フラワーポット VP9は、ヴェルナー・パントンが1968年に設計したフラワーポットを、充電式のポータブル照明として展開したものである。&traditionが生産している。

大小二つの半球を向かい合わせるという原型の構成はそのままに、コードを外してバッテリーを内蔵した。据え置きの照明ではなく、持ち運ぶ光として使う。

特徴・コンセプト

シェードとベースは成形ポリカーボネートで、金属を用いた原型より軽い。この素材変更が携行性を成立させている。屋内のほか、乾いた条件であれば屋外でも使える。ただし真鍮とクロームメッキの仕上げは屋内専用で、いずれの仕上げも保管は屋内に限られる。

充電はUSBケーブルで行う。シェード上部のスチール製タッチディマーに触れると、三段階で明るさが切り替わる。操作部を金属にしたことで、樹脂の本体のなかで触れる位置が指先に伝わる。

色の展開は原型を引き継いで鮮やかである。上向きの半球が光源を隠し、下向きの半球へ光を反射させるという配光の原理も変わらない。

背景

フラワーポットは1968年に発表された。花と平和を掲げた1960年代の空気、いわゆるフラワーパワーの時代が背景にある。二つの半球という単純な構成と原色の使い方は、当時のパントンの姿勢を端的に示す。

VP9はこの造形を現代の使われ方に合わせた版にあたる。電源の位置に縛られないため、食卓から屋外のテラスへ、あるいは書斎から寝室へと、光そのものを持ち歩ける。照明を空間に固定された設備ではなく、携行する道具として扱うという点で、原型とは前提が異なる。

評価

実務では、コンセントの位置に制約がある場所で有効になる。テーブルの中央に置いても配線が見えず、来客時にだけ出すという使い方もできる。三段階の調光により、食事中の明るさと食後の低い照度を切り替えられる。

一方、バッテリーで動くため常設の照明としては使えない。原型の質感を求めるなら金属製のフラワーポット VP1が比較対象になる。フラワーポット シリーズのなかで、VP9は携行性に特化した位置づけにあたる。

基本情報

デザイナーヴェルナー・パントン / Verner Panton
原型の発表年1968年(フラワーポット)
ブランド&tradition
カテゴリーポータブルテーブルランプ
素材成形ポリカーボネート(シェード・ベース)、スチール(タッチディマー)
充電USBケーブル
調光タッチディマーで3段階
使用環境屋内および乾いた条件の屋外(真鍮・クロームメッキ仕上げは屋内のみ、保管は全仕上げとも屋内)
シリーズフラワーポット(VP1 / VP3 / VP9 ほか)