デルフィーノは、エルベルト・カルボーニが1954年にアルフレックスのために設計したアームチェアである。名称はイタリア語で「イルカ」を意味する。ヒレを思わせる肘掛けと、途切れずに続く曲面を特徴とし、1950年代のイタリアで展開したオーガニックデザインの一例として扱われる。
特徴とコンセプト
連続する面としての椅子
座面から背もたれ、背もたれから肘掛けへと、面が段差なく連なる。肘掛けは先端に向かって薄くなり、外側へ跳ね上がる。この輪郭が魚類のヒレを想起させることから、名称が決まった。
張り家具を「途切れのない一つの形」として扱う考え方は、自然の造形から出発しながら、それを直接まねることは避けるという1950年代のオーガニックデザインの姿勢に沿っている。アルフレックス自身は、この製品を動物に着想を得たデザインの最初の例として位置づけている。
構造と仕上げ
構造体は金属で、座面と背もたれのばね機構には弾性ベルトが用いられる。詰め物は成形ポリウレタンフォームで、背もたれと肘掛けにも同じ素材が使われる。脚は黒ラッカー塗装が標準で、ゴールド仕上げも選べる。接地部には黒いナイロンのグライドが付く。
座面高は41cmと低く、背もたれは大きく寝ている。同じ意匠のプフが用意され、脚を伸ばした姿勢で使える。
成立の経緯
広告デザイナーによる椅子
カルボーニは建築の課程を修めたのち、グラフィックと広告の分野で活動した。家具の設計は彼の仕事のなかでは例外的にあたる。
展示会場や見本市のパビリオン設計も多く手がけており、立体の造形にも通じていた。家具の設計は彼の仕事のなかでは例外的だが、輪郭を一筆で描き切るような造形は、ポスターや商標を扱ってきた経験と無縁ではない。
1950年代のアルフレックス
デルフィーノが発表された1954年は、アルフレックスが協働するデザイナーを急速に増やしていた時期にあたる。同年にはジャンカルロ・デ・カルロのルカニア、B.B.P.R.のネプチューニアも発表されている。素材が同じでも設計者によって形が大きく変わることが、この時期の同社の製品群には現れている。
評価
デルフィーノは発表から現在までアルフレックスのカタログに残っている。同時期の フィオレンツァ が木の構造を見せる方向をとったのに対し、こちらは構造を完全に張り地の内側へ収め、輪郭そのものを主題にした。1950年代の同社が単一の造形言語に縛られていなかったことを示す製品である。
エルベルト・カルボーニの設計思想や経歴について詳しくはエルベルト・カルボーニプロフィールページをご覧ください。
アルフレックスの歴史や他の製品について詳しくはアルフレックスブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | デルフィーノ(Delfino) |
|---|---|
| デザイナー | エルベルト・カルボーニ(Erberto Carboni) |
| 発表年 | 1954年 |
| ブランド | アルフレックス |
| デザイン発祥地 | イタリア |
| サイズ | 幅71cm × 奥行89cm × 高さ89cm |
| 座面高 | 41cm |
| 構造 | 金属 |
| 詰め物 | 成形ポリウレタンフォーム |
| ばね機構 | 弾性ベルト |
| 脚 | 黒ラッカー塗装(ゴールド仕上げも選択可)、黒ナイロングライド |
| 名称の由来 | イタリア語で「イルカ」 |
| 関連製品 | 同意匠のプフ |