フロッグチェア:低く広く構える新しいくつろぎのかたち
フロッグチェアは、イタリアの建築家・デザイナーであるピエロ・リッソーニが1995年にLiving Divaniのためにデザインしたラウンジチェアである。その名が示すように、飛び跳ねる前の蛙を思わせるプロポーション——地面近くまで低く構え、広く張り出した脚部で寛大な座面を支える造形は、「低く、広く」という新しい着座のあり方を切り開いた。くつろぎを室内にとどまらないインフォーマルな感覚へと広げた点で、現代の家具デザインに一つの方向性を示した一脚である。
リッソーニ自身、このチェアを「広くて低い、蛙のような奇妙な造形」と振り返り、当初は一種の賭けのようなプロジェクトだったと語っている。従来のラウンジチェアからすれば低すぎ、広すぎると映ったバランスの崩れこそが、結果として長く支持される個性となった。
ミニマリズムと快適性の両立
フロッグチェアの特徴は、簡潔な造形と座り心地の両立にある。管状スチールのフレームは、クロームメッキのほか、ホワイト・ブラック・アルミニウムのエポキシ塗装から選べる。座面と背もたれは、革紐・コットン・PVCストラップを編み込んだ透過性のある仕様と、ポリウレタンフォームを芯にした革張りまたはファブリック張りのパッド入り仕様が用意され、屋内外の用途や好みに応じて選択できる。
幅80×奥行90×高さ72センチメートルという寸法は、一般的なラウンジチェアと比べて明らかに低く広い。座る者を地面に近づける大胆なプロポーションと、わずかに後傾した背もたれが、自然に力の抜けた姿勢へと導く。深く沈み込むこの姿勢が、日常の中の新しいくつろぎとして受け入れられてきた。
豊富なバリエーションと30周年
フロッグチェアは、1人掛けのアームチェアを中心に、3人掛け、シェーズロング、オットマン、そして屋外仕様まで展開する。編み込みの有無や仕上げの組み合わせによって、住宅から屋外空間まで幅広く対応できる汎用性を備えている。
誕生から30年を迎えた2025年、Living Divaniはミラノデザインウィークにあわせて「A LEAP ACROSS 30 YEARS OF DESIGN」と題した企画を展開した。あわせて発表された「スーパーフロッグ(Super Frog)」は、フレームをアルミニウム製とし断面を太らせることで、オリジナルの個性をより大胆な造形へと再解釈したモデルである。ジョヴァンナ・ゾボリによるテキストとオランダのイラストレーター、レオニー・ボスによる挿画で構成された記念カタログも制作され、このチェアがたどってきた変遷が語られた。
基本情報
| デザイナー | ピエロ・リッソーニ(Piero Lissoni) |
|---|---|
| ブランド | Living Divani(リビングディバーニ) |
| デザイン年 | 1995年 |
| 分類 | ラウンジチェア |
| 寸法 | 幅80×奥行90×高さ72cm(座面高 約36cm) |
| 素材 | 管状スチールフレーム(クロームメッキまたはエポキシ塗装)、革紐・コットン・PVCストラップの編み込み、または革・ファブリック張りのパッド入り |
| 生産国 | イタリア |
| バリエーション | 1人掛け、3人掛け、シェーズロング、オットマン、屋外仕様 |