概要

パーヴォ・ティネル(1890-1973)は、フィンランドの照明デザイナーである。板金工の訓練を受け、1918年に照明メーカーのタイトを共同で設立した。真鍮を打ち抜いて穿孔した笠を用い、光を孔から漏らす構成をとる。アルヴァ・アアルトの建築のための照明も多数手がけた。

バイオグラフィー

1890年1月25日、フィンランドのヘルシンキに生まれた。板金工の訓練を受け、ヘルシンキの工芸学校で学んでいる。

1918年、照明メーカーのタイト(Taito Oy)を共同で設立した。1953年まで同社の主任設計者を務めている。

1930年代からアルヴァ・アアルトの建築のための照明を手がけた。ヴィープリの図書館、パイミオのサナトリウムなどがある。

1947年から1955年にかけてアメリカに滞在し、リグテル・アンド・スパンナーのために設計を行った。1973年に没している。

デザインの思想と方法

ティネルは板金工の訓練を受けており、金属の板を切る、曲げる、打ち抜くという工程を実務で扱った。照明の笠をこの方法で作れば、孔を開けることで光の配り方を制御できる。

孔から光を漏らす

真鍮の板に多数の孔を打ち抜き、笠とする。光の大半は下方へ配られるが、一部は孔から周囲へ漏れる。笠そのものが発光しているように見え、天井や壁にも光が届く。

孔の配置で明るさを配る

孔の径と間隔を変えれば、漏れる光の量が変わる。上部を密に、下部を疎にすれば、光の分布も変わる。装飾ではなく配光の調整として孔が配置される。

真鍮を素地のまま使う

真鍮は塗装せず、磨いた状態で用いる。経年で表面が変色し、色が深くなる。金属そのものの質感が仕上げになる。

建築のために設計する

アルヴァ・アアルトの建築のための照明では、その建物の天井高と用途に応じて寸法が決まる。既製品を選ぶのではなく、空間の側から照明を設計する立場にあたる。

代表作にみる方法

9602 フロアランプ

真鍮の細い支柱に、穿孔した笠を取り付けた床置き照明である。笠は角度を変えられ、孔から光が周囲へ漏れる。→パーヴォ・ティネル 9602 フロアランプ

スノーフレーク(1940年代)

穿孔した真鍮の笠を持つ吊り照明の系列である。孔の配置が雪の結晶を思わせることから名が付いた。

アルヴァ・アアルトの建築のための照明(1930年代〜)

ヴィープリの図書館、パイミオのサナトリウムなどの照明を手がけた。建物の天井高と用途に応じて寸法が決まる。既製品を選ぶのではなく、空間の側から設計する立場にあたる。

タイトの製品(1918-1953年)

同社の主任設計者として、多数の照明を設計した。真鍮を打ち抜いて穿孔する手法が共通する。

アメリカでの設計(1947-1955年)

リグテル・アンド・スパンナーのために照明を設計した。アメリカの生産条件のもとで、同じ手法を適用している。

評価と影響

ティネルは一般に、20世紀フィンランドの照明を代表する制作者と評価されている。真鍮を打ち抜いて穿孔し、孔から光を漏らすという構成が特徴にあたる。

板金工の訓練を受けた経歴が前提にある。金属の板を切る、曲げる、打ち抜くという工程を実務で扱ったうえで設計している。

アルヴァ・アアルトの建築のための照明を多数手がけた。1918年に設立したタイトでは、1953年まで主任設計者を務めている。

収蔵

4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したが、該当する収蔵は確認できなかった。フィンランド国内の館については照合手段がない。

作品一覧

区分 作品名 ブランド
1918年 会社 タイト(Taito Oy)設立 ヘルシンキ、フィンランド
1930年代〜 照明 アルヴァ・アアルトの建築のための照明 Taito
1940年代 照明 スノーフレーク Taito
1940-50年代 照明 パーヴォ・ティネル 9602 フロアランプ Taito / Gubi(再製作)
1947-55年 照明 アメリカのための照明 Lightolier ほか
1918-1953年 照明 タイトの製品 Taito

プロフィール

生没年 1890年1月25日〜1973年
出身地 フィンランド・ヘルシンキ
国籍 フィンランド
活動拠点 ヘルシンキ
分野 照明
主な協働ブランド Taito、Gubi(再製作)

Reference