このページについて
パイミオチェアは、アルヴァ・アアルトとアイノ・アアルトが1931年から1932年にかけて設計した椅子である。曲げた積層バーチ材が閉じた輪をつくり、そこへ成形合板の座面を4点で留める。前脚を持たず、座面が片持ちで支えられる。
このページでは、座面の構造がもたらす座り心地、選べる仕上げ、設置の条件、手入れ、購入できる場所を扱う。設計の成り立ちについては紹介ページを参照されたい。
アルヴァ・アアルトの設計思想や経歴について詳しくはアルヴァ・アアルト プロフィールページをご覧ください。
パイミオチェアのデザインストーリーについて詳しくはパイミオチェア紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
パイミオチェアの正規品は、アルテック(Artek, 1935年創業、フィンランド)がフィンランド国内で製造する。フレームは積層バーチ材を曲げ加工した閉じた曲線(ループ構造)で構成され、腕木と脚部、床面のランナーを一体化している。肘掛けを兼ねるフレームは、一本の厚い積層材を製作後に半分に切り分け左右に配置する独自の手法により、経年変化による木材の歪みが生じても左右のバランスが崩れにくい構造を実現している。座面と背もたれは一枚の連続した成形バーチ合板から形成され、両端が優美な渦巻き状(スクロール)に巻き込まれている。この巻き込み部分は弾力性を与えるバネの機能を果たし、座面はフレームにわずか4点のみで固定されることで、宙に浮いているかのような視覚的軽快さと驚くほどの弾力性を実現している。
| 正式名称 | アームチェア41 パイミオ(Armchair 41 "Paimio") |
|---|---|
| 製造ブランド | アルテック。当初は別の家具工場が製造した |
| 製造国 | フィンランド |
| フレーム素材 | 曲げた積層のバーチ材。透明のラッカー仕上げ |
| 座面・背もたれ素材 | 成形したバーチ合板。白または黒の塗装から選ぶ |
| 構造 | 曲げた積層材が閉じた輪をつくり、座面を4点で留める。前脚を持たず、座面は片持ちで支えられる。フレームは1本の積層材を半分に切り分けて左右に配し、経年での変化を揃える |
| サイズ | 幅600 × 奥行800 × 高さ640mm、座面高330mm、肘掛けの高さ560mm |
| 重量 | 約9.5kg |
| カラーバリエーション | 座面は白または黒の塗装。フレームは透明のラッカー仕上げ |
| 日本参考価格帯 | アルテックは公式サイトで価格を公表していない(2026年8月19日確認)。正規取扱店への問い合わせによる。仕上げで価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受ける |
| 納期 | 受注生産。納期は取扱店に確認する |
| 収蔵 | MoMA パイミオ ラウンジチェア(model 41、1932年) 収蔵番号 711.1943/Met モデル41 ラウンジチェア(1931-32年) 収蔵番号 2000.375/V&A パイミオ アームチェア(1932年) 収蔵番号 W.41-1987 |
類似商品・競合との比較
身体を預けて休む椅子は、支える面を何でつくるかで分かれる。成形した合板か、張り渡した素材かによって、撓み方と交換の可否が変わる。
| 比較項目 | パイミオチェア | アイソコン ロングチェア | リソム ラウンジチェア |
|---|---|---|---|
| 支える面 | 成形した合板 | 成形した合板 | 帯状のウェビング |
| 面の撓み方 | 板全体が撓む | 板全体が撓む | 帯ごとに伸びる |
| 面の交換 | できない | できない | 張り替えられる |
| 前脚 | なし(片持ち) | あり | あり |
| 設置に要する奥行 | 800mm | 1,350mm | 710mm |
選び分けの目安
- 座面の弾力を求める場合
- 成形した合板は板全体が撓むため、詰め物がなくても沈む。前脚を持たない構造が、この撓みを大きくする。
- 設置場所が限られる場合
- 奥行800mm。同種のラウンジチェアのなかでは中間にあたる。
- 座面を後から替えたい場合
- 成形した合板は交換できない。張り替えられる方式では、傷んだ部分を更新できる。
使用感と設置条件
前脚を持たない構造
曲げた積層材が閉じた輪をつくり、座面を4点で留める。前脚がなく、座面は片持ちで支えられる。
この構造により、座ったときに座面が撓む。詰め物を持たないが、板そのものが沈んで身体を受ける。前脚のある椅子では、この撓みが生じにくい。
座面の前端に体重をかけると、撓みが大きくなる。深く腰掛けて背を預ける姿勢を前提とする。
座り方と寸法
座面高330mm。一般的な椅子より低く、上体を後ろへ傾けた姿勢になる。奥行800mm、肘掛けの高さ560mm。
座面と背もたれが1枚の板で連続し、上端が巻いた形に成形される。この巻きが頭を支える位置に来る。
座面が低く後傾するため、立ち上がる際は上体を大きく起こす。肘掛けに手を掛けて立つことになる。
仕上げの選択
座面は白または黒の塗装から選ぶ。フレームは透明のラッカー仕上げで、バーチ材の色がそのまま現れる。
経年変化とメンテナンス
素材に起きること
バーチ材は日光を受けると色が変わる。当初の明るい色から、黄みを帯びた色へ進む。透明のラッカー仕上げのため、この変化がそのまま現れる。
フレームは1本の積層材を半分に切り分けて左右に配する。同じ木から取ることで、経年での色と動きが揃う。
成形した合板は、湿度の変化で反りが生じることがある。座面が片持ちで支えられるため、荷重が接合部に集中する。
日常の手入れ
- ふだん
- 乾いた柔らかい布で拭く。水分を残さない。
- 接合部
- 座面とフレームを留める4点に緩みがないか、定期的に確かめる。片持ちの構造のため、緩みが進むと撓みが変わる。
- 置き場所
- 直射日光と暖房の風を避ける。急な乾燥は合板の反りを招く。
修理
成形した合板の反りや割れは補修が難しい。現在も製造されているため、部品の入手について取扱店に相談できる。
どこで買うか
取扱店の調べ方
アルテックは公式サイトで製品情報を公開している。同社は価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによる。日本国内の正規取扱については、輸入代理店の案内を確認するのが確実である。
注文の際に決めるのは座面の塗装(白/黒)である。受注生産のため、納期は取扱店に確認する。
実物を確認する
座面の撓み方と、座面高330mmという低さは、座ってみないと分からない。立ち上がる動作もあわせて確かめられるとよい。
中古の流通
1930年代以降の個体が流通している。当時のものと現在のアルテックによるものでは仕様が異なる。相場は年式と状態で幅があり、一定していない。
確認箇所は、合板の反りと割れ、座面とフレームの接合部の緩み、フレームの曲げた部分の状態、塗装とラッカーの傷みである。片持ちの構造のため、接合部の状態が座り心地に直結する。
購入前チェックリスト
- 座面の塗装(白/黒)
- 設置場所の寸法(幅600×奥行800×高さ640mm)
- 座面高330mm(一般的な椅子より低く、後傾する)
- 立ち上がる際に上体を大きく起こすこと
- 座面が交換できないこと
- 直射日光と暖房の風を避けられる位置か
- 納期(受注生産)
- 中古の場合、接合部の緩みと合板の反り
よくある質問
- 価格はどのくらいですか?
- アルテックは公式サイトで価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによります(2026年8月19日確認)。仕上げで価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受けます。
- どこで購入できますか?
- アルテックの公式サイトで製品情報を確認できます。日本国内の正規取扱については輸入代理店の案内をご確認ください。受注生産のため納期もあわせてご確認ください。
- 座り心地はどうですか?
- 前脚がなく座面は片持ちで支えられるため、座ったときに座面が撓みます。詰め物を持ちませんが、板そのものが沈んで身体を受けます。座面高330mmは一般的な椅子より低く、上体を後ろへ傾けた姿勢になります。
- 立ち座りはしやすいですか?
- 座面が低く後傾するため、立ち上がる際は上体を大きく起こすことになります。肘掛けに手を掛けて立つことになります。
- 前脚がなくて大丈夫ですか?
- 曲げた積層材が閉じた輪をつくり、座面を4点で留める構造です。この構造が座面の撓みを生みます。ただし座面の前端に体重をかけると撓みが大きくなるため、深く腰掛けて背を預ける姿勢を前提とします。
- フレームの左右で色が違いませんか?
- フレームは1本の積層材を半分に切り分けて左右に配します。同じ木から取ることで、経年での色と動きが揃います。
- 収蔵されている美術館はありますか?
- ニューヨーク近代美術館(Paimio lounge chair、model 41、1932年、収蔵番号711.1943)、メトロポリタン美術館(Model No. 41 Lounge Chair、1931-32年、収蔵番号2000.375)、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(Paimio Armchair、1932年、収蔵番号W.41-1987)が収蔵しています。
- 手入れはどうすればよいですか?
- 乾いた柔らかい布で拭き、水分を残さないでください。座面とフレームを留める4点に緩みがないか定期的にお確かめください。片持ちの構造のため、緩みが進むと撓みが変わります。直射日光と暖房の風は合板の反りを招くため避けてください。