概要

KAMUY(カムイ)アームチェアは、深澤直人がカンディハウスのために設計したダイニング用の肘掛け椅子である。2015年10月10日に発売された。両社にとって最初の共同開発にあたる。座面には無垢材を削り出した木座と、布や革を張った座張の2タイプがあり、樹種は北海道産ナラとウォルナットから選ぶ。名称はアイヌ語で神を指す語による。発表時はKAMUYの名で発売され、現在の公式表記はKAMUY LUXとなっている。生産は現在も続いている。

特徴・コンセプト

この椅子の形は、縁を立てることと面をなめらかにすることを同時に成り立たせている。背、アーム、座の縁はぎりぎりまで立てられ、その稜線が輪郭を引き締める。一方で手の触れる面はすべて連続した曲面で、角として残るのは縁だけである。カンディハウスは、この仕上がりを先進の加工機による切削と、専用の定規を当てながら削っていく職人の手作業の組み合わせで得ていると説明している。

試作で決めた座と背の関係

座の幅と奥行き、そして背と座面がなす角度は、試作を重ねて決められた。深澤は発表時に、椅子を長く使ってもらうには座り心地が重要だとしたうえで、この椅子には自身のこれまでの経験が反映されていると述べている。

座面の高さは木座が420mm、座張が435mm。これに座面を20mm上げたHタイプが併せて用意され、さらに脚は10mm刻みで40mmまで切り詰められる。組み合わせる天板の高さと使う人の体格に合わせて、椅子の側で高さを詰められるようにするためである。

薄い木背を支える技術

背板は幅が広く、それでいて薄い。この薄さで背中を受け止めるために、カンディハウスは木を無駄なく使いながら強度を高める成型技術と、接合部の処理を組み合わせている。

幅の広い背板には板目の木目や節がそのまま現れる。北海道産ナラを選んだ場合、この面積が木の表情を見せる場所になる。

木座と座張

木座は無垢材を接ぎ合わせ、3次元の曲面として削り出す。継ぎ目のない一枚の面に体を預ける座り方になり、日々の手入れは拭き取るだけで済む。

座張は座面に張り地を張ったもので、ファブリックとから選べる。骨格は同じで、掃除のしやすさを取るか、色と手触りの選択肢を取るかで分かれる。

脚と貫の寸法

脚は下へ向かってなだらかに外へ広がる。複数脚を並べたときの見え方を考えた形で、同社はこれが軽快な印象につながるとしている。前脚と後脚をつなぐは、太さを前後でわずかに変えてある。同社は、こうした細かい調整の積み重ねによって、特別な形には見えないのに美しい椅子を目指したと説明している。

エピソード

KAMUYは、カンディハウスが深澤直人と初めて組んで開発したシリーズである。同社は海外市場を視野に入れたシリーズとして位置づけ、2015年10月10日にダイニングのテーブルと椅子を発売した。

発売に先立ち、東京・西新宿のカンディハウス東京で開かれたプレスプレビューには、ダイニングアームチェア5脚とダイニングテーブル2台が並べられた。深澤はこの場で、特徴を言葉で説明しにくいデザインだと前置きしたうえで「きれいな椅子」ができたと述べている。制作については、自分は気負わずに進めたが、カンディハウスの技術者は相当苦労したと聞いた、とも語った。樹種についてはウォルナットに加えて北海道産のナラを使ったことに触れ、空間に置いたときのナラの見え方を評価している。

同年10月30日、TOKYO DESIGN WEEKの会期中にカンディハウス東京でリビングモデルが追加発表され、イージーチェア、スツール、サイドテーブルがコレクションに加わった。翌2016年1月のケルン国際家具見本市では、カンディハウスは11号館の自社ブースにKAMUYを出品し、初日に深澤のトークショーを開いている。

KAMUYはアイヌ語で神を指す。2017年に発表された第二弾のYUKARはアイヌ語で叙事詩を意味し、同社は二つを合わせて北海道の神々が語る物語を表すとしている。深澤との協業はその後もKOTAN(2019年)へ続いた。

評価と影響

カンディハウスは2017年の発表資料で、KAMUYのダイニングが発売から1年で自社のダイニングチェアーの売上上位5位に入ったとしている。

納入例としては、2025年の大阪・関西万博で飯田グループホールディングスと大阪公立大学が共同出展したパビリオン「ウエルネス・スマートハウス」の貴賓室に、座張のアームチェアが置かれた。同じパビリオンのリビングにはKAMUYの丸テーブルも納められている。

基本情報

名称 KAMUY LUX ダイニング アームチェアー / KAMUY LUX Dining Armchair
デザイナー 深澤 直人(Naoto Fukasawa)
ブランド カンディハウス(Conde House)
発表年 2015年
デザインの成立国 日本
分類 ダイニングチェア(アームチェア)
主要素材 北海道ナラまたはウォルナットの無垢材、ファブリックまたは革(座張タイプ)
サイズ(木座) 幅585 × 奥行530 × 高さ770mm、座面高420mm、肘高640mm
サイズ(座張) 幅585 × 奥行535 × 高さ770mm、座面高435mm、肘高640mm
Hタイプ 座面高を20mm上げた仕様を併売(高さ790mm、肘高660mm)
重量 木座 7.0kg/座張 6.0kg
発表時の名称 KAMUY(カムイ)
バリエーション 木座(Wooden Seat)/座張(Upholstered Seat)

Reference

KAMUY LUX ダイニング アームチェアー(座張) | カンディハウス
https://condehouse.co.jp/products/kamularm
KAMUY LUX ダイニング アームチェアー(木座) | カンディハウス
https://condehouse.co.jp/products/kamulawc
KAMUY LUX リビング | カンディハウス
https://condehouse.co.jp/collections/kamuy_lux_l
深澤直人デザインの「KAMUY」コレクションがデビュー|CONDE HOUSE | OPENERS
https://openers.jp/ja/design/design_interior/1329574
今年も出展します!「ケルン国際家具見本市2016」 | カンディハウス
http://www.condehouse.co.jp/news/condehouse-news/2016cologne/
深澤直人 × カンディハウス 第二弾「YUKAR」を、IFFTで発表します。 | カンディハウス
https://www.condehouse.co.jp/news/condehouse-news/ifft2017/
大阪・関西万博(EXPO 2025)にカンディハウスの家具が採用されました | カンディハウス
https://condehouse.co.jp/blogs/news/expo2025