ジュリアンは、スペインを代表するデザイナー、ハビエル・マリスカルが2005年にイタリアの家具メーカー、マジス社の子供向けコレクション「Me Too」のために手掛けたチェアである。本作品は、マリスカルの息子であるジュリアンの名を冠し、その愛らしい姿を想起させる有機的なフォルムが特徴的である。回転成形ポリエチレンによる一体成形で製作され、子供たちの遊び心を刺激しながらも、安全性と機能性を兼ね備えた逸品として、世界中で愛されている。
特徴・コンセプト
ジュリアンチェアの最大の特徴は、子供の純粋な想像力を引き出すことを意図した、抽象的かつ愛嬌のあるフォルムにある。四本の脚で立つ有機的なシルエットは、動物にも見え、また別の見方をすればロボットのようにも映る。この曖昧性こそがマリスカルの意図するところであり、子供たちが自由に解釈し、自らの物語を紡ぎ出すことを促している。
素材には回転成形ポリエチレンが採用されており、軽量ながら堅牢な構造を実現している。継ぎ目のない滑らかな表面は、子供が触れても安全であり、また清掃も容易である。屋内外を問わず使用可能であり、紫外線による劣化にも耐性を持つ。スタッキングにも対応しており、収納性にも優れている。
カラーバリエーションは、マリスカルらしい鮮やかな色彩で展開されており、オレンジ、グリーン、ホワイトなど、子供部屋や庭に彩りを添える選択肢が用意されている。
エピソード
ハビエル・マリスカルは、1992年バルセロナオリンピックの公式マスコット「コビー」の生みの親として世界的に知られるスペインの鬼才である。その作風は、イラストレーション、グラフィックデザイン、インテリアデザイン、彫刻と多岐にわたり、常に遊び心と詩的な感性を融合させてきた。
ジュリアンチェアは、マリスカル自身の息子への愛情から生まれた作品である。息子ジュリアンの無邪気な姿と、彼が描く落書きや空想の世界からインスピレーションを受け、子供の目線に立った純粋な造形を追求した。マリスカルは「子供にとって椅子は単なる座るための道具ではない。それは友人であり、冒険の相棒であるべきだ」と語っている。
マジス社との協業は、同社が2004年に立ち上げた子供向けライン「Me Too」の一環として実現した。マジスは、著名なデザイナーたちと協働し、子供のための真のデザインを追求するという理念のもと、ジュリアンをはじめとする数々の名作を世に送り出してきた。
評価
ジュリアンチェアは、発表以来、子供用家具の分野において高い評価を獲得してきた。その彫刻的なフォルムは、単なる子供家具の域を超え、大人の鑑賞にも堪えるアートピースとしても認識されている。世界各地の美術館やデザインミュージアムのコレクションにも収蔵されており、21世紀のキッズファニチャーを代表する作品として位置づけられている。
デザイン評論家たちは、マリスカルがジュリアンにおいて達成した「機能と詩情の融合」を高く評価している。子供の安全性という実用的要件を満たしながらも、想像力を刺激する造形美を両立させた点は、キッズデザインの新たな地平を切り拓いたとされる。
受賞歴
ジュリアンチェアは、その革新的なデザインにより複数のデザインアワードにノミネートされ、国際的なデザインコンペティションにおいて評価を受けている。マジス「Me Too」コレクション全体としても、子供用家具に真摯なデザインを持ち込んだ功績が認められ、業界から高い支持を得ている。
基本情報
| 名称 | ジュリアン / Julian |
|---|---|
| デザイナー | ハビエル・マリスカル / Javier Mariscal |
| メーカー | マジス Me Too / Magis Me Too |
| 発表年 | 2005年 |
| 素材 | 回転成形ポリエチレン |
| 用途 | 子供用チェア(屋内外兼用) |
| 特性 | スタッキング可能、UV耐性 |
| 生産国 | イタリア |