概要
カイ・ボイスンの木製動物は、デンマークの銀細工師カイ・ボイスンが手がけた木製の玩具・置物の一群である。1930年代から制作が始まり、1950年代に発表されたモンキー、ベア、エレファントが広く知られている。
共通するのは、実在の動物を写実的に再現しないという姿勢と、手に取ったときの感触を優先した丸みのある造形である。多くのモデルが可動する関節を備え、姿勢を変えて置くことができる。
カイ・ボイスンの設計思想や経歴について詳しくはカイ・ボイスン プロフィールページをご覧ください。
共通する設計原理
ボイスンは、造形が丸く、柔らかく、手に持って心地よいものであるべきだと考えていた。動物の特徴を細部まで写し取るのではなく、輪郭を単純化したうえで、表情や姿勢に性格を持たせている。
構造面では、複数の部材を組み合わせ、関節部を可動にする方法が共通する。モンキーは32個の部材から成り、手足がフックの形をしているため、棚の縁に引っ掛けて吊り下げることができる。エレファントは鼻と脚が動く。
素材は無垢の木で、モデルによってチークとリンバ、オーク、オークとメープルなどが使い分けられる。木の個体差がそのまま製品の表情の違いとなるため、同じモデルでも一点ずつ木目が異なる。
成立と展開の経緯
ボイスンはゲオルグ・ジェンセンの工房での修業を経て1910年に銀細工師となった人物で、木工は当初その傍らにあった。1919年に息子が生まれたことが子どもと玩具への関心につながり、1930年代から木製の動物を本格的に制作するようになる。ダックスフントは1934年、ゼブラは1935年に発表されている。
1951年のモンキーは、子ども用家具の展覧会に向けてコートラックの設計を求められたことが発端だったと伝えられる。長い腕でフックを子どもの手が届く高さまで下ろし、短い脚のあいだに帽子やマフラーを掛けるという構想である。
翌1952年のベアは、コペンハーゲン動物園の飼育員夫妻が育てた子熊ウルスラに着想を得たとされる。1953年にはエレファントが加わった。1990年にはローゼンダール社が玩具の権利を取得し、以後同社が製造を担っている。
メンバー一覧
| 発表年 | 区分 | 製品名 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| 1951年 | アート・オブジェ | [interior slug="kay-bojesen-monkey"] | シリーズで最も知られるモデル。チークとリンバを用い、手足のフックで吊り下げられる。 |
| 1952年 | キッズ・ベビー | [interior slug="kay-bojesen-bear"] | オークとメープルによるモデル。子熊のエピソードが伝えられている。 |
| 1953年 | インテリア雑貨 | [interior slug="kay-bojesen-elephant"] | オーク製で、鼻と脚が動く。 |
このほか、ダックスフント、ゼブラ、ラビット、ヒポポタマス、ロッキングホース、近衛兵の人形などが同じ考え方のもとで制作されている。
評価と影響
ボイスンは1931年に、デンマークとスカンジナビアのデザインを紹介する展示販売の場「デン・パーマネンテ」の設立に関わった人物のひとりである。木製動物は玩具として作られながら、子ども部屋を離れて住まいの置物としても扱われてきた。
デンマークでは出産祝いなどの贈り物として定着しており、製品としての機能よりも、贈り手と受け手のあいだの意味づけによって長く使われる例が多い。
ローゼンダールの歴史や他の製品について詳しくはローゼンダール ブランドページをご覧ください。
基本情報
| シリーズ名 | カイ・ボイスン 木製動物(Kay Bojesen Wooden Animals) |
|---|---|
| 種別 | 共通の設計言語による製品群 |
| デザイナー | カイ・ボイスン |
| ブランド | ローゼンダール(1990年に権利を取得) |
| 制作開始 | 1930年代 |
| 共通素材 | 無垢材(チーク、リンバ、オーク、メープルなど) |
| 共通構造 | 複数部材の組み合わせと可動する関節 |
Reference
- Designer Kay Bojesen - Rosendahl
- https://us.rosendahl.com/pages/about-kay-bojesen
- Kay Bojesen timeline - Rosendahl
- https://us.rosendahl.com/pages/kay-bojesen-timeline
このシリーズの製品
カイ・ボイスン モンキー Kay Bojesen Monkey
1951年、デンマークの巨匠カイ・ボイスンが孫のために生み出した木製フィギュア。チーク材とリンバ材を組み合わせた愛らしい姿と可動する手足が特徴。「線は微笑まなければならない」という哲学を体現し、北欧デザインのアイコンとして70年以上愛され続ける名作。
カイ・ボイスン ベア Kay Bojesen Bear
カイ・ボイスンが1952年にデザインした木製のクマ。オーク材とメープル材の温かみのある質感と、360度可動する手足が特徴。「線は微笑みにならなければならない」という哲学のもと生まれた、世代を超えて愛される北欧デザインの傑作。
カイ・ボイスン エレファント Kay Bojesen Elephant
1953年、デンマークの巨匠カイ・ボイスンが生んだオーク無垢材の木製象。丸みを帯びた愛らしいフォルムと可動する鼻や脚を持ち、子どもの玩具から大人のインテリアオブジェまで、世代を超えて愛され続ける北欧デザインの名作。