ピエロ・リッソーニ:現代イタリアデザインを代表する建築家・デザイナー

ピエロ・リッソーニ(Piero Lissoni、1956年7月23日 - )は、建築、インテリア、プロダクト、グラフィックの全領域で活躍する、現代イタリアを代表するデザイナーである。ミニマリズムと詩的な感性を融合させたデザイン言語は、世界の高級ホテルから日常の家具まで幅広い分野に影響を与えている。2024年6月には、イタリアデザイン界で最高峰の栄誉とされるコンパッソ・ドーロ・キャリアアワードを受賞し、長年の貢献が評価された。

バイオグラフィー:ミラノから世界へ

初期の経歴と教育

1956年7月23日、イタリア北部、ミラノ近郊のセレーニョ(ブリアンツァ地方)に生まれる。ミラノ工科大学建築学科で学び、1985年に卒業した。在学中からデザインの仕事に携わり、建築の厳格な訓練を受けながらも、その関心は家具、照明、グラフィックへと広がっていった。

スタジオの設立と発展

1986年、ニコレッタ・カネージ(Nicoletta Canesi)とともに、ミラノに「スタジオ・リッソーニ・アソシエイティ(Studio Lissoni Associati)」を設立。この時期にBoffiのキッチンおよびバスルームのデザインを手がけ、デザイナーとしての地位を確立していった。スタジオは建築、インテリア、プロダクトを統合的に扱い、トータルデザインを志向した。

1996年には、ブランドアイデンティティやカタログ、広告を専門とするグラフィックデザインスタジオ「Graph.x(グラフ・エックス)」を設立。弟のマッシモ・リッソーニが率いるこのスタジオは、2007年から2016年までヴェネツィア国際映画祭のビジュアルコーディネーションを担当するなど、高い評価を得た。2013年には国際的な建築プロジェクトの増加に対応して「リッソーニ・アーキテッチュラ(Lissoni Architettura)」へ社名を変更し、2015年にはニューヨークに「リッソーニ社(Lissoni Inc.)」を設立した。現在、ミラノとニューヨークに拠点を置く「リッソーニ&パートナーズ(Lissoni & Partners)」は、70名を超える建築家・デザイナーを擁する国際的なデザインファームへと成長している。

現在の活動

リッソーニは、Alpi、B&B Italia、Boffi、Living Divani、Lema、Lualdi、Porro、Sanlorenzoの8社のアートディレクターを務めながら、Alessi、Cassina、Kartell、Knoll、Flos、Fritz Hansenなど世界を代表する多数のブランドのためにプロダクトをデザインしている。また、イタリア国立21世紀美術館(MAXXI)の理事、ミラノ工科大学の客員教授、アルタガンマ国際評議会の名誉会長を務めるなど、デザイン界のリーダーとして教育や文化振興にも携わっている。

デザインの思想とアプローチ:モダニズムの継承と革新

デザイン哲学の核心

リッソーニのデザイン哲学の中核にあるのは、「特定の機能や目的のためだけにではなく、人間のためにデザインする」という信念である。この人間中心のアプローチは彼のすべての作品に通底し、機能性を超えた詩的・感情的な次元をもたらしている。「椅子は座るためのものだが、同時に時代やエロティシズム、本質、人間の感情、夢をも表現する」と彼は語る。コンパッソ・ドーロの審査員は、モダニズムに基づく一貫性と方法論、安心感と抑制された眼差しを高揚させる詩情と結びつける力、そして異なる分野を探求し統合することで創造的行為の統一性を体現した点を評価した。

影響と全体論的アプローチ

リッソーニのデザインは、アルネ・ヤコブセンやポール・ケアホルムら20世紀北欧モダニズムの巨匠から深い影響を受けている。彼らの厳格な幾何学、素材への誠実さ、機能美の追求は、リッソーニの作品にも明確に表れている。ただし彼は単なる模倣者ではなく、北欧の禁欲的なミニマリズムにイタリア的な温かみと洗練を注ぎ込み、独自の言語を確立した。

もう一つの特筆すべき特徴が、建築、インテリア、家具、照明、グラフィックを統合的に扱う全体論的(holistic)なアプローチである。彼のスタジオは個別の製品をデザインするだけでなく、空間全体のアイデンティティを創造する。ショールーム、ホテル、ヨット、企業本社など、多くのプロジェクトは、建築の外観から内部空間、家具、照明、グラフィックまでを一貫したビジョンで統合したトータルデザインであり、細部への配慮とプロポーション、ハーモニーへの注意によって特徴づけられる。

作品の特徴:ミニマルな形態に宿る詩情

形態言語:シンプルさの中の複雑さ

リッソーニの作品は、一見すると極めてシンプルで抑制された形態を持つ。しかしその背後には、綿密に計算されたプロポーション、微妙な曲線、精緻なディテールがある。彼のデザインは「視覚的に軽い」構造を特徴とし、どのような空間にも溶け込みながら静かな存在感を放つ。空間関係とプロポーションを巧みに調整し、視覚的な軽やかさを保ちながら十分な快適性と機能性を備える点に、その本質がある。

素材・色彩・テクスチャー

リッソーニは素材に対して誠実であり、木材、金属、ガラス、レザー、ファブリックなど、それぞれの本質的な特性を尊重しながら、無理な加工や過度な装飾を避けてその可能性を引き出す。色彩でも抑制と洗練を重視し、白・グレー・ベージュ・黒といったニュートラルトーンを基調に、ときおりアクセントカラーを戦略的に配する。滑らかな面と粗い質感、光沢と艶消しといったテクスチャーの対比によって、視覚的な豊かさと触覚的な興味を生み出している。

時代を超える普遍性

リッソーニのデザインは流行を追わない。一時的なトレンドではなく普遍的な美の原則に基づいているため、数十年を経ても新鮮さを失わない。1990年代から2000年代にかけてCassinaのためにデザインした「Mex」「Met」のソファシステムは、今日でも現代的であり続け、世界中のインテリアで愛用されている。

主な代表作:革新と優雅さ

Extrasoft(Living Divani)

Living Divaniとの長年の協働から生まれた「Extrasoft」は、その名のとおり極めて柔らかく心地よい座り心地のソファシステムである。低い背もたれ、深い座面、豊富なクッションが、リラックスした現代的なライフスタイルに寄り添う。継続的にモジュールが追加され、進化し続けているコレクションで、2017年にはベッドバージョンが「Wallpaper* Design Awards」の「Best Sleepover」部門を受賞した。Living Divaniを象徴するリッソーニの代表作の一つである。

Frog(Living Divani、1995年)

1995年にLiving Divaniのためにデザインされた「Frog(フロッグ)」は、リッソーニの初期を代表するアイコン的な座具である。広く、ゆったりとした、軽やかなフォルムは、最もおとぎ話的な生き物への愛情あるオマージュとされる。発表以来、さまざまなバージョンが生み出されて時とともにその姿を更新し続けており、トリエンナーレ・イタリアデザイン美術館の常設コレクションにも収蔵されている。屋内外を問わず使える汎用性も魅力である。

Rod Bean(Living Divani、2017年)

2017年にLiving Divaniのために発表された「Rod Bean」は、細身の金属フレームに、ふっくらとした有機的なクッションを組み合わせたソファ/アームチェアである。「Rod」コレクションの軽快な構造に、豆(bean)のような丸みを帯びた座面を載せることで、ミニマルな骨格とやわらかな表情を両立させている。視覚的な軽さと快適な座り心地を兼ね備えた、リッソーニらしい一脚である。

Extra Wall(Living Divani)

「Extra Wall」は、Living Divaniのためにリッソーニがデザインしたモジュール式のソファ/デイベッド・システムである。低くのびやかなプロポーションと、自由に組み替えられる構成により、リビングから休息の空間まで柔軟に対応する。ベッドとしても使える多用途性を備え、ミニマルでありながらくつろぎを誘う、彼の空間思想をよく表した作品である。

Modern(Porro)

リッソーニがアートディレクターを務めるPorroのためにデザインした収納システムである。簡潔で端正なラインと、モジュールの組み合わせによる高い自由度を特徴とし、ワードローブやキャビネットとして空間に静かに溶け込む。素材とプロポーションへの細やかな配慮により、機能的な収納家具を洗練されたインテリア要素へと高めている。

Mexソファ / Metソファ(Cassina)

Cassinaのためにデザインした「Mex」「Met」のソファシステムは、リッソーニの代表作の一つである。モジュール式の構成により、住宅からホテルのロビーまで幅広い空間に対応する。とりわけ「Mex Cube」は、ダウン充填のクッション、取り外し可能なカバー、スチールフレームによって、快適性とメンテナンス性を両立させている。

Avioソファコレクション(Knoll、2016年)

2016年にKnollのためにデザインした「Avio」は、視覚的に軽い構造を持ちながら、空間関係とプロポーションを巧みに調整したソファコレクションである。薄いアルミニウムフレームと、繊細なステッチを施したレザーまたはファブリックの組み合わせが、エレガンスと快適性を両立させている。

Fritz Hansenのためのコレクション(PL200 / Alphabet)

デンマークの名門ブランドFritz Hansenとの協働も、リッソーニの北欧デザインへの敬意を示している。2006年の「Lissoni(PL200)」シリーズは、クリーンなラインと人間工学的な快適性を兼ね備えた椅子とテーブルのコレクションであり、2008年の「Alphabet」は、文字を組み合わせるように多様な構成が可能なモジュール式ソファシステムである。いずれも北欧の伝統にイタリア的な洗練を注いだ作品である。

Piumaチェア(Kartell、2018年)

プラスチック家具ブランドKartellのためにデザインした「Piuma(羽)」チェアは、その名のとおり羽のように軽量でありながら、優れた強度を持つダイニングチェアである。超薄型のデザインで素材革新に挑み、積み重ね可能で多目的に使える。現代的な製造技術と美学の融合を示す作品として、レッドドット・デザイン賞も受賞している。

照明:Claraウォールランプ(Flos)

照明ブランドFlosのためにデザインした「Clara」ウォールランプは、ミニマルなフォルムと柔らかな光の拡散によって、空間に静謐さと温かみをもたらす。雰囲気のある照明を生み出すリッソーニの手腕をよく示す、現代的なインテリア照明である。

建築とインテリアデザイン:空間の詩学

リッソーニの建築およびインテリアデザインのプロジェクトは、世界中に広がっており、ホテル、レストラン、企業本社、個人住宅、ヨットなど多岐にわたる。これらのプロジェクトは、彼のプロダクトデザインと同じ美学—ミニマルな優雅さ、細部への配慮、素材の誠実な使用—によって特徴づけられている。

主要建築プロジェクト

Shangri-La Shougang Park, Beijing(2021年)
2022年北京冬季オリンピックのために実現したこのホテルプロジェクトは、歴史的な製鉄所をラグジュアリーホテルへと変容させた画期的な取り組みである。2022年AHEAD Global Awardsで「Hotel Conversion」および「Lobby and Public Spaces」部門を受賞した。
The Ritz-Carlton Residences, Miami Beach(2020年)
マイアミビーチの高級レジデンスプロジェクト。海辺のロケーションを最大限に活かした、開放的で洗練されたインテリアデザインを実現。
Grand Park Hotel, Rovinj, Croatia(2019年)
クロアチアの美しい海岸都市ロヴィニに位置するこのホテルは、地中海の伝統とモダンデザインを融合させた傑作である。
Camparino Bar, Galleria Vittorio Emanuele II, Milan(2019年)
ミラノの象徴的なガレリアにある歴史的なバー「カンパリーノ」のリスタイリング。歴史的価値を尊重しながら現代的な感性を注入した。
The Middle House, Shanghai(2018年)
香港のスワイアホテルズグループのために上海にデザインしたブティックホテル。東洋と西洋の美学を繊細に融合させ、静謐で洗練された空間を創出した。
The Oberoi Al Zorah Beach Resort, Ajman, UAE(2017年)
アラブ首長国連邦アジュマーンのビーチリゾート。砂漠の風景と調和する、ミニマルでエレガントなデザイン。
Oceana Bal Harbour, Miami(2017年)
240戸のコンドミニアム。マイアミの光と海を最大限に取り込んだ、開放的な空間デザイン。
Casa Fantini, Lake Orta, Italy(2017年)
イタリア北部オルタ湖畔のブティックホテル。湖の静謐な美しさと調和する、詩的な空間を実現。
Conservatorium Hotel, Amsterdam(2012年)
アムステルダムの歴史的な音楽院を高級ホテルへと変容させたプロジェクト。2014年にPrix Villégiatureで「ヨーロッパ最優秀ホテルインテリア」を受賞。
Teatro Nazionale, Milan(2009年)
オランダの多国籍企業Stage Entertainmentのために、ミラノの歴史的な国立劇場を改修。

ヨットデザイン

リッソーニは高級ヨットのインテリアデザインでも高い評価を得ている。Sanlorenzo造船所のためにデザインした一連のヨット—SX112(2020年)、SX88(2017年)、SX76(2018年)—は、海上における洗練された生活空間を提供する。特にSP110オープンクーペヨットは、2024年のコンパッソ・ドーロでプロダクト賞を受賞し、リッソーニ自身のキャリアアワード受賞と同じ夜に二重の栄誉を得た。

企業本社とショールーム

リッソーニは、自身がアートディレクターを務めるブランドをはじめ、多くの企業本社とショールームをデザインしている。Living Divaniのアンツァーノ・デル・パルコ本社(2007年)、ミラノ近郊のGlas本社(2010年)とMatteograssi本社(2011年)、ミラノのLa Rinascente Group本社(2006年)、イスタンブールの8階建てBenettonストア(2009年)などがある。これらのプロジェクトは、企業のアイデンティティを空間として具現化する、リッソーニの全体論的アプローチの成果である。

功績と業績:デザイン界のリーダーとして

受賞歴

  • 2024年:コンパッソ・ドーロ・キャリアアワード(Compasso d'Oro alla Carriera) - イタリアデザイン界最高峰の栄誉。30年以上にわたるキャリアで、建築、ランドスケープ、インテリア、プロダクト、グラフィックデザインの異なる分野を統合し、創造的行為の統一性を体現したことが評価された。
  • 2024年:コンパッソ・ドーロ プロダクト賞 - SanlorenzoのSP110ヨット(インテリアデザイン)に対して。キャリアアワードと同じ夜に受賞という二重の栄誉。
  • 2023年:AHEAD Europe Outstanding Contribution賞 - ヨーロッパのホスピタリティデザインへの卓越した貢献に対して。
  • 2022年:AHEAD Global Awards「Hotel Conversion」「Lobby and Public Spaces」部門 - Shangri-La Shougang Park, Beijingに対して。
  • 2017年:Wallpaper* Design Awards「Best Sleepover」部門 - Living DivaniのExtrasoftベッドに対して。
  • 2016年:Prix Villégiature「中東最優秀ホテル」 - Mamilla Hotel, Jerusalemに対して。
  • 2016年:「NYC Aquarium & Public Waterfront」コンペティション優勝 - Arch Out Loud主催、ニューヨーク。
  • 2014年:コンパッソ・ドーロ(XXIII Compasso d'Oro) - LualdiのL16ドアシステムに対して。
  • 2014年:Prix Villégiature「ヨーロッパ最優秀ホテルインテリア」 - Conservatorium Hotel, Amsterdamに対して。
  • 2005年:Hall of Fame - I.D. Magazine International Design Award(アメリカ)。
  • グッドデザイン賞(Good Design Award)- 複数回受賞。
  • レッドドット・デザイン賞(Red Dot Design Award)- 複数回受賞。

アートディレクター職

リッソーニは8社のアートディレクターを同時に務めるという、デザイン界でも類を見ない地位を確立している。これらの企業のために、彼は製品デザインだけでなく、ブランドアイデンティティ、ショールーム、カタログ、展示会ブースなど、あらゆる視覚的要素をディレクションしている。

  • Alpi - 木材パネルメーカー
  • B&B Italia - イタリアを代表する高級家具ブランド
  • Boffi - キッチンおよびバスルームシステムの名門ブランド。1980年代半ばからの長年のパートナーシップ。
  • Living Divani - コンテンポラリー家具ブランド
  • Lema - システム家具ブランド
  • Lualdi - ドアおよび室内建具メーカー
  • Porro - 家具システムブランド
  • Sanlorenzo - 高級ヨット造船所

教育と文化活動

  • イタリア国立21世紀美術館(MAXXI)理事
  • ミラノ工科大学客員教授およびアドバイザリーボードメンバー
  • アルタガンマ国際評議会名誉会長
  • バガッティ・ヴァルセッキ美術館(ミラノ)の支援者。2015年より展覧会の空間デザインをキュレーション。
  • フォンダツィオーネ・パラッツォ・テの支援メンバー。2018年から展覧会のデザイン、グラフィック、カタログを手がける。

展覧会キュレーション

リッソーニは芸術への関心から、複数の一時的展覧会のデザインも手がけている。写真家ジョヴァンニ・ガステルの回顧展(ミラノ、パラッツォ・デッラ・ラジョーネ、ジェルマーノ・チェラント監修)、ルネサンス画家「ベルナルディーノ・ルイーニとその息子たち」展(ミラノ、パラッツォ・レアーレ)、「ティツィアーノ/ゲルハルト・リヒター:地上の天国」展(2018年、パラッツォ・テ)、「ジュリオ・ロマーノ:芸術と欲望」展(2018年)などがある。

評価と後世への影響:現代デザインの指針

デザイン界における位置づけ

ピエロ・リッソーニは、現代デザインを代表する一人として広く認識されている。彼のキャリアは、20世紀後半から21世紀にかけてのイタリアデザインの進化を体現しており、モダニズムの原則を継承しながら現代的な文脈で再解釈し、発展させてきた。その影響は優れた製品や建築にとどまらず、異なる分野を統合する全体論的アプローチや、ブランドアイデンティティの包括的なディレクションといったデザインプロセスのあり方にまで及び、多くの若いデザイナーの模範となっている。

イタリアンデザインの継承者

リッソーニは、ジオ・ポンティ、アッキーレ・カスティリオーニ、ヴィーコ・マジストレッティといった20世紀イタリアデザインの巨匠たちの系譜に連なる存在である。機能と美の融合、職人技術への敬意、革新への開放性というイタリアンデザインの伝統を継承しつつ、グローバル化した現代社会へ適応させてきた。2024年のコンパッソ・ドーロ・キャリアアワードは、その貢献を公式に認めるものであった。この賞の過去の受賞者には、ジオ・ポンティ、アッキーレ・カスティリオーニ、マリオ・ベリーニ、安藤忠雄らが名を連ねており、リッソーニもその系譜に加わった。北欧の厳格さとイタリアの優雅さを融合させた彼独自のスタイルは、国境を越えてグローバルなデザイン言語として受け入れられ、上海、アムステルダム、北京、マイアミなどに手がけたホテルは、現代的なホスピタリティデザインの新たな基準を示している。

持続可能性と未来への展望

近年、リッソーニのデザインは持続可能性の観点からも評価されている。流行に左右される短命な製品とは対照的に、時代を超える普遍的なデザインは長く使われ愛され続ける。彼の作品の多くは修理やカバー交換が可能な設計であり、製品寿命の延長にも寄与している。人間のためのデザイン、形態と機能のバランス、異なる分野の統合、細部への配慮、時代を超える美という彼の哲学は、21世紀のデザインにとって重要な指針であり続けている。2024年の受賞スピーチで「私にはまだやるべきことがある」と語ったように、彼は今もなお新しいプロジェクトに取り組み、デザインの可能性を探求し続けている。

作品一覧

以下は、ピエロ・リッソーニの主要作品を可能な限り網羅的にまとめたリストである。彼の40年近いキャリアにおいて、無数のプロジェクトを手がけているため、ここでは特に重要な作品および製造されている製品を中心に掲載している。

年代 区分 作品名 ブランド
1980年代後半 キッチン・バスルーム 初期キッチンシステム Boffi
1990年代 ソファ Twin Sofa Living Divani
1995年 ソファ Balestro Sofa Living Divani
2000年代初期 ソファ Met Sofa Cassina
2000年代初期 ソファ Mex Sofa / Mex Cube Cassina
2000年代 ソファ Extrasoft Sofa System Living Divani
2000年代 ソファ Wall Sofa Living Divani
2000年代 ソファ Box Sofa Living Divani
2000年代 ソファ Bubble Rock Sofa Living Divani
2005年 ヨット Ghost (27m sailing yacht interior) Studio Brenta Yacht Design
2006年 チェア・テーブル Lissoni Series (PL200) Fritz Hansen
2007年 アームチェア Ile Club Living Divani
2007年 建築 Living Divani Headquarters Anzano del Parco, Italy
2007年 ヨット Tribù (50m motor yacht) Mondo Marine / Luciano Benetton
2008年 ソファ Alphabet Sofa System Fritz Hansen
2009年 建築 Teatro Nazionale renovation Milan, Italy
2010年 建築 Glas Headquarters Near Milan, Italy
2011年 建築 Matteograssi Headquarters Near Milan, Italy
2012年 建築 Conservatorium Hotel Amsterdam, Netherlands
2016年 ソファ Avio Sofa Collection Knoll
2016年 ソファ Landscape De Padova
2017年 ソファ Otto and Cube Cassina
2017年 ソファ・アームチェア Rod Bean Living Divani
2017年 ソファ SAKé B&B Italia
2017年 アームチェア Cassis Bonacina1889
2017年 テーブル Margherita De Padova
2017年 テーブル Mosaïque De Padova
2017年 建築 Casa Fantini Hotel Lake Orta, Italy
2017年 建築 Oceana Bal Harbour Miami, USA
2017年 建築 The Oberoi Al Zorah Beach Resort Ajman, UAE
2017年 ヨット SX88 Sanlorenzo
2018年 ソファ Eda-Mame B&B Italia
2018年 チェア Betty Kartell
2018年 チェア Piuma Chair Kartell
2018年 コーヒーテーブル Thierry Coffee Tables Kartell
2018年 建築 The Middle House Shanghai, China
2018年 建築 One Paraiso / Grand Paraiso Miami, USA
2018年 ヨット SX76 Sanlorenzo
2019年 ソファ Dock B&B Italia
2019年 アームチェア Frank Club Porro
2019年 シェルビング Gould Knoll
2019年 コレクション The Uncollected Collection Living Divani
2019年 建築 Grand Park Hotel Rovinj, Croatia
2019年 建築 Camparino Bar restyling Galleria Vittorio Emanuele II, Milan
2020年 チェア Matic Knoll
2020年 アクセサリー Curl Salvatori
2020年 建築 The Ritz-Carlton Residences Miami Beach, USA
2020年 ヨット SX112 Sanlorenzo
2021年 チェア KN Collection Knoll
2021年 建築 Shangri-La Shougang Park Beijing, China
2022年 ソファ Pochette B&B Italia
2022年 コレクション Ohe Collection Fendi Casa
2022年 ソファ Panoramic Sofa Collection Knoll
2022年 テーブル Tête-a-tête Glas Italia
2022年 ソファ Oolong Living Divani
2022年 ソファ Extrasoft (expanded) Living Divani
2022年 コレクション Borea Collection B&B Italia
2022年 アウトドア Lissoni Outdoor Collection Knoll
2022年 テーブル Alberese De Padova
2022年 コレクション Taiko Fendi Casa
2022年 コレクション Sumo Collection Living Divani
2022年 コレクション Clan Collection Living Divani
2022年 アウトドア Levante Collection Roda
2022年 コレクション Nooch Collection B&B Italia
2024年 キッチン Novanta Kitchen Boffi (90周年記念)
年代不詳 照明 Clara Wall Lamp Flos
年代不詳 照明 Tight Light Flos
年代不詳 照明 Mini Button Flos
年代不詳 照明 To-Tie Lamp Flos
年代不詳 シェルビング Web Shelving Porro
年代不詳 テーブル Beam Table Porro
年代不詳 キッチン用品 Y3.3 Espresso Machine KnIndustrie
年代不詳 キッチン用品 Illy Milk Frother Alessi
年代不詳 キッチン用品 Stainless Steel Pots and Pans Set Alessi
年代不詳 バス用品 Multiple bathroom systems Boffi
年代不詳 ドア L16 Door System Lualdi (2014年コンパッソ・ドーロ受賞)

※この一覧は主要な製品および建築プロジェクトを掲載しており、リッソーニの全作品を網羅するものではありません。特にBoffi、Living Divani、Porro、B&B Italiaなど、アートディレクターを務めるブランドのためには、無数の製品、ショールーム、カタログ、展示会ブースをデザインしています。

Reference

Piero Lissoni - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Piero_Lissoni
Piero Lissoni | STUDIO | Knoll Japan(ノルジャパン)
https://www.knolljapan.com/knoll-studio/by-designer/contemporary-designers/piero-lissoni/
Piero Lissoni ピエロ・リッソーニ - B&B Italia
https://bebitalia.co.jp/designer/piero-lissoni/
PIERO LISSONI(ピエロ・リッソーニ) | カッシーナ・イクスシー
https://www.cassina-ixc.jp/shop/r/r221011/
ピエロ・リッソーニ - Fritz Hansen
https://www.fritzhansen.com/ja/inspiration/designers/piero-lissoni
Piero Lissoni: Italian Contemporary Furniture Designer - Aram
https://www.aram.co.uk/designers/piero-lissoni
Piero Lissoni | twentytwentyone
https://www.twentytwentyone.com/collections/designers-piero-lissoni
Lissoni & Partners | Timeline
https://www.lissoniandpartners.com/en/timeline/design/sofas-armchairs
Piero Lissoni, holistic approach | Biography | Cassina
https://www.cassina.com/gb/en/contemporanei/piero-lissoni.html
Piero Lissoni, Tadao Ando, and Paola Antonelli among winners of 2024 Compasso d'Oro Awards
https://www.archpaper.com/2024/07/winners-2024-compasso-doro-awards/
Compasso d'Oro, Italian Design Oscar Winners - WWD
https://wwd.com/home-design/architecture/rei-kawakubo-architect-piero-lissoni-awarded-at-design-oscars-1236457736/
Piero Lissoni Awarded Prestigious Compasso d'Oro - Interior Design
https://interiordesign.net/designwire/piero-lissoni-awarded-compasso-doro/
XXVIII Compasso d'Oro Adi: here are the winners - Interni Magazine
https://www.internimagazine.com/design/compasso-doro-2024/
ピエロ・リッソーニ: モダンデザインにおけるミニマリズムを習得する
https://shopdecor.com/ja/collections/designer-piero-lissoni