概要

マスターズチェアは、フィリップ・スタルクとウジェニ・キトレが2010年にカルテルのために設計した椅子である。20世紀の椅子3脚の輪郭を重ね合わせ、背もたれとして構成した。ポリプロピレン一体成形による。

特徴・コンセプト

三つの輪郭を重ねる

背もたれは、アルネ・ヤコブセンのセブンチェア 3107、エーロ・サーリネンのチューリップチェア、チャールズ&レイ・イームズのイームズ プラスチック サイドチェア DSWという三脚の側面の輪郭を線として抽出し、絡み合わせて構成される。形そのものを模すのではなく、外形の線だけを取り出して重ねている。

線が交差した結果、背もたれには隙間が生まれる。面で塞がれた背もたれと違って視線が抜けるため、複数脚を並べても圧迫感が出にくい。装飾として穴を開けたのではなく、三本の線を重ねた結果として空隙が残る。

一体で成形する

背もたれから肘掛け、座面までが継ぎ目なくつながる。線が複雑に交差する形は、部材を接合してつくると接合部が増えるが、樹脂の一体成形なら型さえ作れば一度で成形できる。脚は細く、屋外でも使える。積み重ねに対応する。

エピソード

スタルクとキトレの協働は2001年に始まった。カルテルは1949年の創業以来、樹脂による家具を手がけており、スタルクとの仕事も長く続いている。

評価と影響

2010年にシカゴ・アテナイオン建築デザイン美術館のグッドデザイン賞、2013年にレッドドット・デザイン賞を受けている。既存の設計を引用して新しい形をつくるという手法をとる点で、同じカルテルのルールーゴーストとも重なる。住宅のほか飲食店や事務所でも用いられる。

基本情報

名称 マスターズチェア / Masters Chair
デザイナー フィリップ・スタルク(Philippe Starck)、ウジェニ・キトレ(Eugeni Quitllet)
ブランド カルテル(Kartell)
発表年 2010年
デザインの成立国 イタリア
分類 チェア/アームチェア
主要素材 改質ポリプロピレン(一体成形)
構造 三脚の側面の輪郭を線として重ね、背もたれを構成
機能 スタッキング可、屋内外使用可
受賞 2010年 グッドデザイン賞(シカゴ・アテナイオン)/2013年 レッドドット・デザイン賞

Reference