バイオグラフィー
1918年2月16日、イタリア・ミラノに生まれる。父は彫刻家かつ貨幣彫刻家のジャンニーノ・カスティリオーニ、母はリヴィア・ボッラ。芸術的な家庭環境のもと、兄リヴィオ、ピエル・ジャコモもともに建築家の道を歩んだ。ミラノのリチェオ・クラシコ・ジュゼッペ・パリーニで古典を学んだ後、ブレラ美術学校で芸術を学び、1937年にミラノ工科大学建築学部に入学。第二次世界大戦中は砲兵将校としてギリシャ戦線とシチリアに従軍し、1944年3月に建築学の学位を取得した。
卒業後、兄リヴィオとピエル・ジャコモがルイージ・カッチャ・ドミニオーニと1938年に創設したデザイン事務所に参加。戦後の建築依頼の不足から、事務所は展示会デザイン、家具、家庭用品、照明器具に注力することとなり、この経験がアキッレの産業デザインへの道を決定づけた。1952年にリヴィオが独立した後、1968年にピエル・ジャコモが亡くなるまでの16年間、二人は緊密なチームとして活動し、その作品はどちらか一方に帰属させることができないほど一体化していた。ピエル・ジャコモの死後、アキッレは単独で活動を継続した。
1956年、アキッレはイタリア産業デザイン協会(ADI)の創設メンバーとなり、1969年からはトリノ工科大学で、1980年からは正教授としてミラノ工科大学で「産業デザイン」を1993年まで教鞭を執った。「好奇心がなければ忘れなさい。他人に興味がなく、彼らが何をし、どのように行動するかに関心がないなら、デザイナーはあなたにふさわしい仕事ではない」という言葉で学生たちを鼓舞し、最も影響力のある教育者の一人となった。
50年以上のキャリアで150以上のプロダクトをデザインし、1997年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)で大規模な回顧展「Achille Castiglioni: Design!」が開催された。これはイタリア人デザイナーとして最大規模の展覧会であった。2002年12月2日、ミラノのピアッツァ・カステッロにある自身のスタジオで84歳で逝去。2005年、このスタジオは「スタジオ・ムゼオ・アキッレ・カスティリオーニ」として一般公開され、191の建築プロジェクト、484の展示プロジェクト、290の産業デザインプロジェクトのアーカイブが保管されている。
デザインの思想とアプローチ
観察に基づくデザイン哲学
カスティリオーニのデザイン哲学の核心は「デザインは観察を要求する」という信念にあった。日常生活で見過ごされがちな物体や現象を鋭く観察し、そこから新しいデザインの可能性を見出すことを重視した。街灯からArcoランプの着想を得、トラクターの座席からMezzadroスツールを創造したように、既存のオブジェクトを予期せぬ文脈に置くことで、機能と形態の新しい関係性を探求した。
「最小限の手段で最大限の結果を達成する」というモットーのもと、無駄を排除した本質的なデザインを追求。しかし、それは単なるミニマリズムではなく、知的なユーモアと遊び心を含んだものであった。彼のデザインには常にパラドックスが存在し、それが観る者、使用する者に深い洞察と喜びをもたらした。
レディメイドの概念
兄ピエル・ジャコモとともに、マルセル・デュシャンの「レディメイド」概念をデザインに応用した先駆者であった。既製品や産業部品をそのまま、あるいは最小限の改変で新しい文脈に置き直すことで、物の本質的な美しさと機能性を再発見させた。
Toioフロアランプ(1962)は、自動車のヘッドライト、トランスフォーマー、釣り竿のリング、六角形のロッドなど、工業製品をそのまま組み合わせて照明として機能させた。Sellaスツール(1957)は自転車のサドルを、Mezzadroスツール(1957)はトラクターの座席を座面として使用。これらは単なる転用ではなく、「電話ボックスで話すとき、動き回りたいが同時に座りたい、しかし完全には座りたくない」という新しい行動様式への洞察から生まれたものであった。
実験的素材への挑戦
新しい素材と製造技術への探求心は生涯にわたって続いた。1960年代初頭、Flos社の創設者ディノ・ガヴィーナとアルトゥーロ・アイゼンカイルとの出会いから、「コクーン」と呼ばれる画期的な素材を照明デザインに応用。これはスプレー式のポリアミド樹脂で、金属フレームに吹き付けることで柔軟な半透明の膜を形成するもので、Taraxacum(1960)、Viscontea(1960)、Gatto(1960)などの象徴的な照明を生み出した。
また、曲面合板、大理石、ステンレススチール、アルミニウム、ガラスなど多様な素材を巧みに組み合わせ、それぞれの素材の特性を最大限に引き出すデザインを実現した。
デザインの分類思考
カスティリオーニは自身の作品を概念的に分類していた。「レディメイド」は既製品をそのまま使用したもの、「リデザイン」は既存の物を現代の必要性と技術改良に基づいて改善したもの。Cumano折りたたみテーブル(1979)、Spiraleアッシュトレイ(1971)、Breraガラス球形シーリングランプ(1992)などがリデザインに該当する。しかし最も重要なのは、それぞれのデザインに物語があることであり、その物語が使用者との対話を生み出すことであった。
作品の特徴
機能性と詩的表現の融合
カスティリオーニの作品は、徹底的な機能分析に基づきながらも、詩的で彫刻的な美しさを持つ。Arcoランプの優美な曲線、Taraxacumシャンデリアの蒲公英を思わせる繊細な形態、Snoopyテーブルランプのユーモラスな佇まいなど、技術的合理性と視覚的魅力が完璧に調和している。
知的ユーモアと遊び心
作品には常に知的なユーモアが含まれていた。Paro反転グラス(1983)は、グラスを逆さにするとステムがショットグラスになるという遊び心。Mezzadroスツールの前傾姿勢を促す不安定な構造は、「完全に座る」という固定観念への挑戦であり、新しい身体との関係性の提案であった。このユーモアは決して表面的な装飾ではなく、使用者の知覚と行動に問いを投げかける哲学的な質を持っていた。
タイムレスな普遍性
「デザインは流行であってはならない。良いデザインは時間の試練に耐え、摩耗するまで持続すべきだ」という信念のもと、時代を超えた普遍的な価値を持つ作品を追求した。1962年にデザインされたArcoランプは、60年以上経った現在も世界中で生産され続け、モダンデザインの象徴として愛されている。この普遍性は、一時的なスタイルではなく、本質的な機能と形態の関係性を追求したことから生まれたものであった。
工業生産への適応
芸術作品ではなく、大量生産可能な産業製品としてのデザインを追求した。展示会デザインの経験から培った空間構成力、新しい製造技術への理解、コスト意識を持ちながら、決して妥協しない美的水準を維持した。Flos、Zanotta、Alessi、Kartell、Cassina、Brionvegaなど、イタリアを代表するメーカーとの長期的な協働関係を築き、デザインから製造、流通まで一貫した視点を持っていた。
主要代表作とその特徴
Arcoフロアランプ(1962)
ピエル・ジャコモとの共同制作。Flos社のために創作されたこの照明は、カスティリオーニ兄弟の最も有名な作品であり、20世紀デザイン史における真の傑作である。街灯からインスピレーションを得て、天井から照明を吊り下げることなく、遠く離れた場所を照らすという課題を解決した。
重厚な大理石のベース(約65kg)から、長さ約2.5メートルの優美な弧を描くステンレススチールのアームが伸び、その先端に調整可能なアルミニウム製のランプシェードが取り付けられている。ダイニングテーブルの中央を照らしながら、脚部が邪魔にならない位置に設置できる革新的な構造。大理石ベースには箒の柄を差し込む穴が開けられており、重いランプを簡単に移動できる実用的な配慮も施されている。
このデザインは、機能性、彫刻的美しさ、技術革新の完璧な融合を示しており、ニューヨーク近代美術館をはじめ世界中の美術館に収蔵されている。2022年には誕生60周年を記念した限定エディションがFlos社から発売され、現在も変わらぬ人気を誇る。
Mezzadroスツール(1957)
ピエル・ジャコモと共同制作したこの椅子は、レディメイドのコンセプトを体現する代表作。20世紀初頭のトラクターの座席、曲げられた鉄棒の脚、コルク抜きの取っ手を思わせる木製台座、そして一本の翼ねじで構成される。
トラクターの座席は前傾姿勢を促す形状で、完全に座るのではなく、立つと座るの中間的な姿勢を可能にする。「電話ボックスで話すとき、動き回りたいが同時に座りたい、しかし完全には座りたくない」という新しい行動様式の観察から生まれた。この不安定さは意図的なもので、身体と家具の固定的な関係性を問い直す哲学的な提案であった。
当初Gavinaが試作、その後Knoll(1969)、Bernini(1990)が製造し、2004年からはイタリア家具業界のリーダーであるPoltrona Frauが製造を継続。デザイン史の教科書に必ず掲載される象徴的作品として、今も生産され続けている。
Toioフロアランプ(1962)
ピエル・ジャコモとの共同制作。自動車のヘッドライトリフレクター、トランスフォーマー(重い台座としても機能)、成形金属製ハンドル、六角形のステム、釣り竿のリング3個、そして一本のネジで構成される。工業製品の純粋な美しさを照明として再構成した作品。
高度な工業スタイルとタイムレスなデザインにより多くの賞を受賞し、ニューヨーク近代美術館の常設展示に選ばれている。60年以上経った現在も、Flos社によって生産が続けられている。無駄を一切排除した機能美と、工業部品が持つ本質的な造形美を示す傑作である。
Taraxacumシャンデリア(1960)
ピエル・ジャコモと共同でFlos社のためにデザイン。タラクサクムとは蒲公英の学名で、その名の通り、球形に配置された20枚の研磨アルミニウム三角形の周囲に120個の透明なGlobolux電球が取り付けられた、繊細で幻想的な照明。
初期の「コクーン」技術を用いたバージョンもあったが、後に金属とガラスの組み合わせによる現在の形態となった。まるで宙に浮かぶ光の彫刻のような存在感を持ち、点灯時には空間全体が柔らかく幻想的な光に包まれる。1988年にはTaraxacum 88として新バージョンも発表され、Flos社の代表作として世界中で愛され続けている。
Snoopyテーブルランプ(1967)
ピエル・ジャコモとの共同制作。名前の由来はチャールズ・M・シュルツの漫画「ピーナッツ」に登場する白い犬スヌーピー。大理石のベース、丸みを帯びた金属とガラスのトップが、愛らしく親しみやすいフォルムを形成している。
重厚な大理石ベースが安定性を提供し、エナメル塗装されたスチールのシェードが直接光、反射光、拡散光の絶妙なバランスを生み出す。機能的でありながらユーモラスで温かみのある照明で、書斎や寝室に理想的。Arcoランプと同様に、Flos社の永遠のベストセラーとして現在も生産されている。
Gattoテーブルランプ(1960)
ピエル・ジャコモとFlos社のために創作。「Gatto」はイタリア語で「小さな猫」を意味する。「コクーン」技術を用いた柔らかな照明で、どんな平面にも置くことができ、拡散光を提供する。
スプレー樹脂で形成された繊細な外皮は、触れると柔らかく温かい感触を持ち、まるで生き物のような親密さを感じさせる。大小さまざまなサイズが製造され、60年以上にわたって愛され続けている。ミッドセンチュリーモダンデザインの象徴として、コレクターの間でも高い人気を誇る。
RR 126ラジオグラム(1965)
ピエル・ジャコモと共同でBrionvega社のためにデザインした革命的な音響機器。テクノロジーの歴史だけでなく、デザイン史においても重要な位置を占める。市場に登場するや否や大きなセンセーションを巻き起こした。
それまでの木製家具のような音響機器とは一線を画し、モダンで彫刻的なフォルムを持つ。開閉可能な構造により、使用していないときはコンパクトな立方体として収納でき、開くとターンテーブル、レシーバー、スピーカーが現れる。デザインと技術の完璧な統合を示す傑作として、多くの美術館に収蔵されている。
Parentesi吊り下げランプ(1970)
カーデザイナーのピオ・マンズーのコンセプトスケッチから発展させた作品。天井と床の間に張られたワイヤーに、ブラケット形状のパイプが取り付けられ、そこに電球が固定される。パイプの折り曲げによって生じる摩擦により、ネジを使わずに任意の高さで電球を固定できる革新的な機構。
極限まで単純化された構造でありながら、完全な高さ調整が可能で、空間に応じて自由にカスタマイズできる。1979年にコンパッソ・ドーロ賞を受賞。ミニマリズムと機能性の完璧な結合を示す作品として、現代においても革新的である。
Dryカトラリー(1982)
Alessi社のためにデザインした食器セット。1984年にコンパッソ・ドーロ賞を受賞。カスティリオーニの「最小限の手段で最大限の結果」という哲学を体現した作品。
無駄な装飾を一切排除し、握りやすさ、使いやすさ、バランス、視覚的美しさを追求。ステンレススチールの特性を最大限に活かした、彫刻的でありながら完璧に機能的なフォルム。30年以上経った現在もAlessi社のベストセラー商品の一つとして生産され続けている。
Frisbi吊り下げランプ(1978)
Flos社のためにデザイン。カスティリオーニのスタイルを象徴する、最小限の要素で構成されたペンダントランプ。剃刀のように薄いドーナツ形のディスクが、小さなランプシェードの下から3本のワイヤーで吊り下げられている。
解体されたシェードが電球の下に浮いているように見える未来的なフォルムでありながら、直接光、反射光、拡散光の絶妙な組み合わせを実現。シンプルさの中に高度な照明技術が隠されている。
功績と業績
コンパッソ・ドーロ賞
カスティリオーニの最も顕著な業績は、イタリアデザイン界最高の栄誉であるコンパッソ・ドーロ賞を9回受賞したことである。これは単独のデザイナーとしては異例の記録である。
- 1955年
- Luminatorランプ(ピエル・ジャコモと共同)
- 1960年
- T12 Palini椅子(ピエル・ジャコモ、ルイージ・カッチャ・ドミニオーニと共同)
- 1962年
- Pitagoraコーヒーマシン(ピエル・ジャコモと共同)
- 1964年
- Spinamaticビールディスペンサー(ピエル・ジャコモと共同)
- 1967年
- Phoebus同時通訳ヘッドセット(ピエル・ジャコモと共同)
- 1979年
- Parentesiランプ
- 1979年
- Omsa TR15病院用ベッド(ジャンカルロ・ポッツィ、エルネスト・ゼルビと共同)
- 1984年
- Dryカトラリー
- 1989年
- コンパッソ・ドーロ・キャリア賞「比類なき経験を通じてデザインを文化の最高の価値に高めた」
ミラノ・トリエンナーレ
1947年から生涯にわたり、すべてのミラノ・トリエンナーレに出展し、多数のメダルを獲得した。
- 1947年 - ブロンズメダル
- 1951年、1954年、1960年 - グランプリ
- 1957年 - 金メダル、銀メダル
- 1963年 - 銀メダル
国際的評価と栄誉
- 1986年 - 英国王立芸術協会 名誉ロイヤル・デザイナー・フォー・インダストリー
- 1987年 - ロンドン王立芸術大学 名誉学位
- 1993年 - ロンドン・チャータード・ソサエティ・オブ・デザイナーズ 年間賞
- 1996年 - ハノーファー国際フォーラムデザイン IFデザイン賞
- 1996年 - シュツットガルト・デザインセンター 長寿賞
- 1999年 - Domus/INARCH 生涯功労賞
- 2001年 - ミラノ工科大学 名誉博士号(産業デザイン)
教育者としての功績
1969年から1993年まで、24年間にわたって産業デザイン教育に専念。トリノ工科大学(1969-1980)、ミラノ工科大学(1980-1993)で教鞭を執り、数世代のデザイナーに影響を与えた。授業では吸盤や木製スツールなど日用品を教室に持ち込み、学生たちに日常の中に美を見出すこと、既存の物を新しい文脈で考えることを促した。
ADI(イタリア産業デザイン協会)創設
1956年、兄ピエル・ジャコモとともにADIの創設メンバーとなり、イタリア産業デザインの制度化と国際的認知向上に貢献した。ADIが主催するコンパッソ・ドーロ賞の組織化にも深く関わり、イタリアデザインの質を高める運動の中心的人物の一人であった。
評価と後世への影響
20世紀デザイン史における位置
アキッレ・カスティリオーニは、戦後イタリアデザイン黄金期を代表する巨匠の一人として、ジオ・ポンティ、エットーレ・ソットサス、ヴィコ・マジストレッティ、マルコ・ザヌーゾ、リチャード・サッパーらとともに、「メイド・イン・イタリー」を世界的なデザインブランドに高めた立役者である。
彼の革新性は、デザインを単なる形態創造ではなく、人間の行動、知覚、思考に問いを投げかける知的活動として位置づけたことにある。レディメイドの概念を産業デザインに導入し、日常性と芸術性の境界を曖昧にすることで、デザインの可能性を大きく拡張した。
美術館コレクションと展覧会
カスティリオーニの作品は世界中の主要美術館に収蔵されている。ニューヨーク近代美術館(MoMA)は14点を永久コレクションに保有し、1997年には大規模な回顧展「Achille Castiglioni: Design!」を開催。これはイタリア人デザイナーとしては最大規模の展覧会であり、キュレーターのパオラ・アントネッリによる包括的なカタログも出版された。
その他、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館、チューリッヒの工芸博物館、ミュンヘンの応用美術博物館、プラートのデザイン博物館、エルサレムのイスラエル博物館、デンバー美術館、ヴァイル・アム・ラインのヴィトラ・デザイン博物館、フランクフルトの応用美術博物館、ケルンの応用美術博物館、パリのポンピドゥー・センター、ミラノのADIデザイン博物館などに作品が収蔵されている。
スタジオ・ムゼオとアーカイブ
2005年、カスティリオーニが50年以上使用したミラノのピアッツァ・カステッロのスタジオが「スタジオ・ムゼオ・アキッレ・カスティリオーニ」として一般公開された。アキッレ・カスティリオーニ財団が管理するこの博物館には、191の建築プロジェクト、484の展示プロジェクト、290の産業デザインプロジェクトのアーカイブが保管されている。
約11,500点の技術図面と手描きスケッチ、130のプラスチックモデル、写真、スライド、ガラス板、ネガ、ビデオカセット、DVD、オーディオカセット、雑誌の抜粋、書籍、カタログ、そしてアキッレが収集した物品が含まれる。パルマ大学にも追加のアーカイブが保管されている。
現代デザインへの継続的影響
カスティリオーニの影響は現代デザイン界に深く浸透している。「観察に基づくデザイン」「最小限の手段で最大限の結果」「機能とユーモアの融合」という彼の原則は、世界中のデザインスクールで教えられ、無数のデザイナーに影響を与え続けている。
特に、サステナビリティが重視される現代において、彼の「既存の物を新しい文脈で再利用する」というアプローチは、新たな意味を持って再評価されている。また、彼の作品が60年以上経った現在も生産され続け、変わらぬ需要を持つことは、真のタイムレスデザインの価値を証明している。
イタリアデザイン文化への貢献
カスティリオーニは、Flos、Zanotta、Alessi、Kartell、Cassina、Brionvegaなど、今日世界的に知られるイタリアデザインブランドの発展に不可欠な役割を果たした。これらの企業との長期的な協働を通じて、デザイナーと製造者の理想的な関係モデルを構築し、イタリア産業デザインの質的向上に貢献した。
2014年、ミラノ市は三人のカスティリオーニ兄弟に敬意を表して「Via Fratelli Castiglioni」(カスティリオーニ兄弟通り)と名付けた通りを市内に設けた。これはイタリアデザイン史における彼らの不朽の貢献を公式に認めるものであった。
遺産の継承
カスティリオーニの精神は、彼の作品が今も生産され、愛用され続けることで生き続けている。Arcoランプは2022年に60周年を迎え、Mezzadroスツールは65年以上、Toioランプは60年以上生産が続いている。これらは単なる「クラシック」ではなく、現代の生活空間に完璧に調和する「現役」のデザインとして機能している。
彼の娘で地質学者のジョヴァンナ・カスティリオーニは、父の遺産の保存と普及に尽力しており、定期的に講演やインタビューで父の哲学とアプローチを伝えている。カスティリオーニの「好奇心がなければデザイナーにはなれない」という言葉は、今も世界中のデザイン学生に響き続けている。
作品一覧
| 年月 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 1949年 | 照明 | Tubino ランプ | Arteluce / Flos(再版) |
| 1955年 | 照明 | Luminator フロアランプ | Gilardi & Barzaghi / Flos(再版) |
| 1956年 | 家電 | Spalter 掃除機 | R.E.M. |
| 1957年 | 照明 | Saliscendi ペンダントランプ | Stilnovo |
| 1957年 | 椅子 | Sella スツール | Zanotta |
| 1957年 | 椅子 | Mezzadro スツール | Zanotta |
| 1957年 | 椅子 | Cubo ソファ・アームチェアコレクション | Arflex / Meritalia |
| 1959年 | 椅子 | Lierna チェア | Cassina / Gavina |
| 1959年 | カトラリー | Dolce カトラリー(後にGrand Prixとして再版) | Reed & Barton / Alessi |
| 1959年 | 家具 | Rochetto テーブル・スツールコレクション | Kartell |
| 1960年 | 椅子 | Sanluca ラウンジチェア | Gavina / Knoll / Bernini / Poltrona Frau |
| 1960年 | 照明 | Taraxacum シャンデリア | Heisenkeil / Flos |
| 1960年 | 照明 | Viscontea ペンダントランプ | Flos |
| 1960年 | 椅子 | T12 Palini チェア | Poltrona Frau |
| 1962年 | 照明 | Gatto / Gatto Piccolo テーブルランプ | Heisenkeil / Flos |
| 1962年 | テーブルウェア | Sleek サービングスプーン | Kraft / Alessi |
| 1962年 | 照明 | Toio フロアランプ | Flos |
| 1962年 | 照明 | Taccia テーブルランプ | Flos |
| 1962年 | 照明 | Arco フロアランプ | Flos |
| 1962年 | 家電 | Pitagora コーヒーマシン | La Cimbali |
| 1964年 | 照明 | Splüghen Braü ペンダントライト | Flos |
| 1964年 | 家電 | RR 126 ラジオグラム | Brionvega |
| 1964年 | 家電 | Spinamatic ビールディスペンサー | Poretti |
| 1965年 | テーブルウェア | Orseggi グラス・カラフェ・デカンター | Arnolfo di Cambio / Alessi |
| 1965年 | 時計 | Firenze 壁掛け時計 | Lorenz / Alessi |
| 1965年 | 椅子 | Tric 折りたたみ椅子 | BBB |
| 1966年 | 椅子 | Allunaggio チェア | Zanotta |
| 1967年 | 照明 | Snoopy テーブルランプ | Flos |
| 1967年 | 電子機器 | Phoebus 同時通訳ヘッドセット | Phoebus Alter |
| 1968年 | 電子機器 | Interruttore Rompitratta 電気スイッチ | VLM |
| 1970年 | 椅子 | Primate チェア | Zanotta |
| 1970年 | 照明 | Parentesi 吊り下げライト | Flos |
| 1971年 | アクセサリー | Spirale 灰皿 | Alessi |
| 1972年 | 照明 | Lampadina テーブルランプ | Flos |
| 1972年 | 照明 | Noce テーブル・ウォールランプ | Flos |
| 1975年 | 照明 | Aoy テーブルランプ | Flos |
| 1976年 | 照明 | Bibip フロアランプ | Flos |
| 1977年 | テーブル | Cumano 三脚テーブル | Zanotta |
| 1978年 | 照明 | Frisbi 吊り下げランプ | Flos |
| 1979年 | 椅子 | Ginevra 折りたたみ椅子 | BBB |
| 1979年 | 医療機器 | Omsa TR15 病院用ベッド | Omsa |
| 1980年 | 照明 | Gibigiana テーブルランプ | Flos |
| 1980年 | テーブルウェア | Acetoliera クルエットセット | Rossi & Arcandi / Alessi |
| 1982年 | カトラリー | Dry カトラリー | Alessi |
| 1982年 | 照明 | Moni ランプ | Flos |
| 1982年 | 照明 | Giovi ランプ | Flos |
| 1983年 | テーブルウェア | Paro グラスウェア(反転グラス) | Danese |
| 1983年 | テーブルウェア | Ovio グラス・カラフェ | Danese |
| 1984年 | 照明 | Stylos フロアランプ | Flos |
| 1987年 | テーブル | Basello 小型テーブル | Zanotta |
| 1988年 | 照明 | Taraxacum 88 フロアランプ | Flos |
| 1989年 | アクセサリー | Record 腕時計 | Alessi |
| 1989年 | 収納 | Comodo ベッドサイドテーブル | Zanotta |
| 1990年 | 収納 | Joy モジュラー棚 | Zanotta |
| 1992年 | 照明 | Brera ランプ | Flos |
| 1995年 | テーブルウェア | Fruttiera scolatoio フルーツボウル | Alessi |
| 1995年 | テーブル | Tavolo 95 テーブル | De Padova |
| 1995年 | アクセサリー | Mate, Supremate, Minimate 花瓶 | De Padova |
| 1996年 | 家具 | Scrittarello ライティングデスク | De Padova |
| 1996年 | 照明 | Fucsia 照明コレクション | Flos |
| 1997年 | テーブルウェア | Bavero テーブルウェア | Alessi |
| 1998年 | 照明 | Diabolo ランプ | Flos |
| 2001年 | 文具 | CENTO3 筆記具(遺作) | EGO.M |
Reference
- Achille Castiglioni - Wikipedia
- https://en.wikipedia.org/wiki/Achille_Castiglioni
- Achille Castiglioni lighting, furniture & biography - Casati Gallery
- https://www.casatigallery.com/designers/achille-castiglioni/
- Achille Castiglioni - Designculture
- https://www.designculture.it/profile/achille-castiglioni.html
- Achille Castiglioni, Designer - Archiproducts
- https://www.archiproducts.com/en/designers/achille-castiglioni
- Remembering Achille Castiglioni - STIR World
- https://www.stirworld.com/inspire-people-remembering-achille-castiglioni-the-master-of-industrial-design
- Achille Castiglioni - Stylepark
- https://www.stylepark.com/en/designer/achille-castiglioni
- Achille Castiglioni - Iconic Interiors
- https://www.iconicinteriors.com/about_us/meet_the_designers/achille_castiglioni
- Achille Castiglioni Biography - Midcentury Home
- https://www.midcenturyhome.com/people-in-design/achille-castiglioni/
- Achille Castiglioni - Architonic
- https://www.architonic.com/en/microsite/achille-castiglioni/5206158
- Achille Castiglioni: 10 of his best designs - DesignWanted
- https://designwanted.com/achille-castiglioni-10-best-designs/
- Achille and Pier Giacomo Castiglioni - Flos
- https://flos.com/en/us/designers/a-and-pg-castiglioni-us.html
- Fondazione Achille Castiglioni
- https://www.fondazioneachillecastiglioni.it