概要

プロジェッティは、ジョルジェッティの社内設計部門であるチェントロ・リチェルケ・ジョルジェッティが1987年に発表した肘掛け椅子である。ブナの無垢材で組んだ枠に、南米産のパウフェロでつくった肘を組み合わせる。肘の先端は古い杖の握り手を写した形をとり、この部分がシリーズ全体の目印になっている。アームチェアのほか、背の高いウイングチェア、2人掛けソファ、スツールへと構成が広がり、現在も生産が続いている。

特徴・コンセプト

杖の握り手から始まった肘

ジョルジェッティは、この椅子の発想が細部から生まれたと説明している。古い杖の握り手である。肘掛けは前方へ伸びたのち、手のひらが収まる太さに膨らみ、先端を内側へ巻き込んで終わる。座る人が最初に触れ、立ち上がるときに体重を預ける場所でもある。握りとして成り立つ太さと傾きが、そのまま椅子の輪郭になっている。

肘だけを別の樹種でつくる

肘は枠と同じブナ材ではなく、パウフェロ(Machaerium 属)で別につくられる。ポルトガル語で「鉄の木」を指す名のとおり密度が高く、ヤンカ硬度はおよそ1,960 lbf と記録されている。木理が細かくて摩耗に強く、湿度の変化による寸法の狂いが小さい。厚い塗膜に頼らず、磨くだけで光沢が出る点も特徴である。手が繰り返し触れて摩擦にさらされる部位に、こうした性質が適している。赤みを帯びた濃い色は、淡いブナ材との対比を生む。

一方でパウフェロは刃物を鈍らせやすく、木理が乱れた部分では削り面がむしれやすい。量産の部材としては扱いやすい木ではない。ジョルジェッティは木工から出発した会社で、加工の設備と職人を自社に抱えている。この部材はその製造条件のうえに成り立っている。

枠と詰め物と張り地

枠と脚はブナの無垢材。脚は磨いて木肌を見せる仕上げと、ラッカー塗装で色をのせる仕上げが選べる。座と背の詰め物は、へたりにくいポリウレタンフォームと繊維を組み合わせ、部位ごとに密度を変えてある。荷重のかかり方が異なる座と背に同じ密度の材を用いると、沈み方が揃わないためである。

張り地は布または本革で、カバーは総取り外し式である。汚れた部分の手入れも、年月を経てからの張り替えも、枠をばらさずに行える。加えて型番を限って、厚手のサドルレザーを張った仕様が用意される。

エピソード

ジョルジェッティは1970年代から工業化と生産設備の更新を進め、設計を担う組織としてチェントロ・リチェルケ(研究センター)を社内に置いた。プロジェッティはこの部門の仕事として記録されており、外部の設計者の名前は付されていない。

資料によっては、ウンベルト・アスナーゴ個人の作品として紹介されることがある。発表当時に同センターを率いていたのがアスナーゴであり、ジョルジェッティ自身は一貫してチェントロ・リチェルケの設計として記載している。

シリーズはアームチェアだけに留まらず、ウイングチェア、2人掛けソファ、スツールへと構成が増えた。ジョルジェッティのカタログはこのシリーズに1987/1996の年号を併記しており、構成が段階的に足されていった経緯がうかがえる。名称の Progetti は、イタリア語で計画・設計を指す progetto の複数形にあたる。

後年には派生も加わった。ファッション向けの素材を張ったプロジェッティ・ファッション、張り地が床まで下りるプロジェッティ・シルキーなどがあり、いずれもパウフェロの肘は残されている。

評価と影響

発表から現在まで生産が続いており、一般的にジョルジェッティを代表する定番として扱われている。2018年、創業120年に合わせて同社はロゴを刷新した。左右対称の渦を組み合わせたそのマークは、プロジェッティの肘の形と、その輪郭を削り出す工程を参照したものだと説明されている。

基本情報

名称 プロジェッティ / Progetti
デザイナー チェントロ・リチェルケ・ジョルジェッティ(Centro Ricerche Giorgetti/社内設計部門)
ブランド ジョルジェッティ(Giorgetti)
発表年 1987年
デザインの成立国 イタリア
分類 アームチェア
主要素材 ブナ無垢材(枠・脚)、パウフェロ(肘)、ポリウレタンフォームと繊維(詰め物)
張り地 布、革(いずれも取り外し式)、サドルレザー(型番を限定)
脚の仕上げ 磨き、またはラッカー塗装
シリーズの構成 アームチェア、ウイングチェア、2人掛けソファ、スツール
サイズ 型により異なる
生産 継続中

Reference