概要

メッツァドロは、アキッレとピエル・ジャコモのカスティリオーニ兄弟が1957年に設計したスツールである。トラクターの座席をそのまま座面に用い、板ばねの支柱とビーチ材の横木を組み合わせる。1957年にコモのヴィッラ・オルモで開かれた展覧会「今日の住まいにおける色と形(Colori e forme nella casa d'oggi)」のために設計され、量産は1970年にザノッタが始めた。

特徴・コンセプト

4つの部品で成立する

この椅子は、座面、大きな蝶ナット、板ばね、横木の4つで構成される。座面は農業機械用に量産されていた鋼板製のシートで、通気と軽量化のための丸い孔が並ぶ。人が長時間座ることを前提に成形された曲面であり、家具として作り直す必要がなかった。

座面と支柱をつなぐのは自転車用の蝶ナットである。工具を使わずに締められる部品であり、ここでも既にある部品がそのまま用いられている。

ばねの向きを逆にする

支柱に用いられるのは、トラクターで座席の衝撃を吸収する板ばねである。カスティリオーニ兄弟はこれを本来と逆向きに取り付けた。荷重のかかる方向が変わることで、座面はより大きくたわみ、弾力が増す。同じ部品でも取り付ける向きを変えれば働きが変わるという判断が、この設計の中心にある。

床に接するのは、ビーチ材の横木である。片持ちで前方へ張り出す座面に対し、横木が2点の支持を加えることで安定する。金属の部品が続くなかに木の部材を1本入れることで、床との接し方も変わる。

エピソード

カスティリオーニ兄弟は既製の工業部品を集めて観察する習慣を持っており、メッツァドロもその延長にある。同じ1957年には自転車のサドルを用いたセッラも設計されている(こちらの量産は1983年)。

ただし製造を引き受ける企業はすぐには現れなかった。ザノッタが生産を始めたのは13年後の1970年である。名称のメッツァドロはイタリア語で小作農を指し、農業機械の部品を住まいに持ち込むという構成にちなむ。

評価と影響

既製の工業部品を別の用途へ置き換える手法を家具で示した作例として、デザイン史のなかで参照され続けている。同じ考え方はトイオなど、兄弟の他の仕事にも共通する。

美術館コレクション

ニューヨーク近代美術館は、トラクターシート・スチール・ビーチ材によるメッツァドロを収蔵番号468.1972で登録している(1972年、製造元からの寄贈。同館の登録名は「Mezzadro Seat」、寸法は51.4×49.5×51.4cm)。シカゴ美術館も収蔵番号2015.600で登録している。

基本情報

名称 メッツァドロ / Mezzadro
デザイナー アキッレ・カスティリオーニ、ピエル・ジャコモ・カスティリオーニ
ブランド ザノッタ(Zanotta)
発表年 1957年設計/1970年 生産開始
デザインの成立国 イタリア
分類 スツール
主要素材 座面:鋼板(ラッカー塗装)/支柱:クロームメッキの板ばね/横木:スチーム処理したビーチ材
サイズ 幅49cm × 奥行51cm × 高さ51cm
カラー オレンジ、レッド、イエロー、ホワイト、ブラック
収蔵 ニューヨーク近代美術館(468.1972)、シカゴ美術館(2015.600)

Reference