概要

カンデム テーブルランプは、1928年にバウハウスの金属工房でマリアンネ・ブラントとヒン・ブレデンディエックが共同設計したベッドサイド用の卓上照明である。ライプツィヒの照明メーカー、ケルティング・ウント・マティーゼン社(通称カンデム)が製造した。バウハウスと産業界との協働から生まれた最初期の量産照明にあたる。

特徴・コンセプト

基本形だけで組む

シェード、アーム、ベースはいずれも幾何学的な基本形で構成される。半球形のシェードが光を下方へ集め、円筒形のベースが重心を低く保つ。装飾は用いず、各部の比例と曲線の連なりだけで形が決まっている。部品の形を単純にすることは、量産の工程を減らすことにも直結している。

二重の可動機構

アームの付け根とシェードの付け根に、二か所の関節を持つ。手元を狙う読書灯としても、シェードを上向きにして拡散光を得る間接照明としても使える。ベッドサイドという限られた場所で、身体の位置や姿勢が変わっても光を合わせられる。角度を調整できる小型ランプという枠組みは、後年のデスクランプの基本形になった。

素材と製法

本体はエナメル塗装を施したスチールで、当初はクリーム色やアイボリーが基本とされ、後に緑・黒・茶などが加わった。部品を標準化し、構成要素を絞り込むことで、家庭が手に取れる価格での量産が成立した。

エピソード

1924年以降、バウハウスの金属工房では照明が主要な研究対象となっていた。工房を率いたブラントがカンデム社との協力関係をまとめ、以後、彼女と学生たちは同社のために数十種の照明を設計している。製造能力を持つメーカーと、標準化された部品による設計とが噛み合った事例である。

第二次世界大戦中には資材不足に対応するため、プレスガラス製のベースや、透明なプレス生地のシェードを用いた戦時仕様も作られた。バウハウスとカンデム社の協力関係は、1933年の学校閉鎖により終わっている。カンデム社はその後も生産を続け、現在はドイツ・ディーツに拠点を置いている。

評価と影響

量産を前提に設計された家庭用照明が、早い時期から美術館の登録記録に加えられた例のひとつである(下記のニューヨーク近代美術館 191.1958)。角度を変えられる小型の卓上ランプという形式は、以後の照明設計に広く引き継がれた。

美術館コレクション

ニューヨーク近代美術館は、ラッカー塗装スチールによるカンデムのベッドサイドテーブルランプを収蔵番号191.1958で登録している(1958年、フィリス・B・ランバート基金による取得。ブラントとブレデンディエックの共同設計、1928年、高さ23.5cm・幅18.4cm)。

基本情報

名称 カンデム テーブルランプ / Kandem Table Lamp
デザイナー マリアンネ・ブラント、ヒン・ブレデンディエック
ブランド カンデム(ケルティング・ウント・マティーゼン社、ライプツィヒ)
発表年 1928年
デザインの成立国 ドイツ
分類 テーブルランプ
型番 No. 702
主要素材 エナメル(ラッカー)塗装スチール
機構 アーム付け根とシェード付け根の二か所の関節
収蔵 ニューヨーク近代美術館(191.1958、高さ23.5cm × 幅18.4cm)

Reference

Kandem Bedside Table Lamp | MoMA
https://www.moma.org/collection/works/2463