概要
オーレスンは、デンマークの家具設計者ボーエ・モーエンセンが1955年に、スウェーデンのカール・アンデション&サナーのために設計した収納家具のシリーズである。扉付きの箱、引き出しの箱、背の開いた書棚を共通の寸法でつくり、台輪と組み合わせて壁面を構成する。同じ名前でテーブルと椅子も用意された。製造は2019年まで続き、現在は終了している。名称のオーレスンは、デンマークのシェラン島とスウェーデンのスコーネ地方を隔てる海峡の名である。
特徴・コンセプト
寸法を絞って足し引きで決める
製造元の製品資料によれば、箱の幅は685mmと1347mmの二種類で、横に並べると2032mmになる。高さは588mmと、その倍にあたる1176mm。奥行きは360mmと460mmが基本で、小型の箱に260mmがある。寸法をこの範囲に絞ったのは、壁の長さと天井の高さに応じて箱を足し引きするだけで構成が決まるようにするためである。
台輪も箱と同じ685mm・1347mm・2032mmの幅で用意され、高さは95mm、250mm、294mmの三種類から選ぶ。台輪を替えれば、同じ箱を床近くに低く据えることも、腰の高さまで持ち上げることもできる。
奥行きの違う箱を重ねる
奥行き460mmの箱を下段に、360mmや260mmの浅い箱を上段に載せる構成が取れる。下段が前に出ることで天板の縁が生まれ、目線より上にくる段が壁から張り出す量は抑えられる。現存する二段構成には、下段を奥行き460mm、上段を260mmまたは360mmとした例が見られる。
ランバーコアと突板を選んだ理由
本体はオークの突板を貼ったランバーコアで、仕上げはクリアラッカーである。幅1347mmの面を無垢材の板で組めば、湿度の変化にともなう伸縮で反りや目地の狂いが避けられない。芯材に細く挽いた木を並べて接着し、表裏を突板で挟むランバーコアであれば、この幅でも平滑な面が保たれる。
カール・アンデション&サナーがランバーコアと突板による工業的な製作を始めたのは、このシリーズからだった。箱を規格寸法で数多くつくるという設計と、板材の作り方の変更は同時に起きている。
引き戸と可動棚
扉は開き戸ではなく引き戸で、木製とガラス製が選べた。引き戸は前面に沿って動くため、扉を開くための空きを手前に取らずに済む。壁際に長く連ねて置く家具にとって、この違いは設置の自由度に直接効く。
内部の棚板は可動式で、幅1347mm・高さ1176mmの箱には6枚、高さ588mmの箱には2枚が付属した。付属品としてガラス棚とハロゲン照明、そして壁掛け用の金具が用意され、箱を床に置かず壁に留める構成も取れる。
背板を標準から外す
箱は壁に寄せて置くことを前提としており、背面が見える置き方をする場合は背板を別に注文する必要があった。見えない面の部材を標準仕様から外し、必要とする人だけが追加する。箱は台輪を除いて組み立て済みで出荷された。
エピソード
カール・アンデション&サナーは1898年に始まった木工の工房で、1940年代末にはカール・マルムステンの設計した家具を手がけていた。1955年にモーエンセンが持ち込んだオーレスンは、この工房がランバーコアと突板による工業的な製作へ移る節目になった。同社は自社の沿革のなかで、この転換とオーレスンを結び付けて記録している。
モーエンセンはこの直前の1954年から、建築家グレーテ・マイヤーとともに「Boligens Byggeskabe(住居の造り付け収納)」に取り組んでいる。衣類や食器の寸法を実測し、そこから収納の基準寸法を割り出す仕事だった。オーレスンが世に出たのは、その作業と重なる時期にあたる。
最初のオーレスンはパイン材とチーク材でつくられていた。のちに標準の仕様はオークの突板に移り、シリーズとしては扉付きの箱、引き出しの箱、書棚、テーブル、椅子までが揃った。
2005年、発表から50年にあたって原型の仕様を再現した限定版が組まれた。木製の引き戸を持つ扉付きの箱と引き出しの箱、台輪を合わせた幅2032mmの一組で、パイン材とチーク材を用い、50台に番号を振って製造された。
製造は2019年に終了し、製造元は現在、オーレスンを過去に製造した製品として扱っている。
評価と影響
製造元は自社の沿革で、カール・マルムステンやヨーラン・マルムヴァルの仕事と並べてオーレスンを記録し、素材と製法が変わった時期の製品として位置づけている。
北欧の中古市場では、幅の違う箱を横に三つ並べたもの、下段に引き出しの箱を置いて上段にガラス引き戸の箱を載せたものなど、部材の組み合わせを変えた個体が流通している。箱ごとに寸法と付属棚板の枚数が決まっているため、中古で求める場合は品番と棚板の有無を個体ごとに確かめることになる。
モーエンセンが手がけた収納家具にはモデル232 チャイナキャビネットがあり、可動する棚板やトレイで内部を組み替えるという考え方が共通している。
ボーエ・モーエンセンの設計思想や経歴について詳しくはボーエ・モーエンセンプロフィールページをご覧ください。
カール・アンデション&サナーの歴史や他の製品について詳しくはカール・アンデション&サナーブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | オーレスン / Øresund(スウェーデン語表記 Öresund) |
|---|---|
| デザイナー | ボーエ・モーエンセン(Børge Mogensen) |
| ブランド | カール・アンデション&サナー(Karl Andersson & Söner) |
| 発表年 | 1955年 |
| 製造期間 | 1955年〜2019年 |
| デザインの成立国 | デンマーク(製造はスウェーデン・フスクヴァルナ) |
| 分類 | 収納家具/シェルフ・ラック |
| 主要素材 | 本体:オーク突板を貼ったランバーコア/扉:木製またはガラス/初期仕様:パイン材・チーク材 |
| 仕上げ | クリアラッカー |
| 構成 | 扉付きの箱(木製・ガラス引き戸)、引き出しの箱、書棚、台輪3種。可動棚板、壁掛け金具、ガラス棚、ハロゲン照明 |
| 寸法 | 箱:幅685mm・1347mm(並置で2032mm)/高さ588mm・1176mm/奥行き260mm・360mm・460mm。台輪:高さ95mm・250mm・294mm |
Reference
- Karl Andersson & Söner — Historia
- https://www.karl-andersson.se/a.1667/om-ka/karl-andersson--soner/historia
- Karl Andersson & Söner — ØRESUND Förvaring / Storage(2017 EDITION 製品資料)
- https://www.karl-andersson.se/products/Doc.ashx?f=%C3%96resund__2017.pdf
- Karl Andersson & Söner — Öresund(過去に製造した製品)
- https://www.karl-andersson.se/a.6103/om-ka/tidslinje-produkter/tidigare-tillverkade-produkter/oresund