概要

セラは、アキッレとピエル・ジャコモのカスティリオーニ兄弟が1957年に設計したスツールである。名はイタリア語でサドルを意味し、競技用自転車のサドルをそのまま座面に用いる。半球状の鋳鉄ベースにピンク塗装のスチール支柱を立て、その上にサドルを載せる。ザノッタが1983年から製造している。

特徴・コンセプト

既製部品をそのまま使う

座面は、家具のために設計されたものではない。競技用自転車のサドルは、長時間またがる姿勢を支えるために成形されており、そのまま腰かけの座面として成立する。カスティリオーニ兄弟は同じ1957年に、トラクターの座席を用いたメッツァドロも設計している。既にあるものの組み合わせ方が設計そのものになるという姿勢は、両者に共通する。

一点で床に接する

ベースは半球状で、床に接するのは一点である。四本脚のように固定されないため、座った人が身体を動かせば全体が傾く。使う人の二本の足が残りの支持点となり、三点で安定が保たれる。腰にベルトで固定して用いる搾乳用の腰掛けと同じ原理である。

ベースが鋳鉄でつくられるのは、重心を低く保つためである。一点で接する構造は本来不安定だが、質量を下に集めることで倒れにくくなる。

座りきらない姿勢のために

アキッレ・カスティリオーニは、公衆電話を使うときには動き回りたいが同時に座りたい、しかし完全には座りたくない、と述べている。セラはこの中間の姿勢のために設計された。足を床につけたまま身体を支えられ、必要に応じて向きを変えられる。支柱の高さは調整できる。

ピンクの支柱

支柱の鮮やかなピンクは、イタリアの自転車ロードレース「ジロ・デ・イタリア」の総合首位に与えられるマリア・ローザにちなむとされる。座面が自転車の部品であることを、色の側からも示している。

エピソード

セラが最初に公開されたのは、1957年にコモのヴィッラ・オルモで開かれた展覧会「今日の住まいにおける色と形(Colori e forme nella casa d'oggi)」である。メッツァドロもこの展覧会で発表された。

製造を引き受ける企業はすぐには現れなかった。ザノッタが生産を始めたのは26年後の1983年である。以後40年以上にわたって生産が続いている。

評価と影響

既製の工業部品を別の用途へ置き換える手法を示した作例として参照される。同じ考え方はトイオメッツァドロにも共通する。1997年にニューヨーク近代美術館で開かれたカスティリオーニの回顧展「Achille Castiglioni: Design!」にも出品された。

美術館コレクション

メトロポリタン美術館は、革・銅・塗装木・ポリエチレン・スチールによる1957年のセラを収蔵番号2016.645.1で「Sella Stool, Model 20」として登録している(2016年、デイヴィッド・タイガー・トラストからの寄贈)。

基本情報

名称 セラ / Sella
デザイナー アキッレ・カスティリオーニ、ピエル・ジャコモ・カスティリオーニ
ブランド ザノッタ(Zanotta)
発表年 1957年設計/1983年 生産開始
デザインの成立国 イタリア
分類 スツール
主要素材 座面:競技用自転車のサドル(レザー)/支柱:スチール(ピンク塗装)/ベース:鋳鉄
サイズ 直径33cm × 高さ71〜90cm(高さ調整可)
構造 半球状ベースが一点で接地。使用者の足とあわせて三点で支える
収蔵 メトロポリタン美術館(2016.645.1)

Reference