Living Divani(リビングディバーニ)
Living Divani(リビングディバーニ)は、1969年にイタリア・ロンバルディア州ブリアンツァ地方で創業した、 世界有数の高級アップホルスタリー(布張り家具)ブランドである。 創業者ルイージ・ベステッティとレナータ・ポッツォーリ夫妻の先見性に満ちたビジョンのもと、 半世紀以上にわたり「完璧なプロポーション」と「控えめなラグジュアリー」を追求し続けてきた。 イタリア家具産業の聖地ブリアンツァに根差しながらも、その製品は世界80カ国以上、 450を超えるハイエンド販売拠点を通じて流通し、輸出比率は売上高の85%以上を占める。
Living Divaniの名声を決定づけたのは、1989年に始まったピエロ・リッソーニとの協働である。 アートディレクター兼デザイナーとしてブランドの美学を統括するリッソーニは、 その卓越したスタイルコードを通じてLiving Divani独自のデザイン言語を確立。 「静謐なるエレガンス(Silent Elegance)」と称されるその世界観は、 厳格なフォルム、洗練されたライン、そしてリラックスした品格を特徴とし、 現代インテリアデザインにおける一つの規範となっている。
ブランドの特徴・コンセプト
Living Divaniの製品哲学は、「軽やかさ」「明快なフォルム」「完璧なプロポーション」という 三つの核心的概念に集約される。 これらの原則は、ソファやアームチェアから、テーブル、収納家具、ベッド、カーペット、 さらにはアウトドアコレクションに至るまで、すべての製品に一貫して体現されている。
ブランドのトレードマークであるアップホルスタリー製品は、 モジュラーシステムを核に構成され、無限のコンフィギュレーションを可能にしながらも、 繊細なシェイプとプロポーションを維持する。 インドアとアウトドアの境界を超えて展開されるコレクションは、 エッセンシャルで厳格なスタイルから、多彩でエクレクティックなスタイルまで、 あらゆる空間に対応する包括的なリビング環境を創出する。
「Styling Display Project」と呼ばれるアクセサリーラインは、 アーキタイプ的なフォルムを持つ小さな彫刻作品として、 Living Divaniの世界観を凝縮して表現している。 また、コントラクト部門においても、品質、技術的性能、カスタムメイドソリューションにより、 オフィス、銀行、空港、ホテル、美術館、レストラン、さらには船舶内装に至るまで、 グローバルに展開している。
ブランドヒストリー
Living Divaniの歴史は、1969年、ミラノのヴィア・パルマノーヴァにある小さなアップホルスタリー工房から始まった。 当時26歳だったルイージ・ベステッティは、家族の伝統的な家具会社から独立し、 妻レナータ・ポッツォーリとともに新たな道を切り拓いた。 創業当初は、幅広のアームチェアや当時としては斬新だったソファベッドの製作を専門とし、 都市生活における柔軟な家具ニーズに応えていた。
1974年、事業の成長に伴い、コモ湖近郊のアンツァーノ・デル・パルコに土地を取得し、 現在も製品を生み出し続ける工場の最初の2,000平方メートルを建設。 1978年には「Benson」ソファを発表し、2種類のレザーとフローラルファブリックという 限定的なバリエーションで展開された同製品は、当時のデザイントレンドを象徴するものとなった。
1980年代に入ると、マリオ・マレンコ(1982年の「Marianne」ソファ)や ジョット・ストッピーノ(「Bronx」ソファ、「Arlette」シェーズロング)など、 外部デザイナーとの協働を開始。 そして1989年、当時まだ無名に近かったピエロ・リッソーニをアートディレクターに迎えたことが、 ブランドの転機となった。 リッソーニのデビュー作「Calibano」コレクションは、伝統と革新の中間に位置する洗練されたデザインで、 1990年代全体のトレンドを決定づけた。
1995年、リッソーニがデザインした「Frog」アームチェアが発表される。 創業者のベステッティは当初「一脚も売れないのではないか」と懐疑的だったが、 ミラノサローネで20以上のバリエーションを展示した結果、大きな成功を収めた。 Frogは現在もなお生産が続けられ、2025年には発売30周年を迎える Living Divaniを代表するアイコンとなっている。
2000年代以降、創業者夫妻の娘カローラ・ベステッティが経営に参画。 2020年にはCEOに就任し、家族経営の伝統を継承しながら、 新世代のデザイナー発掘に力を注いでいる。 同年9月には、ピエロ・リッソーニが設計したミラノの新拠点「Living Divani Gallery」がオープン。 コルソ・モンフォルテとヴィア・ヴィスコンティ・ディ・モドローネに面したこの空間は、 ショールームでも店舗でもなく、ブランドの多面的なスタイルを演出する「劇場的空間」として構想された。
2012年には、イタリアの国際的名声を持つ企業を集めた財団「アルタガンマ」への加盟が認められ、 Living Divaniの卓越性の軌跡が公式に評価された。 創業から半世紀以上を経た現在、従業員70名以上を擁し、 「真の純粋なデザイン」への信念を貫き続けるLiving Divaniは、 国際的なデザインランドスケープにおける確固たる地位を築いている。
主なインテリアとその特徴
Frog(フロッグ)
1995年にピエロ・リッソーニがデザインした「Frog」は、 Living Divaniの美学を象徴するアイコニックな存在である。 名前の由来であるカエルのように低く構え、広い脚で寛大なシートとわずかに傾斜した背もたれを支える そのフォルムは、リラックスへの招待状のようである。
フレームはクロームメッキまたはエポキシパウダー塗装(ガンメタルグレー、白、黒)のスチールチューブ製で、 リクエストに応じてAISI 316ステンレススチールのサテン仕上げも選択可能。 シートと背もたれは、天然または着色生皮、ヘンプコード、透明または着色PVCの編み込み、 あるいはポリウレタンフォームとアクリルファイバーのパッド入りなど、 多彩なバリエーションで展開される。
2025年の発売30周年を記念し、Living Divaniはミラノ・トリエンナーレのイタリアデザイン美術館に Frogを寄贈。その歴史的価値が公式に認められた。 また、カーボンファイバーと織りポリエステルによる超軽量バージョン「Carbon Frog」など、 時代とともに進化を続けながらも、本質的なデザイン言語は変わることなく受け継がれている。
Wall / Extra Wall(ウォール / エクストラ・ウォール)
2000年に発表された「Wall」コレクションは、 最初期のモジュラーシーティングシステムの一つとして評価され、 今日なおLiving Divaniのベストセラーであり続けている。 直方体で構成されるシート、背もたれ、アームレストを自由に組み合わせることで、 シンプルなソファからシェーズロング付き、アームチェア、プフまで、無限の構成が可能となる。
その後、追加モジュールと構成の可能性を広げた「Extra Wall」、 より柔らかなフォルムの「Softwall」、そして包み込むような快適性を追求した「Extra Soft」が ラインナップに加わった。 「Extra Wall」は、ポプラとモミのブロックボード製の堅牢な構造に、 ゴムコーティングされた弾性ストラップのサスペンションシステム、 密度の異なるポリウレタンフォームのパッドを組み合わせ、 長期にわたる快適性を保証する。
Extrasoft(エクストラソフト)
2008年にピエロ・リッソーニがデザインした「Extrasoft」は、 モダンでインフォーマルなデザインにより、 リビングスペースをくつろぎと安らぎのオアシスへと変容させる。 Living Divaniのアップホルスタリーコレクション全体の進化を凝縮したモジュラーソファであり、 インドアとアウトドアの両バージョンで展開される。
その柔らかく包み込むようなフォルムは、Extra Wallソファの「よりソフトな」解釈として生まれ、 より住宅空間に適した美学を提示する。 モジュラーで多用途な構造は、無限の構成を可能にしながら、 多様なインテリアスタイルに容易に適応する。
NeoWall(ネオウォール)
「NeoWall」は、ピエロ・リッソーニとLiving Divaniの協働から生まれた、 現代的なエレガンスと完璧な快適性を融合させた機能的芸術作品である。 ソファとベッドの両ラインナップで展開され、 Wallシリーズの設計哲学を継承しながら、新たな美的次元を開拓している。
Floyd-Hi(フロイド・ハイ)
ピエロ・リッソーニによるミニマリスト美学の典型として、 「Floyd-Hi」はソファ、アームチェア、ベッドのラインナップで展開される。 ハニカムポプラとモミ合板の構造に、 洗浄・殺菌されたグースダウンのピマによる極めてソフトな背もたれとアームレストクッションを組み合わせ、 視覚的な軽やかさと触感的な豊かさを両立させている。
Ile Club(イル・クラブ)
2007年にピエロ・リッソーニがデザインした「Ile Club」は、 永遠にコンテンポラリーなラインを持つスタイリスティックなディテールである。 その揺るぎない厳格さを維持しながらも、革新を続ける進化するアップホルスタリーアイテムとして、 特徴的なスリムなメタルレッグとともに、 Living Divaniのデザイン哲学を端的に表現している。
Greene(グリーン)
スペイン出身のデザイナー、ダヴィド・ロペス・キンコセスによる「Greene」は、 2019年に発表されたソファシステムである。 構造化された外周と細身の脚を特徴とし、 外殻が大きなクッションを収容するという革新的な構造により、 構造的な明快さと包み込むような快適性を両立させている。
主なデザイナー
Piero Lissoni(ピエロ・リッソーニ)
1956年セレーニョ生まれ。ミラノ工科大学で建築の学位を取得後、 1978年よりデザイナーとしてのキャリアを開始。 1989年よりLiving Divaniのアートディレクターを務め、 35年以上にわたりブランドの美学を統括してきた。
建築、ランドスケープ、インテリア、プロダクト、グラフィックデザインの各分野で 世界中のプロジェクトを手がけ、 Alpi、Boffi、Lualdi、Porroなど複数のブランドのアートディレクターも兼任。 主要な建築・インテリアプロジェクトには、 オーデマ・ピゲのAPハウス・ミラン(2024年)、 ブダペストのドロテア・ホテル(2023年)、 上海のザ・ミドル・ハウス(2018年)、 アムステルダムのコンセルヴァトリウム・ホテル(2012年)などがある。
Living Divaniにおいては、Calibano、Frog、Wall、Extra Wall、Extrasoft、NeoWall、 Floyd-Hi、Ile Club、Sumoなど、数々のアイコニックな製品をデザイン。 2019年には協働30周年を記念して「The Uncollected Collection」を発表し、 家具と彫刻の境界を越えた限定コレクションでブランドの新たな可能性を示した。
David Lopez Quincoces(ダヴィド・ロペス・キンコセス)
1980年スペイン生まれ。マドリード・コンプルテンセ大学で美術の学位を取得後、 ミラノ工科大学でインテリアデザインの修士号を取得。 2005年よりミラノに拠点を置き、ピエロ・リッソーニとの協働を通じて ショールーム、展示会、プライベートアパートメント、オフィス、ホテル、リゾートなど 多数のプロジェクトに参画。 2007年にマドリードとミラノを拠点とする自身のスタジオを設立し、 建築、グラフィック、インテリア、インダストリアルデザインを手がける。
Living Divaniでは、Greene、Era、Track、Sailor、Brasilia、Agra、Gala、Lorentzなど 数多くの製品をデザイン。 新古典主義的なエレガンスと自然からインスピレーションを得た自由で官能的な曲線を特徴とする そのデザイン言語は、Living Divaniの美学と見事に調和している。
Keiji Takeuchi(竹内敬二)
1977年福岡生まれ。ニュージーランドで青年期を過ごし、 オークランドでプロダクトデザインの学士号を取得。 Living Divaniでは「Clivio」ラウンジや「Light with a Table」フロアランプなどをデザイン。 「Light with a Table」は、街灯からインスピレーションを得た多目的な家庭用彫刻作品として、 エッセンシャルでグラフィックなシルエットにレトロスタイルの参照を織り交ぜ、 ワイヤレス充電技術を搭載したテーブルと光源を組み合わせている。
その他の協働デザイナー
Living Divaniは、国際的な視野とタレント・スカウティングを通じて、 多様なデザイナーとの協働を展開している。 Lanzavecchia + Wai(イタリア・シンガポール)、 Stephen Burks(ニューヨーク)、 Giacomo Moor、Marco Lavit、Mist-o、 Junya Ishigami(石上純也)、Studio Klass、Harry Paul、 Leonardo Talarico、Shibuleru(Lukas Scherrer)など、 それぞれが独自の視点を持ちながらも、 Living Divaniの「静謐なるエレガンス」という共通言語を共有している。
本社と拠点
本社(Headquarters)
2007年、Living Divaniの創業40周年を記念して、 ピエロ・リッソーニの設計による新本社がアンツァーノ・デル・パルコに完成した。 コモ湖近郊のこの建物は、ブランドの精神、哲学、デザインへのアプローチを 建築として具現化したものである。
2階建て、総床面積1,140平方メートルの建物は、 「長く、低く、広い建物、私にとって理想的なプロポーション」とリッソーニが語るように、 明快な水平ボリュームとして周囲の環境に溶け込む。 ダブルスキンのガラス—Uガラスプレートと背後のガラス板—は、 太陽の日中の軌跡にリズムを与え、 内部と外部、公と私の間に新たな関係を設計する。 亜鉛メッキ鉄骨構造には環境に配慮した光触媒塗料が使用され、 汚染を最小限に抑える配慮がなされている。
1階にはオフィスが配置され、 2階の軽やかで中立的な空間はLiving Divaniコレクションの背景となる。 天井のメタルグリッドは建築設備を垣間見せながら、 アニメートされた彫刻的な表面効果を生み出し、 ダン・フラヴィンにインスピレーションを得た蛍光灯照明は コンピューター制御により温度とシェーディングパネルとともに管理される。
Living Divani Gallery(ミラノ)
2020年9月、Living Divani創業50周年を記念して、 ピエロ・リッソーニ設計によるミラノの新拠点「Living Divani Gallery」がオープンした。 コルソ・モンフォルテ20番地、ポルタ・モンフォルテ地区に位置し、 コルソ・モンフォルテとヴィア・ヴィスコンティ・ディ・モドローネに面した 6つの大きな床から天井までの窓を持つ約150平方メートルのL字型空間である。
「ショールームでも店舗でもなく、その両方であり、それ以上のもの」として構想されたこの空間は、 ブランドの美の本質を凝縮した純粋な抽象の場として機能する。 波形シートメタルの壁、ミラー仕上げの床、垂直に配置されたチューブライトと 大型の吊り下げ式メタル天井グリッドからなる恒久的な背景は、 年間を通じて変化する周期的なセットアップを受け入れ、 アート、写真、ファッションの世界からのコンタミネーションにも開かれている。
基本情報
| 正式名称 | Living Divani S.r.l. |
|---|---|
| 創業 | 1969年 |
| 創業者 | ルイージ・ベステッティ(Luigi Bestetti)、レナータ・ポッツォーリ(Renata Pozzoli) |
| 現CEO | カローラ・ベステッティ(Carola Bestetti)※2020年就任、創業者夫妻の娘 |
| アートディレクター | ピエロ・リッソーニ(Piero Lissoni)※1989年より |
| 本社所在地 | Strada del Cavolto, 22040 Anzano del Parco (CO), Italy |
| ミラノギャラリー | Corso Monforte 20, 20122 Milano, Italy |
| 従業員数 | 約70名以上 |
| 輸出比率 | 売上高の85%以上 |
| 販売拠点 | 世界80カ国以上、450を超えるハイエンド販売拠点 |
| 主要コレクション | ソファ、アームチェア、ベッド、テーブル、収納家具、カーペット、アウトドア |
| アルタガンマ加盟 | 2012年 |
| 公式サイト | https://www.livingdivani.it/ |