概要

コンテッサは、オカムラが2002年にドイツ・ケルンの国際家具見本市オルガテックで発表したオフィスチェアである。イタリア・トリノのデザインファーム、イタルデザインとの協働で開発された。背と座の両方にメッシュを張り、背の外周をアルミダイカストのフレームで縁取る構成をとる。座面の高さとリクライニングを肘の先端のレバーで操作する「スマートオペレーション」を掲げ、オカムラの最上位機種として位置づけられた。2016年に後継のコンテッサ セコンダが発表され、翌2017年の発売以降はセコンダが生産を引き継いでいる。

特徴・コンセプト

背を塞がずに支える二重のフレーム

背もたれは、外周を縁取るアルミダイカストのフレームと、その内側でメッシュを張る樹脂の枠という二つの部材からなる。着座時の荷重を外周のアルミが引き受けるため、メッシュを保持する枠は細くでき、背面に板状の面が残らない。背越しに向こう側が透けるリアビューは、この役割分担から生まれている。脚と肘のフレームにもアルミニウムのダイカスト部材が使われ、鏡面に磨いたポリッシュ仕上げと塗装仕上げが選べる。

座にもメッシュを張る

背だけでなく座にもメッシュを張った点が、この椅子の出発点にある。張力で身体を受けるメッシュは、クッション材の厚みに頼らずに体圧を分散でき、同時に通気も得られる。ただしメッシュには、体重を支えてもへたらない耐久性と、座り心地を左右する柔らかさという相反する性質が同時に求められる。コンテッサでは、弾力と強度を持たせた専用の弾性糸を緯糸に用いて織ることで、この両立を図っている。オカムラによれば、背と座の両方にメッシュを用いたオフィスシーティングは国内で初めてであった。座についてはウレタンを詰めたクッション仕様も選べ、通気を採るか座面の当たりの柔らかさを採るかを用途に応じて選択できる。

肘の先で操作する

座面の高さやリクライニングの調整レバーは、回転椅子では座面の下に置かれることが多い。手探りで位置を探し、上体をひねって操作することになる。コンテッサはこの二つのレバーを肘の先端へ移し、座ったままの姿勢で操作できるようにした。オカムラはこの考え方をスマートオペレーションと呼んでいる。ランバーサポートの位置、ロッキングの強弱、肘の高さもあわせて調整でき、体格や作業内容に応じて設定を変えられる。

背を倒すと座も連動して動くシンクロリクライニングを備える。背だけが倒れる機構では身体と座面の位置関係がずれ、太ももの裏が圧迫されやすい。背と座を連動させることで、倒した姿勢でも身体の収まりが保たれる。

エピソード

オカムラとイタルデザインの協働は2000年に始まった。国内市場に向けた製品ではなく、世界で通用するオフィスチェアをつくることが出発点にあった。発表の場に選ばれたのは、ケルンで2年に1度開かれるオルガテックである。オカムラにとっては初めての出展だった。

メッシュを一から起こす

背と座にメッシュを張る構想は、使える素材の当てがないまま始まった。オカムラは、椅子張り用のファブリックを供給していた京都の川島織物セルコンに協力を求めた。1843年創業、西陣織にルーツを持つ織物メーカーである。同社でも椅子張り用メッシュの開発は途上にあり、初期の試作は強度と意匠のいずれも要求に届かなかったという。

糸口は織り方にあった。当初はレースカーテンを編む機械を使ってメッシュをつくっていたが、編みから織りへ切り替えることで品質と生産効率が上がった。緯糸には弾性糸を使い、通常の経糸と織り合わせている。試作したメッシュを背と座のフレームに張り込み、テンションを変えながら体圧の分散を検証する作業が繰り返された。

色も課題になった。黒だけでなく多色の展開が求められたためで、当初はカーテン地と同じく織り上げてから染めていたものを、色に応じて糸の段階で染める先染めに切り替えて対応している。

評価と影響

2003年度のグッドデザイン賞では、座ったままアームレストで基本的な調整ができる点がユーザビリティの面から評価され、アルミのフレームとメッシュによる背座の構成が従来のオフィスチェアにない外観をもたらしたと講評されている。翌2004年には米国のIDEAで金賞を受けた。

同じ協働から生まれたメッシュは、その後のオカムラのシーティングにも展開され、ルーチェ、サブリナ、シルフィーなどに用いられている。2010年には、部位ごとに織り方を変えて支持の強さを変化させるグラデーションサポートメッシュや、大型ヘッドレストが品揃えに加えられた。

2016年に発表され2017年に発売されたコンテッサ セコンダは、フォルムを引き継ぎながら、背と座のフレームを薄くし、座クッションを硬さの異なる三層構造に改めたものである。メッシュも、体重136kgの使用者が24時間を7日間続けて使う想定の耐久試験を前提に強度が引き上げられている。

受賞歴

2003年度 グッドデザイン賞(日本デザイン振興会)
オフィスシーティング「コンテッサ シリーズ」として受賞。
2004年 IDEA 金賞
米国インダストリアルデザイナーズ協会(IDSA)とビジネスウィーク誌によるIndustrial Design Excellence Awards。

基本情報

名称 コンテッサ / Contessa
デザイン イタルデザイン(ITALDESIGN/ジウジアーロ・デザイン)とオカムラの協働
ブランド オカムラ
発表年 2002年(オルガテック、ケルン)
デザインの成立国 日本
分類 オフィスチェア
主要素材 背フレーム・脚・肘/アルミダイカスト、メッシュ枠/樹脂成型品、背座/メッシュ(座はクッション仕様も選択可)
主な機能 スマートオペレーション(肘先レバーによる座面高・リクライニング操作)、シンクロリクライニング、座面奥行調整、ランバーサポート調整
後継 コンテッサ セコンダ(2016年発表、2017年発売)

ハイバック、ヘッドレスト付き、肘の仕様など複数のバリエーションがあり、寸法は型番により異なる。

Reference

Contessa 20th Anniversary(株式会社オカムラ)
https://www.okamura.co.jp/office/special_site/product/contessa20th/
ハイ パフォーマンス メッシュ開発ストーリー(株式会社オカムラ)
https://www.okamura.co.jp/corporate/products/story/high_performance_mesh/
ニュースリリース オフィスシーティング「Contessa II(コンテッサ セコンダ)」発表(株式会社オカムラ)
https://www.okamura.co.jp/corporate/news/product/2016/contessa2.html
オフィスシーティング[コンテッサ シリーズ]|受賞対象一覧|Good Design Award
https://www.g-mark.org/gallery/winners/9d1aacfb-803d-11ed-862b-0242ac130002
Contessa(Italdesign)
https://www.italdesign.it/en/project/contessa/