粉末状の樹脂を金型に入れ、回転させながら加熱して内壁に溶着させ、冷却して中空の成形品を得る成形法。継ぎ目のない大型の部品を安価な金型でつくれる。
回転成形
回転成形とは、粉末状の樹脂を金型に入れ、金型を回転させながら加熱して内壁に樹脂を溶着させ、冷却して中空の成形品を取り出す加工方法のこと。英語では rotational molding と表記し、ロトモールディングとも呼ぶ。
解説
樹脂のペレットを直径0.5ミリ程度に微粉砕した粉末を、必要量だけ金型に投入して型を締める。バーナーの直火や熱風のオーブンで型を加熱しながら回転させると、粉末が溶けて内壁に付着していく。加熱に要する時間は型の材質や形状、投入量によって数分から数時間まで幅がある。付着が終われば回転させたまま冷却し、樹脂が軟化する温度を下回ったところで型を開いて取り出す。回転のさせ方には、一軸の回転に揺動を組み合わせる方式と、二軸で惑星のように動かす方式があり、後者は凹凸の多い非対称の形に向く。
この工程でなければ得られない結果は、継ぎ目のない中空の一体成形品である。樹脂に圧力をかけず、型の内部は大気圧のまま成形するため、突き出しピンのような機構を型に組み込む必要がない。アンダーカットや起伏の多い形状もそのまま抜ける。粉末が滞留する角や稜線は肉が厚くなり、荷重の集まる部分が結果として厚く仕上がる。圧力をかけないぶん残留応力が小さく、耐衝撃性の面でも有利になる。成形の途中で別の原料を追加すれば、外面と内面で色の異なる二層構造もつくれる。
制約もはっきりしている。1サイクルに要する時間が長く、大量生産には向かない。最小の肉厚は3ミリ程度で、薄く軽い部品はつくれない。角を直角に立てると粉末が回りきらずに穴が開くため、隅には大きな丸みを取る必要がある。ポリエチレンの成形収縮率は3パーセント前後あり、射出成形ほどの寸法精度は望めない。精度が要る箇所は、取り出したあとに治具で矯正するか二次加工で仕上げる。
家具でこの製法が選ばれる理由は、型の安さにある。回転成形の型は2.3ミリ程度の鋼板を溶接した板金型やアルミの鋳造型でよく、高い内圧に耐える必要がないため、射出成形の金型に比べて格段に安く、短期間でつくれて後から改造もできる。数百脚単位の生産でも採算が合うため、大量生産を前提にしない椅子やテーブルの製法として使われてきた。日本では大型タンクや遊具が主な用途だが、欧米では家具や玩具にも広く用いられている。ショータイム アームチェアは、同じ型から成形した殻を屋外用と屋内用に振り分けた例で、型をつくり直さずに仕上げの工程だけで二つの製品系統を成り立たせている。
Reference
- 回転成形ハンドブック(スイコー株式会社)
- https://www.e-suiko.co.jp/handbook/
- 回転成形法とは?(株式会社クボタ)
- https://www.kubota-tank.co.jp/product/rotation/