Giorgetti ジョルジェッティ
Giorgetti(ジョルジェッティ)は、1898年にイタリア北部ブリアンツァ地方の町メーダで創業した家具ブランドです。創業者ルイージ・ジョルジェッティが約8人の職人とともに開いた工房を起点とし、地域に根づいた木工技術を受け継ぎながら、現在はラグジュアリー家具の分野で国際的に展開しています。
1980年代後半からは、カルロ・コロンボ、ロベルト・ラッツェローニ、マッシモ・スコラーリ、ルドヴィカ&ロベルト・パロンバといったデザイナー・建築家との協働を本格化させ、木工技術と現代的なデザインを組み合わせた製品群を「Giorgettiスタイル」として確立してきました。
ブランドの特徴とコンセプト
Giorgettiは、木工の伝統と現代デザイン、そしてイタリア国内での一貫生産を軸に据えています。メープル、エボニー、ブナ、ウォールナット、パウフェロといった無垢材を中心に、含水率を管理した乾燥工程を経て、石・ガラス・レザー・金属などと組み合わせた家具をつくっています。
製造の現場では、職人の手仕事とCNC(コンピュータ制御)加工を併用し、手作業の質感と工業製品としての精度を両立させています。デザインから生産までをイタリア国内で完結させる体制をとっており、長く使える耐久性を重視している点も特徴です。
ブランドヒストリー
1898年、ルイージ・ジョルジェッティはメーダに工房を構え、当初はミラノの上流階級向けに古典様式の家具を製作していました。メーダを含むブリアンツァ地方は、古くから家具製作が盛んな地域として知られます。1920年代には早くも米国向けの輸出を始め、半完成品の彫刻フレームという製品で成功を収め、量産の体制を整えていきました。
1960年代の工場の機械化を経て、Giorgettiは現代的なコレクションの開発へと舵を切ります。1980年代には、創業者の孫にあたるカルロ・ジョルジェッティが経営に加わり、家具デザインの経験を持たない建築家たちと組んで、それまでの古典様式とは異なる製品づくりを進めました。
1987年には、社内のデザイン研究部門Centro Ricerche Giorgettiが「Progetti」コレクションを発表します。古いステッキの握りを思わせるパウフェロ材のアームレストを持つこのアームチェアは、ブランドを象徴する存在となりました。1990年代には建築家マッシモ・スコラーリがアートディレクターを務め、スプリング機構を備えた「Spring」チェアなどを手がけています。
2011年には、Giorgetti製品のみで構成したアパートメント型のショールーム「Atelier」のコンセプトを発表し、主要都市に展開しました。2015年、ジョルジェッティ家は事業をプライベートエクイティのProgressioに売却し、Poltrona FrauやMolteni&Cを率いた経歴を持つジョヴァンニ・デル・ヴェッキオがCEOに就任しています。2016年には初のキッチンシステム「GK」を、2018年には高級インテリアの内装を手がける企業Battagliaを傘下に加え、空間全体を手がける体制を強化しました。
2023年には創業125周年を迎え、ミラノのスピーガ通り31番地に旗艦空間「Giorgetti Spiga - The Place」をオープンしました。2025年のミラノデザインウィークでは、自動車ブランド・マセラティとの初の家具コレクション「Giorgetti Maserati Edition」を発表し、家具と自動車内装の双方にわたる協働を始めています。
代表的なインテリアと特徴
Progetti コレクション(1987年)
Centro Ricerche Giorgettiが1987年に生み出した、ブランドを代表するアームチェアシリーズです。最大の特徴は、古いステッキの握りを思わせるパウフェロ材のアームレスト。ブナ無垢材のフレームに研磨またはラッカー仕上げを施し、座面と背もたれには高密度ウレタンとファイバーによる詰め物を用いています。張地はファブリックとレザーから選べ、取り外して手入れができます。
Spring デスクチェア(1992年)
マッシモ・スコラーリが手がけた、スプリング機構を備えたデスクチェアです。長時間の作業でも身体への負担を抑える設計で、Giorgettiを代表するプロダクトのひとつとして知られています。
Skyline モジュラーソファ(カルロ・コロンボ)
カルロ・コロンボが手がけたモジュラーソファシステム。柔らかなラインを持ち、固定式とモジュール式のいずれの構成も可能です。住宅から商業空間まで幅広い用途に対応しながら、Giorgettiらしい落ち着いた佇まいを保っています。
GK キッチンシステム(2016年)
Giorgettiがキッチン分野に初めて参入したシステムキッチンです。中央アイランドのスライド式カウンタートップや、収納すると目立たなくなる扉など、作業スペースを隠せる構成を備えています。独立したキッチンとしても、リビングと一体化したオープンな空間としても用いることができます。
Giorgetti Maserati Edition(2025年)
2025年に発表された、マセラティとの協働による家具コレクションです。Giorgettiのクリエイティブディレクター、ジャンカルロ・ボジオと、マセラティのデザイン責任者クラウス・ブッセが共同でデザインしました。海の生き物や古代ギリシャの海の神話から着想を得ており、Loreleiアームチェア・ソファ、Ligeaコーヒーテーブル、Neomerisカーペット、Nereideソファ、Plotoローテーブル、Seidonソファ、Sibeliaローテーブル、Tetiプーフなどで構成されます。自動車を思わせる光沢あるラッカー仕上げなど、両ブランドの要素が随所に取り入れられています。
主なデザイナー
Giorgettiの製品づくりは、複数のデザイナー・建築家との長期的な協働によって支えられています。
カルロ・コロンボ(Carlo Colombo)
イタリアの建築家・デザイナー。Giorgettiのために、Skylineソファをはじめ、ベッド、書棚、テーブル、サイドボードなど数多くのプロダクトを手がけています。プロダクトから建築・インテリアまで幅広く活動するデザイナーとして知られます。
ロベルト・ラッツェローニ(Roberto Lazzeroni)
Giorgettiのために、彫刻的で流麗なフォルムの作品を多く手がけたデザイナーです。「Tycoon」デスクや「Mogul」デスク、「Genius」エグゼクティブアームチェア、照明を備えたキャビネット「Houdini」など、木材の質感を生かしながら現代的な機能性を取り入れた作品が特徴です。
マッシモ・スコラーリ(Massimo Scolari)
建築理論家としても知られるイタリアの建築家。1990年代にGiorgettiのアートディレクターを務め、ブランドの方向性を牽引しました。代表作は1992年の「Spring」チェアで、線的で流麗なフォルムを特徴とする家具を数多くデザインしています。
Centro Ricerche Giorgetti(ジョルジェッティ・リサーチセンター)
Giorgetti社内のデザイン研究部門。1987年にブランドを象徴する「Progetti」コレクションを生み出しました。職人技と新しいデザインアプローチを組み合わせ、ブランドのアイデンティティを支える作品を継続的に開発しています。
ルドヴィカ&ロベルト・パロンバ(Ludovica + Roberto Palomba)
イタリアのデザインデュオ。Giorgettiのために「Break」アウトドアテーブルや「Loop」アウトドアアームチェアなどを手がけ、屋外空間向けの製品に造形的な美しさと機能性をもたらしています。
チー・ウィン・ロー(Chi Wing Lo)
東洋の美意識とイタリアの製作技術を組み合わせた作品をGiorgettiのために手がける建築家。「Ino」バーキャビネットや「Aro」チェアシリーズなど、節度あるエレガンスと機能性を備えた製品で知られます。
その他の協働デザイナー
このほか、ウンベルト・アスナゴ、ロッセラ・プリアッティ(Hugアームチェア)、Dainelliスタジオ、Setsu & Shinobu Ito、アダム・D・ティハニーなど、多彩なデザイナーがGiorgettiのコレクションに関わっています。クリエイティブディレクターのジャンカルロ・ボジオが全体のディレクションを担っています。
基本情報
| ブランド名 | Giorgetti S.p.A.(ジョルジェッティ) |
|---|---|
| 創業 | 1898年 |
| 創業者 | Luigi Giorgetti(ルイージ・ジョルジェッティ) |
| 本社所在地 | イタリア・ロンバルディア州 メーダ(Meda, Brianza, Italy) |
| CEO | Giovanni del Vecchio(ジョヴァンニ・デル・ヴェッキオ/2015年就任) |
| クリエイティブディレクター | Giancarlo Bosio(ジャンカルロ・ボジオ) |
| 所有 | Progressio(プライベートエクイティ/2015年~) |
| 主要製品カテゴリー | チェア、ソファ、テーブル、デスク、ベッド、書棚、キャビネット、キッチンシステム、アウトドア家具、アクセサリー |
| 展開 | 世界各国の正規販売店・ディストリビューターおよびAtelier・モノブランドストアを通じて展開 |
| 公式サイト | https://www.giorgettimeda.com |