概要
シーズンは、ピエロ・リッソーニがヴィッカルベのために設計した張り地の家具群である。2011年のベンチを起点に、プーフ、チェア、ソファが順に加わった。角に丸みをつけた塊と、その面に立てかけたように見える垂直な板を組み合わせるという骨格を全点が共有し、内部の構法と張り地の選択肢も共通している。屋外用の仕様も後に加えられ、現在も生産が続いている。
共通する設計原理
二つの立体の組み合わせ
各製品は、座る面をつくる塊と、背を受ける垂直な板という二つの立体に還元されている。板は塊の上に載るのではなく、面に接して立つ。この関係を保ったまま塊の幅と板の長さを変えることで、一人掛けから複数人が並ぶ長さまでを同じ骨格で展開している。
プーフだけは板を持たず、塊だけで成立する。足を載せる台や補助の座席という役割からは背を受ける面が不要になるためで、コレクションのなかでこの点だけが例外にあたる。
内部構造と表面の分担
内部は無垢材で組んだ枠に穴を開けた板材を渡し、その上に密度の異なる発泡ポリウレタンフォームを重ねる。板材は低ホルムアルデヒドのもの、木部はPEFC認証を受けた森林由来の材が用いられる。造形が異なる製品どうしでも同じ工程で中身をつくれるため、寸法や形の違いは表面の張り方の違いに移し替えられている。
脚や金物を露出させないため、外形の輪郭は張り地の張り方だけで決まる。ファブリックとレザーの選択肢は全点で共通しており、同じ空間にチェアとプーフとソファを混ぜても仕上げをそろえられる。
床に接する側の扱い
床まで布で下りる家具では、靴が触れる下端が座面より先に汚れ、擦り切れる。シーズンでは各製品にこの高さへ耐久性の高いテクニカルファブリックの帯を巻く仕様が用意され、傷みを一箇所に集める設計になっている。
移動については、チェアとプーフが台座の内側にキャスターを収める仕様を持つ。プーフはさらに張り地に持ち手を組み込み、持ち上げて運べる。ベンチとプーフには電源を内部に通す選択肢があり、長くとどまる場所での使用を想定している。
成立と展開の経緯
起点は2011年のベンチである。ヴィッカルベはこの製品を、ラウンジのようにくつろげる場所を提供するという自社の方針を形にしたものと位置づけている。据え置きの大きな塊として設計され、二つの高さを与えることで座り方を選ばせる考え方がここで示された。
2014年には、座る塊だけを取り出して寸法を絞ったプーフが加わった。据え置きの家具に、動かせる小さな単位が足されたことになる。2015年には一人掛けのチェアが加わり、それまでラウンジ用の低い座を中心としていたコレクションが、テーブルに向かって座る高さまで広がった。このチェアは翌2016年にレッド・ドット・デザイン賞のプロダクトデザイン部門を受けている。
2017年のソファは、それまで一体でつくられていた長い座面をモジュールに分けた。直線と二種類の弧を組み合わせることで、置く場所の形に応じて列の長さと曲がり方を決められる。その後、ベンチ、チェア、ソファ、プーフのそれぞれに屋外用の仕様が用意された。
メンバー一覧
| 発表年 | 区分 | 製品名 | シリーズ内での位置づけ |
|---|---|---|---|
| 2011年 | ベンチ | シーズン ベンチ | コレクションの起点。丸みを帯びた塊で座る場所をつくるという方法は、この製品で定まった。 |
| 2014年 | プーフ | シーズン プーフ | 背を受ける板を持たない例外的なメンバー。持ち運べる単位として、据え置きの製品を補う。 |
| 2015年 | チェア | シーズン | 骨格をテーブルに向かう高さに置き換えた一人掛け。受賞歴を持つのはこの製品のみ。 |
| 2017年 | ソファ | シーズン ソファ | 長い座面をモジュールに分割し、並べ方で平面の形を決められるようにした。 |
評価と影響
一連の製品は、オフィスの共用部、ホテル、空港ターミナル、医療施設、教育施設といった、不特定多数が短時間とどまる場所での導入例が多い。ヴィッカルベはこれらの施設での使用例を公開している。骨格を保ったまま用途ごとに寸法と可動性を変える進め方は、発表から十年以上にわたって同じ枠組みのまま製品が追加されてきたことに表れている。
受賞
- レッド・ドット・デザイン賞 プロダクトデザイン部門 2016年 — 対象はシーズンチェア(出品:ヴィッカルベ/設計:リッソーニ・アソチアーティ)
ピエロ・リッソーニの設計思想や経歴について詳しくはピエロ・リッソーニプロフィールページをご覧ください。
ヴィッカルベの歴史や他の製品について詳しくはヴィッカルベブランドページをご覧ください。
基本情報
| デザイナー | ピエロ・リッソーニ(Piero Lissoni) |
|---|---|
| ブランド | ヴィッカルベ(Viccarbe) |
| 共通構造 | 丸みを帯びた塊と、その面に接して立つ垂直な板(プーフを除く) |
| 共通素材 | 無垢材の枠と穿孔した板材、密度の異なる発泡ポリウレタン、ファブリックまたはレザー |
| 共通仕様 | 脚と金物を露出させない外形、足元のテクニカルファブリック帯 |
| 可動の仕様 | 隠しキャスター(チェア・プーフ)、持ち手(プーフ) |
| 屋外仕様 | ベンチ・チェア・ソファ・プーフに用意 |
| 生産 | 2011年以降、継続 |
Reference
- Season bench | Viccarbe(起点となった製品・発表年)
- https://www.viccarbe.com/benches/season-bench/
- Season Pouf | Viccarbe(発表年・寸法展開)
- https://www.viccarbe.com/benches/season-pouf/
- Season | Viccarbe(チェアの発表年)
- https://www.viccarbe.com/chairs/season-chair/
- Season | Viccarbe(ソファの発表年・モジュール構成)
- https://www.viccarbe.com/sofas/season-sofa/
- Season Chair | Red Dot Design Award(受賞記録)
- https://www.red-dot.org/de/project/season-chair-33561
- Season Sofa, a Game of Geometry | Archiproducts(コレクションの変遷)
- https://www.archiproducts.com/en/news/season-sofa-a-game-of-geometry_73172
このシリーズの製品
シーズン ベンチ Season Bench
2011年に発表されたベンチで、シーズンと名づけられた一連の製品の出発点にあたる。床から360mmの低い面と600mmの高い面を組み合わせ、受付や待合で人が短時間とどまるときの姿勢に幅を持たせている。
シーズン プーフ Season Pouf
2014年に発表された背もたれのないスツール。足を載せる台にも一人分の座席にもなり、一辺400mmから900mmまでの寸法が用意されている。張り地に縫い込んだ持ち手と台座内部のキャスターにより、位置を変えて使うことを前提としている。
シーズン Season
2015年にヴィッカルベが発表した椅子。角に丸みをつけた立方体の座部と、そこに立てかけたように見える矩形の背もたれという二つの塊だけで構成される。脚も金物も外に出さず、台座の内側に収めたキャスターで位置を変えられる。
シーズン ソファ Season Sofa
2017年に発表されたモジュール式のソファ。直線と二種類の弧という三つのモジュールを並べ替えることで、まっすぐな列にも輪にも組める。壁に沿わせず広い床の中央に置く使い方を想定している。