Kartell(カルテル)

Kartellは、イタリア・ミラノ近郊のノヴィリオに本社と工場を置く家具メーカーである。1949年、化学技術者のGiulio Castelliが妻で建築家のAnna Castelli Ferrieriとともにミラノで設立した。当初は自動車用の付属品や実験器具を樹脂で作る事業から始まり、1960年代に家庭用品と家具へ範囲を広げた。樹脂の射出成形を家具の量産に用いた企業として知られ、1999年にはポリカーボネートによる家具の製品化に踏み出している。1988年よりCastelliの娘婿にあたるClaudio Lutiが経営を担う。

事業と製造の実体

本社と工場は1967年以来ノヴィリオにある。建物はAnna Castelli FerrieriとIgnazio Gardellaの設計によるもので、同じ敷地に1999年開設のKartell Museoが置かれている。

製造の中核は樹脂の射出成形である。創業者が化学技術者であったことから、事業は素材の側から組み立てられた。金型に溶かした樹脂を圧入して一体で成形する方法は、部材の接合を要さず、量産の単価を下げる。この条件が製品の形を規定し、脚と座を継ぎ目なく連続させる構成や、透明な部材を用いる構成が可能になった。

素材は用途によって使い分けられる。ABS樹脂は1967年のコンポニビリに、ポリプロピレンは屋外用や積み重ねを前提とする製品に、ポリカーボネートは透明な椅子に用いられる。1999年、同社はポリカーボネートを家具の量産に用いた最初の企業となった。厚みの変化する大きな部品を透明なまま一体で成形するには、金型の設計と冷却の制御が条件になる。

近年は素材の置き換えが進められている。再生ポリプロピレン、再生ABS、再生PMMA、認証木材、農業廃棄物由来のバイオ素材、紙やセルロースの廃棄物を原料とするポリカーボネートなどが用いられる。薄い単板を型で曲げて仕上げる木材の製品群も加えられた。

沿革

樹脂加工業としての創業

1949年、化学技術者のGiulio Castelliがミラノでkartellを設立した。当初の製品は自動車用のスキーラックなどの付属品と、割れやすいガラスを樹脂に置き換えた実験器具である。この時期に蓄積された成形技術が、後の家具製造の基盤になった。

Castelliの妻Anna Castelli Ferrieriは、ミラノ工科大学で建築の学位を得た人物で、1987年まで同社のアートディレクターを務めた。1967年に発表されたコンポニビリは、ABS樹脂の射出成形による収納で、同じ規格の部材を積み重ねて使う構成を採る。

1960年代から1970年代にかけて、Kartellは樹脂製の椅子を相次いで製品化した。Joe Colombo、Marco Zanuso、Vico Magistrettiらとの協働がこの時期にあたり、Magistrettiによるウニヴェルサーレ チェア 4867もこの系列に属する。

Claudio Lutiによる経営

1988年、Giulio およびAnna Castelliの娘婿にあたるClaudio Lutiが同社を取得した。Lutiはそれまで衣料品のVersaceで経営に携わっていた人物で、以後Philippe Starck、Ron Arad、Antonio Citterio、Ferruccio Laviani、Piero Lissoni、Patricia Urquiola、Alberto Medaらとの協働を進めた。

1999年、Philippe Starckとの協働により、ポリカーボネートを用いた透明な椅子La Marieが発表された。透明でありながら強度を持つこの素材の採用は、以後の透明な家具の系列につながる。2002年のルイゴーストはこの流れに属する製品にあたる。同じ1999年、創業50年に合わせてKartell Museoが開設された。翌2000年には企業博物館に対する表彰を受けている。

現在はClaudio Lutiが、子のLorenzaおよびFedericoとともに経営に関わる。

デザイナーとの協働

Kartellの製品開発は、外部の設計者と自社の成形技術の往復によって進む。金型を製品ごとに起こす必要があるため、設計案の検討では成形の可否と単価が早い段階から条件になる。同社が扱える形状の範囲が広がるたびに、それまで実現できなかった造形が製品として現れる構造にある。

20世紀の協働相手にはAnna Castelli Ferrieri、Joe Colombo、Marco Zanuso、Vico Magistrettiが挙げられる。1988年以降はPhilippe Starck、Ron Arad、Ferruccio Laviani、Antonio Citterio、Piero Lissoni、Patricia Urquiola、Marcel Wanders、吉岡徳仁、佐藤オオキらとの協働が続く。

主な製品群

樹脂の椅子が製品の基幹をなす。Philippe Starckの設計では、18世紀フランスの椅子の輪郭をポリカーボネートの一体成形で置き換えたルイゴーストと、寸法を小さくしたルールーゴースト、20世紀の椅子の輪郭を重ねたマスターズチェアミスター・インポッシブルがある。Vico Magistrettiのウニヴェルサーレ チェア 4867は1960年代の樹脂椅子にあたる。

収納では、ABS樹脂の円筒を積み重ねるコンポニビリがある。Ron Aradのブックワームは、押出し成形した帯を曲げて壁面に取り付ける書棚である。

このほか照明と生活雑貨を扱い、近年は木材を用いた製品群も加えられている。

基本情報

ブランド名 Kartell(カルテル)
設立 1949年
創業者 Giulio Castelli
創業地 イタリア・ミラノ
本社・生産拠点 イタリア・ノヴィリオ(ミラノ県、1967年〜)
企業形態 非上場。1988年よりClaudio Lutiが経営
事業内容 家具・照明・生活用品の設計、製造および販売
公式サイト https://www.kartell.com

Reference