概要

ルチェリーノは、インゴ・マウラーが1992年に発表した照明である。電球にガチョウの羽根でつくった翼を取り付けたもので、シェードもスタンドも持たない。名称はイタリア語の luce(光)と uccellino(小鳥)を組み合わせた造語による。

特徴・コンセプト

電球に直接取り付ける

翼はE27の口金に直接載る。シェードで囲わないため、光源がそのまま見える。照明器具は通常、光源を隠すか拡散させるための部材を持つが、ルチェリーノにはそれがない。電球と羽根という二つの部品だけで成立している。

真鍮のワイヤーは自由に曲げられる。光の向きと電球の高さは、設置する人が決める。電球には赤いコードが直接はんだ付けされる。

手作業の羽根

羽根は職人が一枚ずつ仕上げる。工業製品である電球と、個体差のある天然素材が同じ器具の中で組み合わされる。羽根は繊細なため、高湿度の環境には向かない。手入れは絵筆などで埃を払う程度でよい。

専用の光源

オリジナルの仕様は24Vの艶消し電球を用いる。この規格は1990年代まで鉄道車両で使われていたもので、現在はインゴ・マウラー社のために専用に製造されている。2015年には光源を刷新した仕様が加わり、LEDでは同社が開発した光源が用いられる。ハロゲンと見分けのつきにくい光質を保ちながら消費電力を抑えることが目的だった。

展開

テーブル、壁付け、羽根付き電球を二つ配した仕様、光源を更新した現行仕様がある。調光は、LEDではベースのセンサーディマーで、ハロゲンでは外部トランスのディマーで行う。

エピソード

マウラーは白熱電球を主題とした作品を繰り返し発表した。欧州連合が白熱電球の規制に踏み切った際には反対を表明している。

ルチェリーノは、同じ1992年に発表された大型のシャンデリアと同じ着想にもとづく。羽根の付いた電球が群れをなす構成を、一羽だけ取り出して卓上の寸法に置き換えたものにあたる。

評価と影響

光源を隠さずに主題として扱うという方向は、同じマウラーのツェッテルツ 6にも見られる。ツェッテルツが80枚の紙を面光源として散らすのに対し、ルチェリーノは電球そのものを一つ残している。

収蔵

以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館)。収蔵されているのは壁付けの仕様にあたる。

  • MoMA ルチェリーノ ウォールランプ(1992年) 収蔵番号 300.1999

基本情報

名称 ルチェリーノ / Lucellino
デザイナー インゴ・マウラー(Ingo Maurer)
ブランド インゴ・マウラー(Ingo Maurer GmbH)
発表年 1992年
デザインの成立国 ドイツ
分類 テーブルランプ/ウォールランプ
主要素材 ガラス、真鍮、プラスチック、ガチョウの羽根(手作業による仕上げ)
構造 翼をE27口金に直接載せる。シェードとスタンドを持たない
光源 24V専用電球(オリジナル)/ハロゲン、LED(現行)
展開 テーブル、ウォール、二灯仕様、光源を更新した現行仕様
使用上の注意 高湿度環境での使用は不可
収蔵 MoMA(300.1999)

Reference