Componibili(コンポニビリ)は、1967年にアンナ・カステッリ・フェリエーリがKartell(カルテル)のためにデザインしたモジュラー収納システムである。同年のミラノ・サローネで初公開され、当時はまだ家庭用家具の素材として一般的ではなかったプラスチックを用いた点で注目を集めた。Componibiliという名称は、イタリア語で「組み合わせられる」を意味する語に由来し、段を自由に積み重ねて構成を変えられる製品の性格を表している。

ABS樹脂の射出成形による一体成形で、ネジや接着剤を使わずに各モジュールを積み重ねられる構造を備える。発売から半世紀以上を経た現在も生産が続いており、円筒形のミニマルなフォルムは、20世紀イタリアのプラスチック家具を代表する収納として広く知られている。

デザインの特徴

Componibiliのデザインは、削ぎ落とされた円筒形のフォルムに集約されている。扉を開閉するための取手は本体に開けられた円形の穴が兼ねており、余計な突起のないミニマルな外観を生んでいる。この円形の穴は機能と視覚的なアクセントを兼ね、幾何学的なまとまりを与えている。

スライド式の扉は舌状の溝構造によって滑らかに開閉する。各モジュールは垂直方向に積み重ねることで相互に嵌合し、工具を使わずに安定した収納を構成できる。オプションのキャスターを装着すれば可動式としても使用でき、置き場所や用途の変化に合わせて構成を変えられる。

素材と構成

ABS樹脂と製造技術

Componibiliの製造には、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)という熱可塑性プラスチックが用いられている。耐衝撃性と加工性に優れたこの素材は、複雑な形状の一体成形に適しており、扉のスライド機構や円形の取手穴を含めた全体を射出成形で製造できる。Kartellはプラスチック成形技術において早くから経験を積んでおり、Componibiliはその技術を背景に生み出された。

モジュラー構造

各ユニットは独立した収納モジュールとして機能し、2段、3段、4段と積み重ねて使うことができる。上下のモジュールは舌状溝構造によって嵌合するため、接着剤やネジなどの固定具を必要としない。生活空間や収納する物の変化に応じて、段数や配置を変えられる点が大きな特徴である。

サイズとカラーの展開

当初は直径32cmの円形モデルとして発表され、その後、より大型の直径42cmのモデルや正方形のバージョンが加えられた。カラーは光沢仕上げの白、黒、赤などの定番色に加え、シルバーや銅色、記念色として追加されたボルドー、オリーブグリーン、ペトロリアムブルーなど、時期に応じて多彩な色が用意されてきた。2019年には、農業副産物の発酵により得られる再生可能な素材を使ったComponibili Bioが加わり、オリジナルの形態を保ちながら環境負荷を抑えたバージョンが登場している。

評価と収蔵

Componibiliは、1972年にニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催された「Italy: The New Domestic Landscape」展に出品され、戦後イタリアデザインを代表する作品のひとつとして国際的に紹介された。プラスチックは安価で一時的な素材という当時の一般的な認識に対し、Componibiliは耐久性と美的価値を備えた家庭用家具としてのプラスチックの可能性を示した。

パリのポンピドゥー・センター(国立近代美術館)は、Componibili(Caisson Componibili KS 4970, 1967年)をコレクションに収蔵している。発売から50年以上にわたって生産が続き、世界各国の住宅で使われ続けていることも、その評価を裏づけている。

基本情報

製品名 Componibili(コンポニビリ)
デザイナー アンナ・カステッリ・フェリエーリ(Anna Castelli Ferrieri、1918-2006)
ブランド Kartell(カルテル)
発表年 1967年(ミラノ・サローネにて初公開)
素材 ABS樹脂(熱可塑性プラスチック)、光沢仕上げまたはマット仕上げ
※Componibili Bio:再生可能な生分解性素材(2019年~)
サイズ 円形標準モデル:直径32cm / 円形ビッグモデル:直径42cm / 正方形モデル:38×38cm
高さ:2段 約40cm、3段 約58cm
構造 モジュラー式(2段・3段ほか)、舌状溝による嵌合構造、スライド式扉、オプションでキャスター装着可能
製造技術 射出成形による一体成形
カラー展開 ホワイト、ブラック、レッド、シルバー、銅色ほか、限定色多数
主要収蔵先 ポンピドゥー・センター(パリ、国立近代美術館)
歴史的展覧会 「Italy: The New Domestic Landscape」展(1972年、ニューヨーク近代美術館)に出品
生産状況 1967年より現在まで継続生産中