このページについて
360°チェアは、コンスタンティン・グルチッチが2009年に設計しマジスが製造する椅子である。背もたれを持たず、円形の座面を昇降する支柱が支える。腰から上の向きを自由に変えられる。
このページでは、背もたれを持たないことによる使い方の条件、正規品の仕様、同種の昇降式の椅子との比較、設置と手入れ、購入できる場所を扱う。設計の成り立ちについては紹介ページを参照されたい。
コンスタンティン・グルチッチの設計思想や経歴について詳しくはコンスタンティン・グルチッチ プロフィールページをご覧ください。
360° チェアのデザインストーリーについて詳しくは360° チェア紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
以下に360° チェア正規品の主要仕様を一覧として示す。価格は参考値であり、販売店や為替変動により変わる可能性があるため、購入時には正規販売店にて最新情報を確認されたい。
| 正式名称(日本語) | 360° チェア |
|---|---|
| 正式名称(英語) | 360° Chair |
| 製造国 | イタリア |
| 主要素材 | 支柱はエポキシ樹脂塗装のスチール管、フットレストはダイキャストのアルミニウム、座面は一体成形のポリウレタン |
| サイズ | 直径630mm × 高さ690〜780mm(ガススプリングによる無段階の調節) |
| カラーバリエーション | ブラック(現行モデル) |
| 機能 | 座面が360度回転する。高さは無段階で調節できる。脚は5本でキャスターが付く |
| 参考価格(税込目安) | マジスは価格を公表していない(2026年8月19日確認)。正規取扱店への問い合わせによる。輸入品のため為替の影響も受ける |
| 保証 | 1年(正規品の場合) |
| スタッキング | 不可 |
| 美術館収蔵 | MoMA 360°チェア(2009年) 収蔵番号 125.2010。同館は360°スツール(126.2010)も収蔵している |
類似商品・競合との比較
作業用の椅子は、背もたれを持つかどうかで性格が分かれる。背もたれの有無は、座る姿勢と向きの変えやすさの双方に関わる。
| 比較項目 | 360°チェア | 背もたれのある事務用の椅子 | スタッキングチェア 40/4 |
|---|---|---|---|
| 背もたれ | なし | あり | あり |
| 上体の向き | 自由に変えられる | 背もたれの位置に制約される | 正面に固定される |
| 高さの調節 | 無段階(690〜780mm) | 製品による | なし |
| 上体を預ける | できない | できる | できる |
| 移動 | キャスター5本 | キャスターが多い | 持ち上げる |
| 重ねられるか | 不可 | 不可が多い | 可(5脚) |
選び分けの目安
- 体の向きを頻繁に変える場合
- 背もたれがないため、座ったまま任意の方向を向ける。製図台と机を行き来する、複数の作業面を使うといった場面が該当する。
- 長時間座り続ける場合
- 上体を預ける先がないため、背筋を保つ姿勢が続く。休息を伴う長時間の作業には、背もたれのある椅子が適する。
- 立ち作業と併用する場合
- 高さを780mmまで上げられるため、立ち姿勢に近い位置で座れる。フットレストが足を支える。
使用感と設置条件
背もたれを持たないこと
背もたれがないため、座ったまま上体をどの方向へも向けられる。背もたれのある椅子では、向きを変えるたびに背が邪魔になるか、椅子ごと回すことになる。
そのかわり、上体を預ける先がない。体幹で姿勢を保つ必要があり、長時間の座り続けには向かない。座面が回転するため、姿勢を崩したときに支えがない点も条件になる。
高さとフットレスト
座面高は690〜780mm。一般的な事務用の椅子(400〜500mm前後)より高く、作業台やカウンターに合わせる高さである。天板高720mmの机に対しては、座面を下げて使うことになる。
この高さでは足が床に届かない。支柱の下部にフットレストがあり、足を載せて体重の一部を預ける。フットレストがなければ、脚が垂れたまま支えを持たない状態になる。
設置と移動
直径630mm。脚が5本で、キャスターが付く。床の上を転がして移動できるが、段差は越えられない。
座面が回転しキャスターで動くため、立ち上がる際に椅子が動く。壁や机に寄せて立つ動作を前提とする場合、この点を確かめておく。
経年変化とメンテナンス
素材ごとに起きること
座面は一体成形のポリウレタンで、表面と内部が同じ素材である。張り地を持たないため、表面が擦れても下から別の素材が出ない。いっぽうで裂けると補修ができない。
ガススプリングは消耗する部品である。高さが保てず下がるようになった場合、交換で対応する。キャスターは埃と髪の毛が軸に絡む。
日常の手入れ
- 座面
- 乾いた布で拭く。汚れは薄めた中性洗剤を含ませた布で拭く。有機溶剤はポリウレタンを傷める。
- キャスター
- 回転が渋くなった場合、取り外して軸に絡んだものを取り除く。
- ガススプリング
- 高さが保てなくなった場合は交換になる。取扱店を通じて依頼する。
どこで買うか
取扱店の調べ方
同じ設計者によるマイトチェアや、同じシリーズの360°コンテナも扱われている。マジスは公式サイトで製品情報を公開している。同社は価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによる。日本国内の正規取扱については、輸入代理店の案内を確認するのが確実である。
納期は在庫の状況によって変わる。取扱店に確認する。
実物を確認する
背もたれを持たない椅子は、座ってみないと体格や作業内容との相性が分からない。座面高690〜780mmという高さも、合わせる作業面の高さによって適否が変わる。展示の有無を取扱店へ確認するとよい。
中古の流通
相場は年式と状態で幅があり、一定していない。
確認箇所は、ガススプリングが高さを保つか、座面の裂けと変形、キャスターが5個揃っていて回転するか、支柱の塗装の状態である。ガススプリングとキャスターは交換部品がある場合がある。
購入前チェックリスト
- 背もたれがないこと(上体を預ける先がない)
- 合わせる作業面の高さ(座面高690〜780mm)
- 足が床に届かないこと(フットレストで支える)
- 設置場所の寸法(直径630mm)
- 床材(キャスターが転がる。段差は越えられない)
- 立ち上がる際に椅子が動くこと
- 重ねられないこと
- 中古の場合、ガススプリングが高さを保つか
よくある質問
- 価格はどのくらいですか?
- マジスは価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによります(2026年8月19日確認)。輸入品のため為替の影響も受けます。
- どこで購入できますか?
- マジスの公式サイトで製品情報を確認できます。日本国内の正規取扱については輸入代理店の案内をご確認ください。
- 背もたれがなくて疲れませんか?
- 上体を預ける先がないため、体幹で姿勢を保つことになります。長時間座り続ける用途には向きません。いっぽうで座ったまま上体をどの方向へも向けられるため、複数の作業面を行き来する場面では動作が減ります。
- どんな机に合いますか?
- 座面高は690〜780mmで、一般的な事務用の椅子(400〜500mm前後)より高く、作業台やカウンターに合わせる高さです。天板高720mmの机に対しては座面を下げて使うことになります。
- 足は床に届きますか?
- この高さでは届きません。支柱の下部にフットレストがあり、足を載せて体重の一部を預けます。フットレストがなければ脚が垂れたまま支えを持たない状態になります。
- 立ち上がるときに動きませんか?
- 座面が回転しキャスターで動くため、立ち上がる際に椅子が動きます。壁や机に寄せて立つ動作を前提とする場合は、この点をお確かめください。
- 高さが下がってきた場合はどうすればよいですか?
- ガススプリングは消耗する部品です。高さが保てず下がるようになった場合は交換で対応します。取扱店を通じてご依頼ください。
- 手入れはどうすればよいですか?
- 座面は乾いた布で拭きます。汚れは薄めた中性洗剤を含ませた布で拭いてください。有機溶剤はポリウレタンを傷めます。座面は一体成形で張り地を持たないため表面が擦れても下から別の素材が出ませんが、裂けると補修ができません。