Kartell - カルテル
Kartell(カルテル)は、1949年にイタリア・ロンバルディア州で、化学エンジニアのジュリオ・カステッリによって設立された家具・インテリアブランドです。プラスチックを用いた家具の先駆者として知られ、成形技術とデザインを組み合わせた製品を数多く生み出してきました。
フィリップ・スタルク、吉岡徳仁、パトリシア・ウルキオラ、アントニオ・チッテリオなど、各国のデザイナーとの協働を通じて、機能性とデザイン性を備えた製品を展開しています。透明なポリカーボネートを用いた「ルイゴースト」や、モジュール式収納の先駆けとなった「コンポニビリ」など、半世紀以上にわたって生産が続く製品も少なくありません。
ブランドの歴史
カルテルの歩みは、1949年、化学エンジニアのジュリオ・カステッリがイタリア・ロンバルディア州に会社を設立したことに始まります。当初は自動車部品や家庭用品、照明パーツなどの製造を手がけ、プラスチック成形技術の研究開発に注力していました。この時期に培われた技術が、後の家具づくりの基盤となりました。
創業者の妻であるアンナ・カステッリ・フェリエーリは、ミラノ工科大学で建築の学位を得たイタリア初の女性であり、1987年までカルテルのアートディレクターを務めました。1967年に発表された彼女の代表作「コンポニビリ」は、ABS樹脂の射出成形による初期のモジュール式収納家具で、現在もカルテルのベストセラーのひとつとして生産が続いています。
1960年代から1970年代にかけて、カルテルはプラスチック製の椅子を発表し、家具業界に大きな影響を与えました。この時期には、ジョエ・コロンボやマルコ・ザヌーソ、ヴィコ・マジストレッティといったデザイナーとの協働も進みました。
1988年、クラウディオ・ルーティが経営を引き継ぐと、カルテルは新たな技術開発を進めます。1999年には、フィリップ・スタルクとの協働により、ポリカーボネートを用いた透明な椅子「ラ・マリー」を発表しました。ガラスのように透明でありながら、強靭で軽量なこの素材の採用は、その後の透明家具シリーズの起点となります。2002年に発表された「ルイゴースト」は、この流れを受け継いだ製品として世界的に広く知られるようになりました。
創業から70年以上を経た現在も、カルテルは素材開発を続けています。リサイクル素材やバイオプラスチックの活用を進め、「Kartell loves the planet」というマニフェストのもと、サステナビリティとデザインの両立に取り組んでいます。
ブランドの特徴とコンセプト
カルテルの特徴は、プラスチックという素材の可能性を、家具・照明・日用品の分野で追求してきた点にあります。射出成形やポリカーボネートの一体成形といった技術を用いて、ほかの素材では難しい造形を実現してきました。
製品はイタリア国内で生産され、デザイン性と耐久性の両立を重視しています。近年は環境への配慮を強め、リサイクルされたポリプロピレンやABS、PMMA、認証木材、農業廃棄物由来のバイオ素材、紙やセルロースの廃棄物を原料としたポリカーボネートなどの活用を進めています。世界的なデザイナーとの継続的な協働も、ブランドの軸となっています。
代表的なデザイナー
フィリップ・スタルク(Philippe Starck)
1949年パリ生まれの、現代を代表するデザイナーのひとりです。建築・インテリア・プロダクトの各分野で幅広く活動しています。カルテルとの協働は1999年の「ラ・マリー」に始まり、2002年には代表作「ルイゴースト」が生まれました。18世紀フランスのルイ15世様式の椅子を、透明なポリカーボネートの一体成形で再解釈したデザインです。また「マスターズ」チェアは、アルネ・ヤコブセンの「セブンチェア」、エーロ・サーリネンの「チューリップアームチェア」、チャールズ・イームズの「エッフェルチェア」という3脚の名作のシルエットを組み合わせた作品です。日用品はすべての人が使えるものであるべきだ、というスタルクの考え方は、カルテルとの仕事にも通じています。
アンナ・カステッリ・フェリエーリ(Anna Castelli Ferrieri)
1918年ミラノ生まれ。ミラノ工科大学で建築の学位を得たイタリア初の女性であり、創業者ジュリオ・カステッリの妻として、カルテル最初期のデザイナーを務めました。1967年に発表した「コンポニビリ」は、当時の新素材ABS樹脂に着目し、同じ規格のパーツを組み合わせて使うモジュール式収納家具として設計されました。発売から半世紀以上を経た現在もベストセラーとして生産が続いています。コンパッソ・ドーロ賞を複数回受賞し、コンポニビリはニューヨーク近代美術館やパリのポンピドゥー・センターの永久コレクションに収蔵されています。
吉岡徳仁(Tokujin Yoshioka)
1967年佐賀県生まれのデザイナー。桑沢デザイン研究所を卒業後、倉俣史朗、三宅一生のもとでデザインを学び、2000年に自身の事務所を設立しました。デザイン・建築・現代美術の領域を横断する作品で知られます。カルテルとは長年にわたり協働しており、代表作「アミアミ」チェアは、日本語の「編む」に由来し、織物を思わせる編み込み模様をポリカーボネートの一体成形で実現したものです。2019年には椅子「SMATRIK(スマトリック)」を発表しています。
パトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiola)
スペイン出身の建築家・デザイナー。家具・照明・テキスタイルなど幅広い分野で活動しています。カルテルとの協働では、有機的なフォルムと色彩を生かした家具を手がけ、ブランドの製造技術と組み合わせた繊細なディテールが特徴です。
その他のデザイナー
- アントニオ・チッテリオ(Antonio Citterio) ― イタリアの建築家・デザイナー。多機能ワゴン「バティスタ」などを手がけています。
- ピエロ・リッソーニ(Piero Lissoni) ― ミニマルな作風で知られるイタリアのデザイナー・建築家。
- マルセル・ワンダース(Marcel Wanders) ― オランダのデザイナー。装飾的なアプローチを得意とします。
- ロン・アラッド(Ron Arad) ― イスラエル出身の建築家・デザイナー。彫刻的なフォルムを特徴とします。
- ヴィコ・マジストレッティ(Vico Magistretti) ― イタリアモダンデザインを代表するデザイナー。
- 佐藤オオキ(Oki Sato / nendo) ― 日本のデザイナー。簡潔で発想に富んだ作品を手がけています。
代表作品とその魅力
ルイゴースト(Louis Ghost)― 2002年
フィリップ・スタルクがデザインした、カルテルを代表する椅子です。18世紀フランスのルイ15世様式の椅子を、透明なポリカーボネートの一体成形で再解釈しています。全身が透明なため空間に溶け込みやすく、限られた広さの部屋でも圧迫感が出にくい点が特徴です。屋内外で使え、スタッキングも可能です。発売以来、派生モデルとして「ヴィクトリアゴースト」「チャールズゴースト」などのファミリーが生まれ、現在は環境に配慮したポリカーボネート2.0(セルロースと紙を原料とした素材)を用いたバージョンも展開されています。
コンポニビリ(Componibili)― 1967年
アンナ・カステッリ・フェリエーリがデザインした、カルテルを象徴するモジュール式収納家具です。同じ規格のパーツをネジを使わずに積み重ねて組み合わせられ、段数や色を変えて多様な構成をつくれます。円柱型のフォルムは、リビング、寝室、キッチン、バスルームなど場所を選ばず使えます。2段・3段のラウンドタイプに加えスクエアタイプもあり、カラーや仕上げのバリエーションも豊富です。ニューヨーク近代美術館やパリのポンピドゥー・センターの永久コレクションに収蔵されています。
マスターズ(Masters)― 2010年
フィリップ・スタルクが、デザイン史に残る3脚の名作チェアへのオマージュとしてデザインした椅子です。アルネ・ヤコブセンの「セブンチェア」、エーロ・サーリネンの「チューリップアームチェア」、チャールズ・イームズの「エッフェルチェア」のシルエットを組み合わせ、3本のラインがカーブを描いて交差する背もたれを形づくっています。スタッキングも可能で、カラーバリエーションも豊富です。
ラ・マリー(La Marie)― 1999年
フィリップ・スタルクとカルテルによる、最初のポリカーボネート製の透明チェアです。洗練された造形と新しい素材使いで注目を集め、後の「ルイゴースト」をはじめとする透明家具シリーズの起点となりました。
その他の代表作品
- バティスタ(Battista) ― アントニオ・チッテリオによる多機能ワゴン。拡張可能な折りたたみ式テーブルとしても使えます。
- ブルジー(Bourgie) ― フェルッチョ・ラヴィアーニによる照明。バロック様式のシルエットを現代的に解釈したテーブルランプです。
- プリンスアハ(Prince AHA) ― フィリップ・スタルクによる砂時計型のスツール。ポップで多彩なカラーが特徴です。
受賞歴と評価
カルテルとその製品は、デザイン分野で国際的に評価されています。アンナ・カステッリ・フェリエーリはコンパッソ・ドーロ賞を複数回受賞し、コンポニビリやルイゴーストをはじめとする製品は、ニューヨーク近代美術館やパリのポンピドゥー・センターなどの美術館に収蔵されています。
基本情報
| ブランド名 | Kartell(カルテル) |
|---|---|
| 設立年 | 1949年 |
| 創業者 | ジュリオ・カステッリ(Giulio Castelli) |
| 本社所在地 | イタリア・ロンバルディア州 |
| 製品カテゴリー | 家具(チェア、テーブル、収納)、照明、リビンググッズ、テーブルウェア |
| 主な素材 | ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリプロピレン、PMMA、リサイクルプラスチック、バイオプラスチック |
| 生産国 | イタリア(イタリア国内生産) |
| 日本総代理店 | トーヨーキッチンスタイル |
| 公式サイト | https://www.kartell.com |
| 日本公式サイト | https://kartell.co.jp |