概要
ブックワームは、1993年のミラノ家具見本市で発表され、翌1994年からイタリアの家具メーカー、カルテル社によって量産が始まったウォールシェルフである。デザインしたのは、イスラエルに生まれロンドンを拠点とするロン・アラッド。当初はスプリング鋼による一点物として構想されたが、カルテル社との協働でPVC製の量産品として生まれ変わり、アラッドの代表作の一つとなった。
帯状の部材を壁面に固定して用いる。固定する位置によって曲線の形が変わるため、設置ごとに異なる形になる。
特徴・コンセプト
素材と製造技術
出発点はスプリング鋼による一点物だった。鋼は撓むが重く、長尺では取り付けの負担が大きい。押出成形のPVCに替えることで、同じ撓みを保ったまま重量が下がる。
難燃性のPVCを用いる。各ブックエンドは約10kgの荷重を支える。まっすぐな帯は荷重で撓むが、曲げた状態で固定すれば材に張力がかかり、断面の向きが場所ごとに変わる。この張力が形を保つ。
ユーザー参加型デザイン
壁面への固定位置によって、螺旋状や波形など異なる形をつくれる。棚板が固定された本棚では設置後に形が変わらないが、帯を留める位置を選べば壁の寸法に合わせられる。
ブックエンドの位置も同時に決まるため、収納する本の高さに応じて間隔を調整できる。
エピソード
製品名は読書家を指す語であると同時に、蛇行する形状にも対応する。
評価と影響
支柱の間隔だけを共通にするCSS コンプリヘンシブ・ストレージ・システムや、棚板そのものが構造を担うコンパイル シェルビングに対し、ブックワームは一本の帯で棚板と側板の役割を兼ねる。段の区切りは、留める位置で決まる。
1993年の発表以来、30年以上にわたり生産が続いている。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館)。
- V&A ブックワーム(1993年) 収蔵番号 W.2-1996
ロン・アラッドの設計思想や経歴について詳しくはロン・アラッドプロフィールページをご覧ください。
カルテルの歴史や他の製品について詳しくはカルテルブランドページをご覧ください。
基本情報
| デザイナー | ロン・アラッド(Ron Arad) |
|---|---|
| メーカー | カルテル(Kartell) |
| デザイン年 | 1993年(ミラノ家具見本市発表) |
| 製造開始 | 1994年 |
| 素材 | 難燃性PVC(ポリ塩化ビニル) |
| 製造技術 | 押出成形 |
| サイズ展開 | 3種(ブックエンド7個:長さ320cm/11個:長さ520cm/17個:長さ820cm。奥行20cm・高さ19cm共通) |
| 耐荷重 | 各ブックエンド約10kg |
| 生産国 | イタリア |
| コレクション | ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(ロンドン、収蔵番号W.2-1996) |