を用いている。
そのリビングに設けられた造り付けのソファが、ソファ コンパクトの原型にあたる。1951年にはワイヤーフレームによる試作も作られたが、量産には至らなかった。
張り地には、ハーマンミラーの繊維部門を率いたウッデンドールの設計者アレキサンダー・ジラードによるファブリックが合わせられることがあった。
評価と影響
1954年の発売から生産が続いている。同じイームズ夫妻のイームズ LCW(プライウッド ラウンジチェア)やイームズ プラスチック サイドチェア DSWが成形した面で身体を受けるのに対し、こちらは支持の機構と詰め物を組み合わせる構成をとる。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館)。
- MoMA ソファ(1954年) 収蔵番号 193.1973
二人の設計思想や経歴について詳しくはチャールズ・イームズ、レイ・イームズの各プロフィールページをご覧ください。
ハーマンミラーの歴史や他の製品について詳しくはハーマンミラーブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | イームズ ソファ コンパクト / Eames Sofa Compact |
|---|---|
| デザイナー | チャールズ&レイ・イームズ(Charles & Ray Eames) |
| ブランド | ハーマンミラー(Herman Miller) |
| 発表年 | 1954年 |
| デザインの成立国 | アメリカ |
| 分類 | 3人掛けソファ |
| 構造 | ゴムのウェビングとワイヤースプリングで座面を支持。背もたれは二枚のフォームパッド |
| 主要素材 | 黒エナメル塗装のスチールフレーム、クロムめっきスチール脚、ウレタンフォーム、ファブリック |
| サイズ | 幅184cm × 奥行76cm × 高さ89cm、座面高41cm |
| 機構 | 初期は背もたれを折り畳み可。1982年以降は固定式 |
| 収蔵 | MoMA(193.1973) |
Reference
- Sofa | MoMA
- https://www.moma.org/collection/works/2777
- Eames Sofa Compact | Herman Miller
- https://www.hermanmiller.com/products/seating/lounge-seating/eames-sofa-compact/