概要

パーヴォ・ティネル 9602 フロアランプは、パーヴォ・ティネルが1935年にハメーンリンナのホテル・アウランコのために設計したフロアランプである。広い円錐形のシェードから「チャイニーズハット」の愛称で呼ばれる。ラタンで覆われたステムと真鍮の部材を組み合わせる。2018年からGUBIが復刻生産している。

特徴・コンセプト

広いシェードと小さなベース

シェードは直径63cmと広く、ベースの直径は24cmに収まる。シェードが広ければ光は広範囲に拡散するが、通常は倒れやすくなる。ベースに真鍮を用いて重量を集めることで、接地面を小さく保ったまま安定を得ている。床に置いたときに占める面積が小さく、家具の脇にも置ける。

シェードの素材

シェードはキャンバス、籐柳、竹の3種類で展開される。籐柳と竹の仕様では、細い糸で縫い合わせた組織が光を透かして見える。素材によって透過する光の量と質が変わるため、同じ形でも部屋の明るさが変わる。

ラタンと真鍮

細身のステムはラタンで覆われ、底部の真鍮リングによって構造的に補強される。ベースとシェード頂部には磨いた真鍮が配される。自然素材の面のなかに金属が点在する構成である。ポールにスイッチが配置される。

エピソード

この照明は、1935年にフィンランド南部ハメーンリンナのホテル・アウランコのために設計された。当時ティネルは、自身が共同で創設したフィンランド初の照明器具メーカーOy Taito Abで設計を率いていた。

2018年、デンマークのGUBIがティネルのコレクションを復刻した。GUBIはティネルの遺族と協力し、アーカイブに残る実物にもとづいて再現を進めている。その後、パリのテキスタイルメーカーとの協働による特別な仕様も発表された。手作業でプリーツ加工した布のシェードは、ティネルが初期に用いていた技法にもとづく。

評価と影響

ティネルの作品は、1950年から1951年にかけてニューヨーク近代美術館で開かれた「Good Design」展で紹介された。同じフィンランドのビーハイブ(A331)と同様、金属と自然素材を組み合わせる構成をとっている。

基本情報

名称 9602 フロアランプ / 9602 Floor Lamp
別名 チャイニーズハット(Chinese Hat)
デザイナー パーヴォ・ティネル(Paavo Tynell)
ブランド GUBI(2018年より復刻)/Oy Taito Ab(当初)
発表年 1935年
デザインの成立国 フィンランド
分類 フロアランプ
主要素材 真鍮、ラタン、シェード:キャンバス/籐柳/竹
サイズ 高さ約153cm、シェード直径63cm、ベース直径24cm
設計の背景 ホテル・アウランコ(ハメーンリンナ)のための照明

Reference